2021年11月02日

[143] <配糖体>の話

コロナ患者激減の侯にて
 長野県内では、感染者0という日も見られるようになっています。
私も9月より数回、地元医師会の要請で、週末にワクチン接種会場にて診察をしてきました。市内では、11月に2回目の接種が希望者全員終了とのこと。

 体育館とかの間借りではなく、専用に建設された接種会場では、流れるように接種が進んでいます。どこもそうなんでしょうが、観光県長野にあっても「安全な信州」を目指しての県と市町村あげての一丸となった取り組みを感じる次第です。
 そんなムードの中で、東京もようやく感染状況が落ち着き、「二学期になったら、いよいよ新宿本部校での対面授業復活か!!」と授業で予告したものの、オリンピック余波で10月まで、依然として東京へ出向いてはいません。ずっと長野にいて出ていません。

 病院という場所には独自の基準があって、11月になってようやくLEVEL3からLEVEL2に下がりました。でもLEVEL1とは自由度が全く違います。(隣接市を含めて2週間患者が0であることが要件)
 11月には、横浜でリハビリテーションの学会があるのですが、これはWeb参加です。関内の行きつけの店もなんとか頑張っている・・・と公式LNIEは来ますが、激励に行きたかったところです。

 飲食業の方々もまだ諸手を挙げての通常営業ができないのに輪をかけて、これだけ減ってきても病院レベルでの警戒は解けないのです。ゆえに、Zoom!,Zoom!での授業が続いています。

秋天の陽光
 すでに、長野では寒い日もあり、適宜暖房をつけて暮らしています。
もう、雑草も勢いはなく、取るべき草もないにつけ、戸外で過ごす時間が減っています。
平日は天気が良くても、仕事は終日建物の中ですから。
そんな中10/23の日曜日、秋日晴天となりました。そこで、知人を誘って、里山に登ってきました。
自宅はその少し登った高台にあります。
信玄・謙信時代の山城があった山で、林道も展望スペースもちゃんとありますが、敵の侵入に備えて急峻な斜面を掘り削ったいにしえ人に思いを馳せつつ。
自宅から往復で一時間半ほど、「その気になればいつでも行ける」立地です。でも、気力と体力と、天気と気温と、暇と仲間とが合致しないと中々に・・・。

20211023.jpg

 信州には4つの平(たいら=盆地)あり、長野市の善光寺平(ぜんこうじだいら)です。手前の山は5-600mですが、その背後の山々は2000m級です。

 山の手前にある緑色の道路のように見えるのが千曲川です。台風19号で氾濫を起こしたのはこの画面の左の下流域
になります。
20211023-2.jpg
セルフで撮ったのでタイミングあってませんが、地元に長く住む知人もここは初登山と。
近くの小学生は、遠足で来るんですけどね。春秋には、町内会行事で、朝一6時に山道の草刈りをします。そうやって、地元の人に守られてきた里山であり史跡です。(ちなみに「藤原さん」という家が沢山あり、互いにファーストネームで呼んでいます)

知人は私よりかなり若いですが、なんせ初めてなんで、少しワープして途中の阿弥陀寺のところまで車で行きました。
というのも、我が家からここまでの道が実はすごく急な坂で、ここまでで体力を削られると後が辛くなるからです。
(それでも筋肉痛になったらしい・・・)
20211023-2.jpg

こんな時期に、こんな写真が撮れたのも、ある意味「コロナの余波」です。

<配糖体>のこと
・・・と長い前置きから、突然に本題に入りますが、<配糖体>ってどのくら知っていますか?
受験生なら、きっと皆無かと思います。
 核酸のことですか? 生物選択者ならこう答えるかもしれません。
しかし、それは少なくとも有機化学の域ではないでしょう。

・・・要するに私は、「有機化学アドバンス」の話をしようとしているのです。
有機化学を学んでいても教科書的には、<配糖体>は出てきませんが、実は‘ニアミス’をしているのです。

とりあえず<配糖体>とは、グルコースに、糖以外の化合物で-OHを持つものがグリコシド結合したものです。
マルトースやスクロース、セルロースやデンプン・・・に馴染んでいるから、何気に違和感があるでしょうが、
<配糖体>は、様々な薬効・有効成分が、生物体内で存在する形態なのです。

「ニアミスの配糖体」は、『有機化学Essecials』テキストに次のように紹介してあります。
名称未設定.jpg

 要するに、かの有名なサリチル酸は、サリシンという配糖体として植物内に存在し(しかもサリチルアルコールの形で)、外敵からの侵入などを受けた時に、糖から切り離され、サリチル酸へと酸化されて、一種の<神経毒>として働く(だからヒトには沈痛作用として現象する)わけです。

 ここを契機にして、<配糖体>の世界、その広がりを説いているのが、現時点での<有機アドバンス>の授業です。
「その方面の知識があるからといって、そんなことを予備校の大学受験の授業でやるの?」なんて思う人がいないとも限らないので、いっておきますが、題材は、いうまでもないことですが、実際に出題された入試問題であり、それゆえに知らないと「難問」となる類です。

 たとえば、蕎麦に含まれるルチン、ジギタリスの毒=薬(強心剤)のジギトキシン、青酸毒の素のシアノヒドリン、漢方成分のサポニン、ジャガイモの芽の毒であるソラニン、植物の花の色素であるアントシアニン等々、挙げればキリがなく、薬学部に行ったならば、数々の配糖体の嵐に見舞われることでしょう。つまり、大学には<配糖体>の研究者は少なからずいるのであり、入試問題となる形で出題することは充分にありということです。

医学部志望者としても、どうせ、いずれ出会うものです。今と未来が繋がった受験勉強は愉しいものです。
こういう「教科書外」の反則問題は、それ相当の知識を与えれば出しても構わない、という入試の暗黙ルールがあります。
だから、知っているに越したことはないし、初見とそうでないのとでは、入試の場では雲泥の差となります。

というわけけで、「有機化学アドバンス」は、有機化学計算を更に極めると同等の比重で、薬学や、栄養学や、医学に関わる知識を先取りします。

とはいえ「先取り」といっても、先ほど述べたように、素材はあくまでも入試問題です。
posted by Koujin Amano at 17:09| 体系化学

2021年09月01日

[142] 2年目 zoom

半年ぶりかぁ
先週末、夏期期間に設定した授業を終えて一息。
すべてzoomでのオンライン授業。
定量、定性、有機、化学AD、有機ADそして漢文の6種類の授業。
オンライン授業って、対面授業より仕込みに手間がかかるもの。
昨年から作り込んできたものもあるので、昨年よりまだましだけど。

特に、有機ADと来たら、今年新たなThemeを加えたものだから、大変。
有機化学の解説をパソコンで描くのは一番時間がかかる代物。

だからようやくにして訪れたこの合間にブログでも・・・
と振り返ると恒例の合格者の想い出や、新年度のコメントさえしてなかった。

「二学期になって、コロナ落ち着いたら、対面授業しましょう」
今年の開講後には、こんな希望も語っていたが、まあ、この有様。

むしろ、長野県にもコロナ包囲網が忍び寄り、病院内の警戒感は一層高まっている。
幸い、まだ、院内でのクラスター発生などは気配なく、職員の接種も完了。
今は、65歳以下の外来通院者にほぼ毎日、院内での接種を進めているところ。
「LEVEL3が続いています。感染蔓延地域への往来は自粛してください」
住居のある長野市では、「命と暮らしを救う集中対策期間」。
9/3-9/12は各種イベントも中止・延期要請。
だから、東京まで授業に赴くことは、当面あり得ない。


1半年かぁ
振り返ると、もう一年半も長野県から外に出ていない。
昨年初め、新宿で借りていたアパートを引き払ったキリ。
毎週のように新幹線で、時に埼玉、静岡、横浜にまで足を伸ばしていたことがウソのよう。
ずっと家にいて、週末も家族と過ごしている。
それはとても幸せなことであるけど、東京がとても遠くなってしまった感がある。
このままだと、2年目も全部zoomかと。

もちろん、GHS本部校で、今zoomで授業をやっているのは私だけ。
他は感染対策をして、対面授業をほぼ通常通り行っている。
zoomは、ライブだし、内容的には対面と遜色ないから、授業としては成り立っているし、
むしろ、答案のやりとりのスムーズさや回数はアップ、カリキュラムの進捗状況もよい。

ただ、まあ、やはり、生徒を前にしないと、遊び心は湧きにくいんだなぁと。
生徒を前にすると、こいつを笑わせてやろうとか、ここでジーンするいい話をしようとか。

幸い、GHS長野校では個別指導の生徒がいて、zoon授業にも出席してくれているので、
昨年よりは、少し臨場感がある点は救いといえるか。

出来たぞ、有機AD Vol.1
 冒頭にも書いたが、今年度、なぜか思い立って、有機ADのThemeを増量した。
前回のBlogで予定表が掲げてあるが、これが今年度の最新版。
有機化学の構造決定の問題を、炭素数の順に並べ尽くす、という無謀な企画。
(ただし、ジエステルは別Themeとしてあるので除外)
3つのThemeに渡って、50問ほどはあるだろう。
その答案を提出してもらい、添削、コメント、解答解説・・・・
これをコツコツ繰り返して、丁度先週の授業で区切りがついた。
コツコツでないと、そして、生徒が答案を頑張って出してくれないと出来ないこと。
ほっと一息ついて、これを書く気になったのは一重にそれゆえだ。

・体系化学進度表2021.jpg

最右列が有機化学。そのTheme2〜4がこれまでのリストには無かったもの。
もっとも、授業ではやっていた内容であり、これまでの答案や解説等もそれなりある。
それで、よせばいいのに、何を思ったか今年度の1学期のミッションにしてしまった。
その中身についてはまた稿を改めるつもりだが、すごいことになった。

端的に言えば、Theme1を含めて、vol.1は300ページ超になる。
有機化学の解説はスペースを食うからであるが、それ以上のことが出来した。
それは解法の体系性、ということ。別の言葉、文中の文言で言えば、<論理階層性>である。

有機化学の問題演習ごときでも、体系的思考の鍛錬ができる、しかもADレベルで。
現在、印刷製本に向けて、最初から再編集を始めたところである。

posted by Koujin Amano at 10:01| 体系化学

2021年02月07日

[141] 体系化学アドバンスvol.1 EB公開とテキスト出来

体系化学ADの現在地
 本日、体系化学アドバンス・シリーズvol.1 Theme1-6 をGHSのHPにて全頁を電子ブック(EB)版で公開しました。

実際の授業の進度と生徒の要望などあって、なりゆき的に咋秋、Theme7-11を先にEB・製本化しました。

 共通テストの分析コメントをやってから、まずは『体系物理 法則・公式読本 ver3』に取り掛かり、完成版が本日長野校に届き、生徒に手渡ししたところ。
高校二年生で、数学の微積を一通り教わったら、独習・次週可能であることを想定した「基本書」です。このVer.3でとりあえず完結です。力学・熱力学・電気磁気力学・波動(力)学の合本で314頁です。

 高校生にも自然な形で微積分をはじめとする高校数学を融合した(当然のことなのですが)、私自身が高校時代に欲しかった・出逢いたかったGHS公式の「物理教科書」です。
(完成版なので当面改訂するつもりはないため少し多めに制作してあります。もし、EB版を見て実物を入手希望される場合は、例によって本部に問い合わせてみてください。)

 それで漸く、体系化学ADに着手できた次第です。先にできたTheme7-11の分が190頁ほどになりましたが、Theme1-6を整備してみたらこれも190頁ほどとなり、だったらVol.1,Vol.2でいいか……と当初の区切りを変更した次第です。
 一年程前は、一冊、150頁以内にして一冊ずつの達成感を出そう、vol.10まで行くな・・・とか言っていましたが、解説部分が2/3を占めるので、まあ、なら、200頁でいこうか、結果オーライというヤツです。

 今のところ一冊200頁程度で試算すると、有機化学含めてVol.1-Vol.8となる見込みです。そこで、Themeリストを改訂しました。Themeは33個になっていますが、すでにExtraが派生していますので、やってみないとわからない・できてみないとわからない暫定数です。
(クリックして拡大)
・体系化学進度表2021.jpg

Vol.1の紹介と自賛
 Vol.1のテーマを並べてみましょう。

Theme 1 「平均」の効用<1> 混合物と平均分子   

Theme 2  凝固点降下と電離度  化学基礎公式E

Theme 3  浸透圧と圧力換算・測定法 化学基礎公式F

Theme 4  コンプリート・ヘンリー  化学基礎公式G

Theme 5  飽和溶液と再結晶法  オンリー・ワンの塩あり

Theme 6  ‘蒸気を制する者は…’ <1>蒸気圧はジャマ者だ


『医大受験』連載分をまとめたプロトタイプ<1>をベースにはしていますが、4つはADとしては初出ですし、連載分はTheme1,4のみですが、大きく加筆されています。

 連載の時は、インパクトのあるもの・実戦的なものから・・・ということもあり、ヘンリー以外は1st Stageが後回しになりましたが、このVol.1はすべて1st Stageの範疇です。

 特筆すべきは、<蒸気>の入門編をここに入れた点が文字通り画期的です。<蒸気>についてはこのアドバンスシリーズでは、なんと5つのThemeに分けて展開します。AD33Themeの中には3つしか入っていませんが、頻度的な評価からExtra Stageで控えているのが2つあるということです。「水蒸気、侮るなかれ。水蒸気、恐るべし。」です。その基礎となる「蒸気とは何か」の規定と化学計算に置ける基本的トリセツとなっています。

 Theme1には、試作版では第5講となっていた<平均の効用>を据えました。これは、その後のすべてのThemeにおいて有効かつ強力な思考ツールとなりうるからです。そのため、全体を見渡す意味で、化学反応を含む<平均>の活用についても紹介して、全体のイントロと位置付けています。

 この中でも、'万事控え目'な私が、それでもどうしても自賛しておきたいのは、Theme3です。化学基礎公式Gにより、ヘンリーの法則絡みの「難問」が霧散解消したので、Theme4は『体系化学』のドリルとしての問題紹介と、数学的処理に費やしてします。つまり延長です。


 これに対して、『体系化学』の拡張と深化のもっとも甚だしいのが、この<浸透圧>の項です。これには二つの方向性があります。浸透圧法は、高分子の分子量測定に有効ですから、コロイドや有機化合物とリンクします。それらを射程に入れた浸透圧の応用について説く方向が一つ。

 そしてそれゆえに、測定誤差を極力小さくする工夫としての、<浸透圧測定装置の進化>を辿ることが必要となります。歴代の浸透圧の「難問」は、この帰結として、二次方程式の解の公式を使うことが必須となり、1st Stageの最も高い壁として登場します。


 でも、夙に説くごとく、「難問」なんてありません。それは「お化け」と同じ、恐れと基礎力不足が作り出す主観的幻想にすぎません。基礎的理解もなしで問題に当たるから「難問」に見えるのであり、アドバンス演習にしたがって、易から難へと10問も解いていけば、「どこが難問?」となるものです。それらは、今年のGHS生が提出してくれた答案の数々によって証明されています。

例によって、EB版を見て実物を入手希望される場合は本部に問い合わせてみてください。 <了>

posted by Koujin Amano at 09:24| 体系化学

2021年01月26日

[140] 共通テスト<2> 物理

共通テスト・物理へコメント
 引き続き、物理についてGHSからのコメントを述べましょう。  
今回は、GHS物理講師・田川先生とのコラボ企画です。

 今回の共通テストは、GHSできちんと二次試験に通じる勉強をしていた生徒にとっては「準備運動」レベルにすぎず、軽くこなせるような内容で、やや拍子抜け・・・の感もあるはずです。
 今回の共通テスト物理の特徴を一言で言うと、
   「(グラフ問題も含む)定性的な問題の増加」
でしょう。
 具体的データで述べると、2020年のセンター試験では、全20問中6〜8問(選択問題によって多少変化あり)が定性的問題であったのに対し、今年の共通テストではなんと全23問中13問が、定性的な問い、つまり法則式・公式を用いての計算をしなくても答えが出る(「右か左か」とか、「保存するかしないか」とか・・・の)問題であったのです。
 2020年のセンター試験の時点でもすでに、定性的問題が多くなる傾向があったのですが、今年ついに定性的問題の方が定量的計算問題の数より多くなったのです。その中身には簡単な問題が定性的に(計算をしないでも)答えられるという「平均点を上げる方向の変化」と、ハイレベル・難問の系統で二次試験で扱うような題材であり、定性的に問うにとどめて、計算を免除する形にしたという「平均点を下げる方向への変化」の二重性があります。その二つが拮抗して結果的に、後者のベクトルがまさった結果、全国では低めの平均点となったのでしょう。

 なぜ定性的問題が増えたのか、共通テストの問題製作者が実際何を考えていたのか、本当のところはハッキリとはわかりませんが、おそらく共通テスト全体のテーマである「思考力を問う」ということの物理的展開として「法則・公式を暗記して当てはめるだけではない」=「法則や公式を使う計算より、物理的理解を問う」となり、式を使わないでも解ける定性的問題を増やそうということになったのでしょうか。

 ただ、「物体の運動を定性的にイメージする」というのは、物理的思考の一部ででしかありません。
      法則がしっかりと量として表現でき、定量的に答えが出せていけること
これは外し難い物理的思考の特質のはずです。運動がイメージできているかを問う問題があるのは勿論良いことではあるのですが、「これは計算させてもよいのでは・・・」という問題まで定性問題に仕立て上げられており、半分以上の問題が計算しなくても解けてしまうのは、物理の問題としてはさすがにやりすぎ、逆にいうと物理的には中途半端なので、実力をつけた生徒にとっては物足らない感が残るのではないでしょうか。おそらくこの点について、来年度は反省と調整がなされることでしょう。

 さらに言えば、「計算がないから(=定性的考察)が易しくなるか」というそうでもない面があります。定量計算をすればビシッと出るところを、それ無しでイメージだけで考える方が難しいということもあります。その背後の定量計算が見える人にとっては「易しく」、そうでない人には、返って「難問」に見えるものです。

 ですから、きちんと物理の実力をつけ、二次試験に向かって実力を養っていたGHS生にとっては、今回の共通テストの問題も「物理的思考全体の中のさわりの部分」として、さしたる難なく答えていけるものであり、実際に現在そのような報告が続々と届いているところです。(文責 田川・天野)

もう下駄を履かせない、ただ薄めるだけ
化学と物理に共通する流れは、教科書レベルの易問、つまり、あまりできない人向けに、平均点を確保するための「センター試験的下駄を履かせ問題」を減らしてきているということです。
駿台・ベネッセから提供されている、得点分布グラフをみてみましょう。
物理度数分布.jpg
https://dn-sundai.benesse.ne.jp/dn/center/doukou/dl/2021-dn-gaikyo-05.pdf

なぜか、物理だけ19,20年の刻みが荒くて凸凹していますが、とりあえず70点付近からの上位層がゴソッとなくなってその分、60点以下の層が増えています。ザクっと補助線を引いてみましょう。
物理度数分布.jpg
二次試験の記述ハイレベル問題になると今ひとつの実力だが、センター試験的問題形式に助けられて「正解」することができて高得点となる「棚ぼた的高得点者」がいなくなったということです。しっかりと物理的実力を鍛え抜かれた者だけが、85-90点という高得点を確実にとることができる問題となってきているわけです。履かせてもらえる下駄も、シークレットシューズもなくなって、等身大の実力が現れてしまいます。

二次試験の「難問」の系統をしっかりと学んでいると、共通テストでのハイグレードな問題は、こういう「難問」を答えやすくしたり、一部を切り取ったりしたものにすぎない、と見抜くことができます。だから、実力をつけた者のにとっては「隔靴掻痒」の感を持ちながらも、「あの二次試験問題に比べりゃ楽だよな」なんて思いつつ解けるわけです。

すると、最上位層と、それ以下の差が大きく開くこととなります。

だから、結論は、化学と同じ。「共通テストの独自対策などない」「大は小を兼ねる」「二次は一次を兼ねる」

これは、昔々、東大が独自に一次試験をやって、そこで人数を絞って、記述式の二次試験をやっていたのと同じです。この点は以前のこのブログでも説いておいた通りで、巡り巡って、迷走を重ねて、結局、原点に戻ってきたにすぎません。

ただ、一次試験は、共通テストとしてやり、二次試験は各大学の裁量となる点が違うだけです。

A,B,C問題の様相
 難関・医学部志望者にとっては、ここを取らないと目標の9割に到達できない、それがA問題およびBの一部です。
私がやってみた手応えを元に、以下のように分類してみました。分類については化学と同様ですので、前回を参照のこと。
A問題: 17点        B問題: 51点    C問題: 32点
人によって難易の印象は幅があると思いますが、これは<体系物理>と<アドバンス>からみた基準です。
Bの標準レベルも、B1>B2に二分割してよいかもしれません。
すると、C+B2で32+25=57点   つまり平均点位になりますから、まあ妥当な分類ではないでしょうか。
ここまでは、どんな学び方でもできるレベルです。

学び方はともあれ、もう少し頑張った人は、B1に食いついて半分も取れれば70点になります。 
だからこそ、80-90点取りたければ、学び方を考えねばならないのです。


AとB1の「難しさ」は・・・
 分かれ目となるA,B1問題は、どこが「難しい」のでしょうか?
上で述べたように、「難問」ではありません。
アドバンスレベルで鍛えていれば、「あれを共通テスト的に薄めたやつだな」とわかるのですから。
だから、そうでない人にとっては「難しい」のです。

NHK大河ドラマに喩えてみましょう。
毎週・毎回、視聴してストーリーを追って観ている(時には復習として再放送も活用して)人がいます。
そういう人は、それなりに日本史の知識もあるはずです。
それはちょうど<体系物理>を学んでから、<アドバンス演習>をこなして来た人に相当します。

そこから、「総集編」が放送されて、この総集編についてのクイズに答えるとします。
本編を観ているからこそ、総集編を観ても人物関係や展開が分かるわけです。
しかし、本編を観ていない(あるいは飛び飛びしか観ていない)人にとってはどうでしょう。
総集編だけ見てもわからないことがあり、でも、話は次々に展開するので追っていくの大変です。
実際、観てても面白くないものです。
毎回の積み重ねがあるからこそ、要約されてもその隙間が埋められるから楽しめるのです。


具体的に4つほど
 第3問A、ダイヤモンドの全反射の問題です。良い素材であり、物理問題として面白いです。
でも、これを出すなら、もっと設問を分岐して、具体的な臨界角値を求めさせたり、グフラの読み取りを誘導したり・・・とそれが二次試験のふつうの形です。
だから、タイヤモンドの形(角度や屈折率データ)もキチッと提示して計算をさせるような作りであるべきです。

 ところがそういう具体的・定量的な思考がスキップされていて、ただただ定性的に結論を求めています。
同レベルの問題をこなしていて、その流れが埋められる人には、この「総集編」を理解することはできます。
が、そのレベルにない人にとっては、ストーリーが見えない、どう考え進んでいけばいいかかわからない。
だから「難しい」のです。

「難問」を薄めるということは、薄める前を知っている人には易しく、そうでない人には「難しい」という矛盾が両立するわけです。

第3問B は、<竜頭蛇尾>的問題です。素材は「原子物理」であり、蛍光灯の仕組みですから、このテーマ自体がそもそも「難」です。コロナ休校のために、急ぎありの形ばかりの、急ぎ足授業で、物理を「強制修了」させられた現役生にとっては、触れた程度で、十分に手が届いていないテーマでしょう。
 これなども、しっかりと物理法則を適用してエネルギー保存と運動量保存で定量的に解くのが二次試験での普通のあり方でしょう。
もしかすると原題ではそうだったかもしませんが、しかし、それがコロナ休校への配慮なのでしょうか、定性的な選択問題、つまり「骨抜き」問題になっています。
このテーマで、この展開と結末はないだろう・・・事前のふれこみの割には、段々と視聴率が下がるドラマのようです。

最後は問題1の問5です。
これは、熱力学の「断熱変化」ですから、ポアソンの式を用いて計算すべきバリバリの<アドバンス>テーマです。
<体系物理>テキストでは、ここを射程に入れて、断熱変化についてはその導出まで微分方程式を用いて書いてあります。
そんなテーマを、問題1の小問にしています。だから、計算をさせずに、グラフを用いて定性的な考察で答えさせています。
だから、具体的な量的比較ができず、かつ、初期値もはっきりしないので、ボアソンを十分に知らない(多くの高校生)人には酷です。
(答えはAですが、@を選んでも部分的がある、と言うのは、やはり疑問が残る作りです。)
これは、もっとボリュームを与えて、知識も与えて、しっかり計算させて、結論を導くのがあるべき姿です。
喩えていうと、「ドラマの予告編だけ見せて、ドラマの結末を予想させる」ような問題です。

これで「大は小を兼ねる」=「二次は一次を兼ねる」という意味が伝わったでしょうか。
だから、一次試験レベルの問題をやるときにも「難しく」解いておくことが必要です。
問題の作りに助けられて答えが出せるというのではなく、二次試験がどう薄まったのかを分かって解けることです。

ちなみに、この点から言うと、第2問がもっとも良い出来です。
抵抗とコンデンサーのハイブリッド回路で、かつ、初期値と定常値を問うていますから、切り口はB1レベルです。
しかし、そのハードルは、回路のイメージ図を選択させる誘導で、クリアできるようにしてあり、しっかりと計算させて数値を答える形にしてあります。
このような<物理的なイメージ> + <定量計算>という物理的思考力を問う問題作りへと反省・シフトして欲しいものです。
                                                                                   <了>

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posted by Koujin Amano at 13:15| 体系物理

2021年01月20日

[139] センター試験改め(!?)共通テスト

共通テストで何が変わるかという話
 とりあえず、化学だけに絞って述べておきましょう。
他科目では、記述式導入や資格試験代替等、色々と問題が山積・噴出して大きな変更は見送られました。
そこで、センター試験的なマーク形式のままで「思考力や判断力をみる」という<重き十字架>を背負った船出です。

化学の授業では早々に言っておいたことです。
「高校化学の知見・知識の枠自体は同じなのだから、やるべきことは何ら変わりはしない。」
「難化上等、それならはGHS生にますます有利に働くだけ」と。
化学の実力をつけた生徒にとって、形式上の変更など何ら関係ないことです。中身である化学的思考に変わりはないのだから、当然のことなのですが、それしきで右往左往するのは、学び方が表面的・小手先である証左でしかありません。

共通テスト翌日、化学と物理を実際に解いてみて分析・比較する時間が持てました。
まずは、昨年の分析について振り返ってから、こちらに戻ってきていただくと良いでしょう。

要所を比較してみると
例によってGHSの『体系化学』によるカリキュラムの視点から設問をグレード分類します。
2020  32個設問を色分けした配点
       A 32点 : B 13点 : C 55点
2021  29個の設問
       A 18点 : B 44点 : C 38点

C問題教科:書にある知識と基本演習でカバーできる「秒殺」問題です。
つまり、どんな勉強のやり方でも(体系的でなくて詰め込みでも)正解を選ぶことが可能な設問です。
こういうのばかりみていると、センター試験は易しい、とナメてしまうわけです。
しかし、C問題はは明らかに減ったと言えます。

B問題:センター試験の過去問に十分に取り組んだ人なら確実にできる問題レベルです。
GHSの授業で言えば、ST(スタンダード)にあたります。
ここまでなら、特に体系だの何だの言わなくてもできることはできます。
ただ、『体系化学』、『有機化学』テキストをベースに、定性化学/定量化学演習をこなせば、誰でも到達できるのがGHSのメソッドのアドバンテージです。

いわゆる「標準問題」が増えた訳ですが、B問題には標準といえどレベルに幅があります。
だからこれをB1>B2と、Bリーグ並みに分割することも可能です。

B,Cを足し算すると、昨年と配点は変わりない。
でもBの割合が増えているので、多くの人には「難しく感じる」ことでしょう。
まあ、要するに、薄っぺらな知識と、闇雲な暗記では通用しない、という至極まともな話となったにすぎません。
いやいや、そンなんで済んできた、これまでのセンター試験(特にゆとり時代の)のあり方の方を問題とすべきでしょう。

Aランク: 18点分は、あるいは二次試験問題レベルから見れば決して難しいというわけではありません。とは言え、これを迷うことなく、迅速確実に解くためには、『体系化学AD(アドバンス)』の演習が必要です。
計算自体は、手間がかからないように配慮されているものの、問題の意味の把握、化学計算式の立式などは、もっと上のレベルの、
二次試験の「難問」を対象としたアドバンス演習で鍛えておかねば、問題の意味を把握することさえできないでしょう。
なぜなら、そういう「難問」をベースにして、共通テスト的に薄めたモノだからです。
ここの辺りを鍛えて点を上積みしないと、90点越えはできないのです。

BとCの境界線をどこに引くのかでCの割合はもっと増えるかもしれませんが、まともな実力があってこそ迷わず解ける問題が少なくとも20点分あるということです。9割越えを目指す難関・医学部志望者にとっては、この部分の攻略如何が明暗を分けるのです。

思考力・判断力を要する問題が増えた・・・?!
 このような「分析」が大手予備校から揃ってなされています。実は、私には、何を言っているか判りません。
文科省への忖度?ですか。

初見の反応(=教科書には絶対に載っていない)や、データを与える。最低限必要な知識も与える。これを元に読解・解析して答える。

それは、化学にとって当たり前の<思考力>です。体系化学に学ぶとはそういうことです。
だから、それを要する問題が増えて、やや難化した、という分析評は「何をか言わんや」です。

だから、「難化」ではなく、「正常化」というべきでしょう。

これまでの悪行三昧・・・・Cレベルの秒殺問題を増やし下駄を履かせて、平均点をいい具合にアップ・確保する。
それがセンター試験の常套手段でした。平均点こそが大事。選択科目で不利が生じないことが大事。
そういう行政判断で難易度が迷走していたという歴史があります。

でも、もはやそんな愚策は、もう止ーめた、ということなのでしょうね。

共通テストは共通だから
「共通テスト」には、国立だけでなく私立もさらに参入し利用してもらいたいとの願いがあります。
そういう意味で、難化した中堅以下私立医大でもそのまま採用しても遜色ない仕上がりです。

しかも、万人の目に晒されるので、奇問はありえず、ほめてもらえる問題づくりを目指しています。
だから、私からの評価は、
  「GHSで学んだことがしっかり活かせる問題づくりです。」

だんだんと二次試験と一次試験の境界線がなくなってきています。
だから、共通テスト対策・・・なんて講座はいらないのです。
化学の実力をつけるべく、体系的な学びを進めていけば良いだけ・・・GHSはそうやって歩んできました。
それと共通テストがシンクロしてくれています。時代が追いついた、というやつでしょうか。
世間が「難しくなった」と言っているのを余所に、『体系化学』はまた先へと歩を進めます。

もうすぐ『体系化学アドバンス』が貌(カタチ)となります。
そしてそれがこれからのGHSではスタンダードとなります。
アドバンスは、Extra Stageへと進み、これからのGHS生はさらに奥を究めることとなります。
愉しみです。



posted by Koujin Amano at 17:32| 入試制度

2021年01月06日

[138] 新年、終講の段

1/3 最終授業につき
今年度は、いろいろな部面で、いつもと違う生活となっていますが、GHSの年末年始もしかり。例年は、1/30-1/2の四日間、「センター試験実戦演習」がある。センター試験(共通テスト)を4回分実施するというとてもハードな総仕上げ的イベントである。

しかし、これが今回初めて中止となったのは、止むを得ないことだ。

例年、卒生たちが集結、後輩にエールを送りつつ、事務的な仕事を見事にこなしてくれる。だから、年末年始はオフになり、ホッと一息。「高みの見物」と言っては、必死の受験生にはワルいが、休ませてもらっていた。

今年はそれが無くなったこともあり、12/29,30,1/2,1/3で、補講を特別に組ませてもらった。

zoomオンラインなので、帰省していても受けられるし、いつもと変わらない生徒達が出席してくれた。

・・・結局、四月から、一度もGHSの教室に出向くことなく、私の授業は、すべてオンライン。
長野から一歩も出ずじまい。まあ、一応、私は「医療関係者」なので、万が一にもリスクは避けねばならない。病院にもGHSにも迷惑は掛けられないから、結局、生徒とは対面できずじまい。

だから余計にか、印象深い今年のGHS生である。LINEを通して、答案を提出してもらって、LINEで返却。その記録がずっと残っている。( iPhoneのメモアプリを使うと書類スキャンができてしまう!!)実際に答案のやり取りをすると少なくとも1週間はかかるが、時は即返信も可能。

最終授業は、1/2が有機アドバンスの「Wエステル」(ジエステルのこと)。1/3が体系化学アドバンスの「無機定量分析<2>」であった。

とはいえ、これから特別補講として、アドバンスの授業を設定する可能性はある。やりたいことは、尽きないものだ。しかし、共通テストに向けて、ここで明確な区切りをつけておくべきである。

こんな状況で、共通テストが、無事に、安全に行えるのかは' ? 'だけれど、文科省は押し切るようだから、日程通りに終えられたら、また次のことを考えよう。

それまでは、今年の生徒達の答案によってさらに充実することができた「体系化学アドバンス」の完成に時間と力を注ごう。体系化学AD Theme1-16までの4巻および有機ADの2巻までが、間も無くその姿を現すことになる。そして、その先へ。

授業の最後には、今年度の生徒とは1つ約束をした。
皆が大学生となり、そしてこの状況が終息して、日常が戻ってきたら、夏休みか、冬休みか、春休み、なるべく全員集まって、初対面の同期会を開催しよう、と。

それがむしろ「今までにない楽しみ」である。

posted by Koujin Amano at 10:39| 体系化学

2020年11月06日

[137] 『体系化学アドバンス』コンプリート版 第一弾・出来!!

そして二ヶ月
 前回の更新から二ヶ月ほど経ちました。
今週は、実力テスト期間で、一週間授業がなし。
つまり、パワポやワンノートとの付き合いも凍結。
このタイミングを狙っていました。
四月から、「体系化学AD(アドバンス)」の授業が始まりました。
『体系化学』修了レベルで、課題提出ができること。これが条件。
それを今まで継続しているツワモノが10名ほど。

四月の時点では、選抜されなかった生徒たちも、10月からAD2開始。
アドバンスの2番列車なのです。
すでに授業は四回を数えており、GHS長野校の生徒も参戦。
15名が切磋琢磨しています。
これだけの人数が出してくる課題を、授業までに目を通すのは大変?!
が、それほど大変でもないです。
pdfスキャンで送られてくる答案はかさばらない。
ラインワークスからダウンロードすると、パソコンが勝手にフォルダに収納する。
しかも、タイトルのつけ方を決めてあるので、問題ごとに仕分けてくれる。
だから、採点・添削効率はよく、返却も一瞬。
病院の仕事に合間に医局に戻り、そのタイミングで来たりすると、
超速で返送したりすることもありで。

ま、そんなこんなで、出来!!
そういう、沢山の答案を見ながら、年初から春にかけて書いたADの原稿を再読する。
そうすると、コメントする視点が加わる。加筆修正と、誤植文字化け等も発見する。
そして、今週、えいやっと気合い入れて集中し、データ完成に漕ぎ着けました。

アドバンスのテーマごとに、「難問」ドリルがついている。
しかし、例題から、ドリル演習をその順番でやって行くと、ふっと思う時がくる。
   「えっ、どこが難問なの?」
そう、「難問」などない。それは受験生の主観が作り出したイリュージョン。
それにふっと気づき、「ツキモノ」が取れる瞬間が訪れる。

今後のカリキュラムの都合から、vol.3に当たる5つのThemeをまとめたものが第一号。
Theme7-11、併せて190ページになった。
『医大受験』連載時は、それなりにページを意識しました。
しかし、このコンプリート版は、そンなことイに介さず。
その「フッ」となるところまで、心置きなくドリルを堪能できる仕様です。

テーマは有機合わせて少なくもとも30程あるので、全シリーズだと・・・。
優に1000ページは越える、が、キにしない。
薄くても進まないもの、途中で投げ出すモノより、どんどん進むこと。
フッとなれて、次のテーマでも同じ感覚を求めたくなる。
そういう作りとなっています。

EBで全公開
 その全てを、GHSのHP、テキスト公開コーナーで無料公開としました。
ページちょっとだけ試し読み、とかじゃないです。
全ページ読めるようにしてあります。
ただ、ダウンロードはできません。それは、著作としては当然のこと。

とりあえず、頑張っている生徒のために、印刷製本は本日発注。
一週間もすれば、紙媒体として、手に取ることができる。

そして、とりあえず、初回は50冊しか作りません。
沢山の人に売る気なんてないからです。
『体系化学』をモノにしていないと役立たず。
『体系化学』をモノにするために役に立ちます。
そんな位置にある30人ほどの該当の生徒に渡します。

そしてGHS内閲覧用なども入れて、残部は若干となるでしょう。
例によって、紙媒体でも欲しいという方には、先着順になります。
コスト的に見ると、一冊1,500円位になります。
GHSの方にメールにて、その旨、お知らせください。

ちなみに、第二弾は、12月後半。内容は1st Stageです。
AD2の授業は、これから1st Stageへと逆行することになる。
それが終わってから、印刷製本するからです。

なぜ、逆順? なんてことは賢明なる読者・受験生は言わないでしょうね。
だって、<すべてが1つ>ですから。
一周した後は、順番はたとえランダムでも関係ない。
整然と系統だっているのが体系というもの。
だからこそ、逆行だろうが、ランダムだろうが、道に迷うことはないでしょ。
そういうものです。
posted by Koujin Amano at 23:38| 体系化学

2020年08月12日

[136] パワポな日々

相変わらずオンラインにて候
長野県では、小中高ともはや普通に登校しており、夏休みは塾もふつうに夏期講習。
高校野球県大会を皮切りに、野球大会もぼちぼち開催されてきている。
(・・・ちなみに、私の今年の初試合は、なんとまあ、8/16のお盆開催となった。
お盆で人が集まらない中、人数ギリギリで、朝一・多分夏日の中・・・)

しかし、本業の方の最新感染予防対策では「首都圏への移動は禁止では無いが逐次要報告」。
毎年、猛暑の東京に出向いての授業(長野県から行くと特に堪えるよ)を避けられるし・・・
そんなこんなで、依然として化学だけは、オンライン授業が続いている。

オンライン仕様
 化学の授業は、「定量化学」「定性化学」「有機化学」「体系化学アドバンス」の4種類。
各々にテキストがあり、解答解説もデータ化がほぼできている。
だが、対面形式で板書するのとは勝手が違う。
各々の授業の特性に合わせる形で、仕様するアプリが、なんとなく自然に分かれ定まってきた。

・「定量化学」は、基本的には、計算式を提示することになることから、Word形式のままでよい。
だから、Officeの中にある、OneNoteに授業に必要なものを前もって色々と貼り付けておく。
『体系化化学』のページも、定量化学テキストの問題も、解答も、1つのキャンバスにおいておくと、
画面を切り替える手間が省ける。こんな便利なツールがあるとは。
しかし、オンライン授業だからこそ、その有用性がわかった次第。

・「有機化学」は、テキスト自体がビジュアルなので、そのpdfでよく、そこに書き込みながらコメントする。
問題演習や解説もpdfで済むようにできていることに今更気がついた。
「体系化学アドバンス」も提出課題も、Wordとそのpdfが合っている。

・「定性化学」、これが最も時間を食っている。
問題自体はシンプルだが、解説を始めると、世界が広がるし、知識連携が必要となる。
これはPowerPointで作っている。有機化学を除いても400以上の問題がある。
過去35年に渡る、センター試験の過去問を整序したものだ。
それを10問ごとに、1つのPowerPointにまとめていく。すでに30回分を超えてきた。
また、よく作ったもんだ。
オンラインがもたらした、不思議な強制力と、籠(こも)りの感覚の持続。
それが、今まで面倒だなあと思っていたことを、コツコツと実現させてくれている。

1つの問題に、複数のスライドを使い、動画・画像、アニメーション等々、使い分ける。
 実は、「漢文解析」も、このパワポと相性がよく、元々の長い解説文がワードで書いておく。
これを文ごとに、要点・用語を提示しながら、しゃべりで行間を埋めていく。

ライブを録画なんて・・・
 「授業というものは、ライブに限る。」
その時その時の臨機応変と生徒への対応、その一回キリの勝負の積み重ねが生み出すもの。
それをGHSで教壇に立つ楽しみとしてきた。
だから、録音したり、録画したりということは(皆無ではないが)やってこなかったに等しい。
授業動画を配信するサイトからの話もあったが、性に合わないと思った。
前もって用意した原稿を読むなら、代役で・・・。

ところが、zoomには、手軽に録画できる機能があり、自動的にmp4に変換してくれる。
ちょうど使わなくなった500Gの HDDがあるから試しにやってみた。
授業の後で、視聴したが、これが面白い。自分の授業を聞いてそう思ってしまった。
自分が高校生に戻れた気分だ。
喋り方に、いくつか癖があることにも気づいた。
次からちょっと変えたりしてみて、これもまた面白い。
そうこうするうちに、模試などが始まり、録画を後で見たいという生徒に応えるようにした。

単純計算すると、90分授業で、200M程度なので、このHDDに2000回分録画可能ということになる。
だったら毎回してやれ!!と思って続けている。

もうすぐ二学期
 今年の進みは例年に増して速い。
とりあえず、前もって教材を「ここまで」と用意するからだろう。
いつもより、話の枝葉は抑え気味であり、その分、キチッと進度が出る。
それが良くも悪しくも、集団に対面する時と、オンラインで個々に対峙する違い。
残念ながら、医療関係者の一員としては、二学期もオンラインだと思う。
・・・感染症対策に前線にはいないのだが、東京との往来は解禁ではない。

このままだと、生徒にほとんど対面せずに一年終わるかな・・・と思いつつ。
それでも、オンラインを通して何が伝わり、どこまで深まるか。
それも見てみたいとも思う。
それが生徒たちにとっても、今までにない強烈な思い出になってくれたらと思う。

posted by Koujin Amano at 16:39| 体系化学

2020年07月15日

[135] アドバンスな此の頃

いまだオンラインな日々
 世の中は、小中高校で手探りながら、授業が進められている。
GHSでは前期授業日程が終了し、今週は補講調整期間である。
つまり、私にとってはオフなのである。(・・・休んでますから心配しないで)

学校の方は、7月一杯、夏休みを切り詰めての突貫工事的授業と。
もはや、生徒の理解などより、カリキュラム消化優先の辻褄合わせが横行している。
進むのが早くて理解できずに置いてけぼり。
味見したところで下げられてしまうコース料理の様相である。
それもこれも、「大学入試はほぼ例年の日程通りで行う」という文科省の決定のせい。
現場の教師に責任はない。
どうしようもない中で、できることは「とりあえずやりました」という形のみ。

9月入学に切り替えて、第2波が来ても、余裕を持って教育課程が終了するようにと、
責任ある大人たちが子供の未来のために、日本の未来のために決断するかと思いきや、
当事者となる大人たちが面倒でシンドイことを避けて、もっとも楽な方法・・・・
つまり若い世代に皺寄せすることで、ここを切り抜けよう(=ごまかそう)としている。
「教育は国家百年の計」とは政治家に必須の文言のはずだが、何処へやら。

実は、アベシンゾーは、私の故郷・下関の、まさにウチの選挙区から出ている政治家である。
かつて地元では「政治家のボンボン」でしかなかった彼が、
父の果たせなかった夢の総理大臣となり、
いよいよ祖父の果たせなかった悲願の憲法改正を・・・・と進むのかと思ってはいたのだが・・。
確かに、9月入学への制度切り替えは面倒で問題山積かとは思うが、
だから政治家の一世一代、歴史に残る決断が必要なわけで、
この程度の難題を押し切れないでいて、さらなる難問である憲法改正なんてできるわけが・・・と
まあ、決断力と行動力の無さの連発に、地元の期待感ももはやしぼむ一方である。
次はないなぁ・・・・・と。

さて、アベシンゾーのことはほっちょいて(「放っておいて」の下関弁)、
GW前から続くオンラインな日々。
長野では、この二ヶ月近く感染者がおらず・・・という状態ではあるが、(7/13,14単発で2人)
病院勤務医という立場上は、東京に出向いての対面授業に移行するのは「自粛」している。
代替手段があるのに、あえて東京圏に出掛けて行くことは、今の私の状況ではさすがにできない。

もっとも西新宿の本部校では、宣言解除後は、対面授業が時間割通りに行われている。
そこで月曜夜だけは生徒たちは英語が終わったあと、
教室に残ってオンライン授業を受けるという形となる。
金土の化学は、すべて長野発のオンライン授業なので、
生徒達は、自宅から、自習室から、教室からと様々に受講している。

で、最近、必要な時だけ、Zoomで録画することを覚えた。90分でmp4の動画200Mほどになる。
500GのHDDなので、2500回分は録画できる計算だ。一年分全部録画しても余裕だな・・。
記録に残そうとなどと思う気持ちはないが、たまには自分で聞き返してみるのも必要かと。
間とか、動きとか、色々と勉強になる、が、やっぱり内容は面白い。体系化学が、さらに深まっている。
叶うことなら、時空を超えて、高校生頃の悩み多かりし自分に届けたいと思ったりする。


是亦、アドバンスなる日々
 本日、GW前からオンライン授業とラインワークスのやりとりで進めた『体系化学アドバンス 』
その確定分をHPのテキスト公開コーナーにアップした。
ラインワークスのおかげで、課題の指示が確実に行き渡るようになった。
生徒たちは、答案を写真に撮ってpdf変換して送るので、事前にいつでも受け取れる。
pdfに上書きして添削すれば良いので、空き時間にちょこちょこやることができる。
授業前に返却することができ、それを手元に生徒は受講できる。

紙ベースでは、そんなやりとりが面倒かつ困難だった。
だから、今まであまり課題を出さない講師であったが、今年は、別人の様に課題攻勢に出ている。

さて、体系化学アドバンスの授業を受けるのに条件を設けている。
最初の方は、こちらも生徒を把握できていなかったので、自由任意としていたが、
やがて、
・『体系化学』の学びが一通り修了していること またはそれ相当
これは当然として、
・6月の実力テストで基準点をクリアしていること、
さらに、
・課題提出が続けられること
2週続けて課題提出がない場合は受講するレベルになし、出席を許可しないことにした。
ラインワークスには、答案のファィルが順次残るからそれは明白。
Zoomだと、許可ボタンを押さなければいいので、それは容易。

「出るだけでも出たい」・・・という淡い希望は聞かない。無理なものは無理。
10kmも走れないのに、マラソンに出ます、ということが無理なくらいに無理。
二番列車の、二学期後半までに、実力を蓄えるしかない。

そんなハードな授業だが、今年のGHSの精鋭11名がメンバーとして固定した。
「難問」に立ち向かい、ある時は勝利し、ある時は跳ね返される。
そして、また立ち向かって・・・・を繰り返し今に至る。
ここまででも相当ハードな「難問」へのチャレンジの連続。
Themeひとつ毎で、「難問」ドリルは10問ある。

そんな彼らの渾身の答案のおかげで、体系化学アドバンスの解説は充実する。
今年もさらに、修正加筆を重ねることができている。
私が思うより他に説くべきポイントを教えられることもある。
それらが歴代の生徒達の努力に上乗せされる。
こうやって、『体系化学アドバンス』は日々形作られているのである。

Themeごと6つ分をアッブしてあり、解説もすべて付いている。
だから、それがどんなハードな修練かを実際に見ていただければ良いかと思う。
1巻あたりは150ページ以内でまとめて製本する予定であり、間もなくVOl.1が制作される。

もし、全部をやりきれば、ここまでの5倍ほどのThemeをこなすことになる。
中々一年間のコマ数ではやり切れない分量である。
その分を独習できるようにするための製本化でもある。

あーあ、でも、もし、9月入学制度に移行できていたならば・・・。
あるいは、せめて2-3ヶ月の入試の延期が決まっていたなら・・・。
アドバンス全部を余裕を持って完走できると期待したのだが、さてどこまで・・・。

ああ、そじゃけぇ、次の選挙にゃぁ、アベさんにゃぁ入れちゃらんけーのぅ (←住民票無いでしょ)
posted by Koujin Amano at 14:23| 体系化学

2020年05月27日

[133] ラインワークスな日々

ようやく登校再開
 非常事態ではなくなりましたが、ウィルス感染の連鎖反応が鎮まっただけです。コロナウィルス自体は限局して潜伏して、次の増殖のチャンスを待っているだけです。特に、感染者数が多い国に比べて一桁少ない日本では、抗体免疫を獲得している人の割合が少ないということだから、第二波においては、今度は、欧米と逆転した増加曲線グラフになることが十分予想されます。

 まだまだ予断を許さない中での登校再開。GHSでも、対面授業再開へと動きつつ、この経験で確認されたオンライン授業の利点をふまえ、今しばらくは、併用のハイブリッドな状態で様子を見ることになります。一番ひどい目に遭っているのが、今の高校三年生でしょう。部活中止で引退試合もなくなり、文化祭もなくなり、もちろん、一部の私立を除いて、授業はないまま3ヶ月、実質、ほったらかしです。センター試験改め共通テストの科目がカバーできません。

 もっとも、高校の授業をやったから共通テストができるようになる訳ではないですが、塾や予備校で、英数以外も全てカバーすることはできません。まず費用的に無理です。せめて社会科くらいは学校でやってくれないと・・・。

 九月入学について議論されていますが、だから、せめて最低、大学入試だけでも、その分ずらして実施する英断がほしいものです。夏休みや土曜日を活用して、行事を削って、授業時間数だけ確保する・・・って学校じゃないでしょ? 予備校じゃないんだから。だったら塾でいいんだから。そういうのはけしからん!! と断固反対していた文科省が、そんな「手のひら返し」をしたらまさに自分の首を絞める行為ですが・・・教育とはの大義名分を守る思考はまだ健在であることを願います。

LINE WORKS登場
 ビジネス用のラインアプリです。会社で、部署ごとにデータも含めてやりとりするのに特化したものです。その機能を使い尽くしているとは言えませんが、授業グループごとの連絡が全員に、メールより手軽に、確実に届くようになったことは大きな利点です。それを今はさらに、私自身は、PCで管理しいます。PC用のLINE WORKSがあり、これだと、
1. 課題をケータイで撮影しpdfにする
2.LINEWORKSで私宛に送る。
3.それをPC上で開き(すぐに開きます)、画面上で上書きし添削・採点する
4.ドロップ&ペーストで返却
 紙ベースのやりとりより断然速い。普通は一週間かかるのですが、極端な話、仕事の合間に来たら即レスのこともあります。答案を20枚もドカッともらって、次の週に返すってのは今後はやらなくなるでしょう。
 生徒がそれぞれのペースでポツポツと送ってくるので、分散していて、返すのがかえって早くなっています。例年に増して授業毎の予習課題・復習課題を出しています。量は少ないですが、明らかに回数が増えています。それもこれも、答案の処理速度に依存するからです。どんなに遅くても次の日には返却しています。
 場合によっては、「違う」と送ると、できるまで修正して送り返してくる生徒もいます。それも大した手間ではないですが、「何度も付き合っていただきありがとうございます」と感謝されたりします。
対面で何度も何度も質問に来られるとさすがに面倒になりそうですが、LINE WORKS上のやりとりはそこを薄めてくれて、かえってコミュニケーションを密にしてくれているようです。私自身は、決してこんなにマメで面倒見のいいセンセイではないと内心苦笑していますがが、「LINEWORKSが人を作って」くれているかのようです。

 でも、高校の先生だと、こんなことは「手抜き」とか言われてしまうかもしれず、軽々にはできないでしょうね。

新EBへの乗り換え
 EBとは、電子ブックのことです。GHSのHPでテキストをEBで公開していますが、「Stay Shinshu」の機会を利用して、先日、ページを更新しました。それぞれに表紙のアイコンをつけただけでなく、EBの作成ソフトも乗り換えました。以前のEBソフトも契約が残っているので、サイズによって使い分けています。

 『体系化学アドバンス2020』は、毎週授業が終わるごとに、そのTheme毎にアップしていく形にしました。「困難は分割せよ」です。なので、読者受験生諸氏には、毎週配信のメルマガ風なノリで、楽しんでいただければと思います。そして、150ページ程度を目処に印刷製本し、vol1,vol.2....と紙媒体のテキストとして順次仕上げていくプランです。すでに、1月から原稿のデータ化がかなり進んでいますが、生徒たちの反応、課題答案からのフィードバックを盛り込み、校正加えながら進むということで、早期の完成を目指しています。

ただし、閲覧可能期間は、1ヶ月ですのでご注意を。私が決めたのではなく、無料アカウントのルールなのです。その次の段階が、いきなり初期費用10万円、月1万という仰天プランで......。

だから、毎週の配信に合わせて、順々と、貯めずに読んでいただくことをオススメします。
posted by Koujin Amano at 11:38| ノンカテゴリー