2017年08月26日

[105] ‘水蒸気よ、永遠なれ’

気がつくと、あっという間に、夏期まで駆け抜けてしまった。
前回、水蒸気の話をしたが、この間にかなりの問題をやっつけて、
解析と論理化がすすんだ。その成果は、いずれ何らかの形で公開しようとは思うが、
とにかく、入試では「難問」の群を形成することは昔から変わらないのに、
水蒸気についての扱いを明解に説いたものは管見ではなく、
(だからこそ、ずっと「難問」のままなのだろうが・・・)
受験化学において、手付かずの領域である。
実際、教科書や参考書でも、どの箇所で本格的に扱うかは定かではない。
たしかに、気体に関連して、蒸気圧曲線や、飽和蒸気圧について触れることはあるが、
入試の蒸気圧についての問題を解くには心許ないレベルでしかない。

それは、前回示した、蒸気の問題分類目次でも明らかになったように、
化学のあらゆる分野に顔をだす、「スパイス」だからである。
中身は基本的な気体の問題でありながら、「水蒸気は無視できない」とするだけで
「難問」に格上げされる。
そんな水蒸気および蒸気一般の論理性と解法の探求が夏期の講義までで、
とりあえず一段落ついたので、そのエッセンスを他のクラスにも還元すべく、
講義しはじめたところである。データ化も進んでいる。

「案外」といってよいかは微妙だが、センター試験には、この「蒸気」をあつかった良問が
少なからずあるのである。センター試験レベルで100点満点を狙うには、
こういう点での攻略も二次試験レベルでできている必要があると感じたわけである。

『体系化学』および『体系化学アドバンス(1)』の読者諸氏諸君に向けて、
特にいっておくと、水蒸気の問題を解くための「原点」は、
水銀による蒸気圧測定法、いわゆるトリチェリの真空の問題である。
水銀は、その中毒性などから余りイメージは芳しくないが、
殊、蒸気圧を語るにあたっては、主役といってよいほどに優れた物性をもつ。
水銀血圧計が医療の現場では、けっして無くなることはないことからも示唆されるように、
蒸気圧と水銀の関係は ‘永遠’ なのであると感じた次第。
だから「蒸気と水銀よ、永遠なれ」ということが骨子なのだが、
語呂的にはタイトルのごとくにしておいた次第。

そこで問題として浮上したのが、水銀柱の「長さ」を「圧力」に換算する公式である。
これを水銀柱に限らない一般形にして、化学基礎公式B'の拡張公式No.3として
位置付けることにしたことを報告しておきたい。
化学基礎公式@の分子の拡張公式として、『体系化学』においてすでに説いたように、
密度を質量に換算する公式がNo.1である。
また、『体系化学アドバンス』において紹介したように、
化学基礎公式@の分母を「平均分子量」として捉えるのが拡張公式No.2である。
ここで、拡張公式が追加となるとは私も予定になかったが、
これがあると蒸気圧測定の問題が統一的に(≒ワンパターン)で解ける。
それはいったいどんなものか……各人、推理しながら、公開の時をお待ちいただきたい。
posted by Koujin Amano at 11:50| 体系化学