2016年04月30日

[90] 体系化学・二題

体系化学ないし化学体系
 この春、「体系化学」との名を冠した学参が市場に出た。
もっとも、『思考訓練化学』の改訂版ではないし、
互いにまったく縁もゆかりもない存在である。
もちろん、こちらに事前予告などはなかった(^o^;)

両書とも入手したので(どこぞのサイトの書評のように、書店で斜め読みした程度で
テキトーに書き散らすようなことは、さすがにしませんよ・・・)
簡単ながら、感想を(書評なんておこがましい f^_^;)記しておきたいと思う。

1.『体系化学』(教学社・北角 巌著)
いわずと知れた‘赤本’の教学社である。実は教学社は、京都の左京区岩倉にあるのだ。
京大よりはかなり北ではあるが、学生の頃、その辺りは
「原チャリ」で塾講バイトで通った憶えがある。HONDAのJOGはよく走ったなあ・・・。

本題に戻ろう。
著者は関西の予備校講師を経て、今は金沢の高校教師とある。年齢は40代前半。
私の再受験歴を差し引くと、まあ、だいたい同じような時代の受験環境を生きてきたのだろう。
あの、予備校の講師がもっとも輝いていて、リッチで、憧れられ、師として仰がれた時代である。

「体系」ということに関していえば、私としては「体系でもなんでもない」というしかない。
まちがいなく、「体系」の定義がちがうのだから。
私のいう「体系」とは、読者諸氏には改めて説くまでもまでもないが、
 「一つがすべてであり、すべてが一つである」
との「まえがき」の一言に尽きている。
論理化とは具体からの抽象であるから、その論理化の行き着くところは「原理」となる。
その原理が冒頭に掲げられているか否かが、体系的かどうかの唯一の判定指標である。
その点から眺めてみる。
「はしがき」にはこうある。

 化学の入試問題の解答に必要なのは「原理の理解と正しい知識」そして
「知識を活用する力」です。・・・後者は問題集によって養成されます。
この本は、その後者の力を養成する待望の一冊です。

なるほど。ちなみに、前者は「授業や参考書」で得られるそうである。
つまり「原理」(や「知識」)は習得済みであることが前提らしい。
ならば、その原理を提示している参考書が著作としてあるのかと思って
紹介をみれば、『大学入試 萌えわかり化学反応式 重要パターン50』と。
・・・あとは推して知るべし。

掲載順 本書は「化学基礎」「化学」の教科書の内容順に掲載しました。
学校で習った順番で演習できるようになっています。

レベル @基本問題、A発展問題、B応用問題のうち@,Aを掲載
パータン @分野別問題とA融合問題のうつち@に絞り掲載
テーマ 各分野、テーマ毎に問題を選定。各分野のテーマを網羅

世間一般的には、これが「体系」というイメージなのであろう。
 単元別、テーマ別に整理整頓、基本から応用へ
しかも教科書に準拠。なんの問題があるのか!!

実はこれは、超ロングセラーの「体系物理」(教学社)とおなじ構成である。
私も高校時代、指導者のいない地方に住み、物理の学びに悩み、
その名称に惹かれて購入し、最後までやってみた口である。
その問題集が営々と引き継がれ(解答は昔より数学的にレベルアップしてましたね)
今に至るのはすごいことで賞賛に価するが、同時に、
テキスト・参考書としての「体系物理」という著作が存在しないのもまた共通である。

「体系」という名に惹かれて手に取る受験生は、教科書や授業に飽き足らず、
それでは求めるものが得られず、でもその何かかが分からず、その何かを求めるのでろう。
少なくともかつての私はそうだった。・・・・だからこその私自身が自らに出した答えとしての
思考訓練シリーズの『体系化学』であった。

しかしながら、本問題集のためにいっておくと、『思考訓練体系化学』を学んだものにとっては
演習するにはよい問題集である。体系的な学びのあとには順序は関係ないのだから。
ただし、それはどの問題集でも同じだということとともに、
解答解説は『思考訓練体系化学』的に書き改めることとなるが。
まあ、それはそれでよい練習である。
とはいえGHSでは、解答書き換え練習台としては『重問2010』を採用しているので
あえてこちらに換えることはないが、
しかし、「はしがき」の趣旨からすれば、そのように使うのには適切であるには違いない。
                                         《続》
posted by Koujin Amano at 17:00| 体系化学