2017年10月26日

[107] アミノ酸 ‘カスケード’ という話

高分子の世界に届く
 GHSでは、カリキュラム自体の体系化も進めている。
ただただ文科省指導要領の単元通りに問題をこなすなんてことはない。
まず必要なのは、高校卒としてまともな学力を与えられないままに
浪人してしまった受験生の再生・再履修プログラムである。
 今回は、そのうち、有機化学の話を書いておきたい。
有機化学テキストは、ver4となるが(GHSのHPにて電子ブックにて公開中)、
これを用いることにより、4月からスタートし、週1回90分の授業でありながら
8月一杯で2/3の区切りを迎え、2学期は丸々、残り1/3の高分子の授業に
充てることが可能になっている。
そう、後手後手になりがちで、手薄になりがちな有機高分子のエリアは、
GHSでは、第二学期のメインディッシュとして提供される。
まさに、受験生にとっての「理想と夢」が実現できているのである。

教科書にちりばめられた枝葉的知識とコアとなる知識を峻別すれば、
そういうことも可能となる。
それは『体系化学』の記述方法論と同一線上にあり、端的には
しっかりとした知識の骨格があれば、枝葉はあとからいくらでもついてくる、
ということである。あれもこれもと盛り込むと、メインデッシュに行くまでに
お腹いっぱいになってしまい、全体像を得損なうものである。

 ーー 最近、ある高校生が使っている教科書をみる機会があり、
       それは、ちょうど「化学平衡」のところであったが、
   気相平衡の例としてハーバー法の紹介があったまではよかったが、
   そこからなんと、オストワルト法と接触法について反応式を示しての説明が続く。
   「なんでこんなところで、寄り道・脱線するのか??」
        「化学平衡の法則まで一直線でいかないと、高校生は混乱するでしょ……」
   授業ノートをみせてもらうと、ご丁寧にその説明も板書してある。
   知識自体は正しいが、ここで「ついでに」やることではないでしょ?
   ・・・私もかつては、こんなヒドい化学や物理の教科書に翻弄されたんだなぁーーー 

どういう知識をどういうストーリ仕立てで、どう順序で与えるか、それが大切だ。
知識自体はウソでも間違いでもないが、その並べ方をまちがえると正しい理解を阻害する。

もとに戻ろう。有機化学テキストは、一つのストーリーになっている。
その始まりのロジックは、途中でも、後ろの方でも繰り返し登場し、
生徒の論理性を醸成することにも資するようになっている。
知識の範囲は同じでも、まったく別物になっているわけである、
つまり、『体系化学』と同様である。

アミノ酸の'カスケード'とは
 今回のトピックは、そんな有機高分子の3/4番手に学ぶことになる、
蛋白質・アミノ酸のエリアのことである。
ご存知のように蛋白質を構成するα-アミノ酸は、20種類ほどある。
その20種類をどうやって覚えるか?という話である。

その要点は、20種の紹介はしても「全部覚えようとしてはならない!!」ということである。
まずは次の8種類だけについて、系統的に配置もあわせて覚えよ!(◎_◎;)という指導をする。
これを称して 'アミノ酸カスケード' という。
         ↓ click
アミノ酸カスケード図.tiffアミノ酸カスケード図.tiff     
 アミノ酸カスケード図.jpg





     
なんとなれば、入試的に出題頻度が高いのはこれだけだからである。
その理由は簡単、それ以外は構造式が複雑であるため、
「構造式を書け」とは問えないからであり、構造式を与えるしかないからである。
そして、その駄目押しとして、昨年と今年にまたがって、
この 'アミノ酸カスケード' の記憶法コンテストを実施した。
課題は、「α-アミノ酸の共通骨格の式量74g/molと8種類のアミノ酸名を織り込んで、
この順序で覚える語呂合わせ」であり、受講者全員に考えてもらう。
優秀作品にはささやかながら賞品を送る。
そして、GHS有機化学テキストに掲載され、歴代のコンテストグランプリ獲得者とともに、
卒後も名を留めることとなるv( ̄Д ̄)v 手(チョキ)
これまで、「陰イオン化傾向」にはじまり、「カルボン酸」、「ジカルボン酸」、
「油脂フォーマット」とやってきて「アミノ酸」である。
もちろん、審査員は私一人なので、判定には主観しか入らない´д` ;が、
そんなことは実はどうでもいい、オリジナルの記憶法づくりに時間を費やすうちに、
自然と覚えてしまうことが狙いである。

そうやって、主要なアミノ酸8個が、整然と銘記されたら、それ以外は、
問題演習で出会うごとに必要なかぎりて少しずつ追加していけばよい。
これと、必須アミノ酸の記憶法(これは巷にゴマンとある)と合わせれば十二分である。

常人にはアミノ20種類なんてとうてい覚えられやしない。
それができるくらいコピー力が旺盛なら、浪人などしていないだろう。
そうやって覚えること自体を挫折させてしまうよりも、
とりあえずこの8個の確実な記憶の方が、後々、記憶を発展させられるのは当然の理である。
だから、最初は、あえて残りの12個を後回しにするのである。
・・・それをついでに、とばかりあれもこれもと紹介するようなことをやっていると、
生徒は何一つ覚えていない、ということになる。
物事の学びは、選び方と並べ方が大切である、ということである。
見せないこと、触れないこともまた、教育メソッドである。

次年度、有機化学テキストver.5の公開時には、このコンテストの記事ももりこむ予定である。 

posted by Koujin Amano at 21:12| カリキュラム