2018年05月16日

[117] ‘オンデマンド’の恩恵

漢文テキスト・熱中の余波
 昨夜ようやく、体系物理テキスト ver5がデータ入稿となり、印刷開始となった。
来週には、全280頁の、GHS体系物理カリキュラムの基本書となるテキストが到着する予定である。
ここまでは昨年までの力学編のみの独立したテキスト(モノクロ印刷)で授業をしのいできたが、
来週からは、合本のフルカラーテキストでの授業が可能となる。

授業自体に支障はないものの、開講一ヶ月もすぎての配布というのは、本年のGHS生には
大変申し訳なく思っているが、その分ver4と比べて加筆修正した部分はかなり多く充実したものになった。
基本書としてはもはや完成版といってよいと思う。
ここからは、対応する演習書のテキスト化にむけて解答・解説を充実させていくことへと進みたい。
いわゆる問題集としては、部分部分ではできているが、それを統合してテキスト化するには
まだ熟成のための時間が必要である。

ちょうど一ヶ月遅れの原因は、疑いなく「漢文句法ドリル」のテキストの入れ込み過ぎであり、
一ヶ月で作るつもりが、途中から構想拡大し、『漢文解析』で説けなかった内容も盛り込んだため、
倍の2ヶ月を要したことにあるのは明らかである。

おかげさまで、市川久善による漢文基礎の授業は、一層の楽しさを増して快走している。
おそらく8月くらいには、この基礎テキストを終える予定であり、授業ごとに校正をすすめ、
終了次第、テキストの印刷に移ろうと思っている。

ところで・・・
 このように書きながらも、実は今年度、私は体系物理の授業を担当していない。
GHS卒生であり、かつ京大理学部の卒生である田川先生が物理の主担当として
活躍してくれているからである。これぞ、長年夢にみていた「介護状態」である。
「ぼくが物理をやりますから、化学の授業のコマを充実するとともに、
 漢文や医系生物セミナーにエネルギーを注いでください」との申し出が頼もしくも嬉しかった。
最終理想目標は、物理と化学から完全に手が離れて、漢文や古文や倫理社会のような
好きな授業を楽しくやりながら晩節をすごすことであるが・・・・。

GHSの化学・物理の授業は、基本的には卒生でなければ務まらないが、
逆に、卒生であれば同じように指導できるように技術化されているから、
それにテキスト化・マニュアル化が加われば、指導法の試行錯誤なく、
講師のもつ個性が生かせることになる。そのためのテキスト化である。

オンデマンド
 これで、本年度のテキストはようやく出揃ったわけで、
今月中にも、GHSのHPに電子ブックとして公開することになるだろう。
体系化学に加えて、定量と定性の演習テキスト、有機化学、そして体系物理と
製本化してきたが、その波の元は、ここ二、三年の出版業界の変化である。
IT・ネット社会の進展により「本が売れない」ゆえの出版不況・・・などと言われているが、
逆にそのIT・ネット社会の変化が、GHSのテキスト作りを後押ししてくれている。
普通、出版物といえば、オフセット印刷といって、輪転機を回せばあっという間に
千、万と刷れてしまう技術が主流である。

だから『体系化学』や『漢文解析』は、1000部が最低単位であり、
何万、何十万・・・多ければ多いほど単価は安くなる。
逆にそれ以下だと、すごく高くつくので、簡単には出版などできない・・・・・
2008年当時はそんな環境であった。在庫がなくなるのを待って、
それからようやく第二版として修正が可能となる、実にもどかしいことであった。
体系化学のような本をザっと印刷すると200万円ほどの費用がかかる。

GHSのような少人数の生徒のためのテキストをつくるには、
中綴じでは32頁くらいが限度だったし、それより多いと、コピーしたものを
とじたくん」でカバーの背を熱してくっつけて簡易製本してみたり・・・
と色々やってきた。懇意にしている印刷屋さんに頼むこともできたが、
最低100部で、モノクロとなる。それでも10数万円かかる。
カラーだとその数倍となるとの見積もりであった。とんでもない!!

実は、100部もつくってしまうと、GHSの人数なら、2-3年間は改定ができない。
それはむしろ『体系化学』のときよりも環境は低下していたともいえる。
今回、物理の力学編の残部あったのも、そのおかげではあるが、その間に、
年々GHSのカリキュラムは発展を遂げるので、これもまたもどかしいものであった。

そこに登場してきたのが、オンデマンド印刷である。
オフセット印刷では、大きな紙に印刷するので、基本的には頁数は16の倍数となる。
頁が余ったときにはそこに広告や告知をいれて埋めたりする。
ところが、オンデマンドは、業務用のプリンターで印刷し製本するので、
頁数も4ページ単位で指定できる。物理テキストは280頁だが、オフセットなら、
16×18=288で、あと8ページほど何か付け足さないといけないところであったが、
オンデマンドなのでぴったりおさまった。

化学は60部、物理は50部の少数部数。少なくともまだ来年は使うつもりの概算数である。
これをネットで注文する。私が利用しているのは、なんと京都の印刷所であり、
たまたまネット上で出会ったにすぎないが、上記テキストはすべてここでお願いしている。
wordでつくって、pdfにして、ファイルをネットで送るだけである。
フルカラーであるにかかわらず、モノクロで100部つくったときと費用は大差ない。
印刷業界も生き残りの方向をこういうところに求めつつあるということだろう。

その新しい波のおかげで、GHSのテキスト化は大いに進展しつつあり、
コピーでつくっていたものや簡易製本に比して、思った以上に質の高い印刷物として
配布できるようになった。しかも、電子ブックとして公開もできる。
そんな時代が早々にやってきてくれたことを歓迎したい。

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 基本的には、GHS外での頒布を想定して作ってはいないので余分はありませんが、
読者諸氏の中で、どーーーーしても欲しいという方は、
次週、電子ブック公開後、ご覧になって、GHSにメールで問い合わせていただければ
来年度に支障ない範囲で対応することになっています。
[モノクロのもので1000-2000円、フルカラーで2000-4000円]
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posted by Koujin Amano at 12:15| カリキュラム