2018年08月06日

[119] 想い出の記 5

今回は、現在、某私立医学部三年生、印象深い生徒の一人、Sさんの話です。
地方の公立高校、といっても地域トップではない「自称・進学校」
そんな地点から、夢を描いて医学部を目指した時、
どんな試練と困難が待ち受けているのか、
その苦労はいかばかりであったか・・・。
同じ境遇にある者にとって、けっして「他人事」とは思えないエピソードから
どこを見倣い、そこから何を学ぶべきか・・・・・・。
/////////////////////////////////《Sさんの合格体験記》//////////////////////    
はじめに
私の出身校は●●高校という「自称進学校」と呼ばれるような県立高校でした。
医学部を目指す生徒は一人もいない状況で、カリキュラムも到底進学校とは言えないものでした。
その中では比較的好成績を取っていましたが、模試では現実を突きつけられる日々。
まわりの友達はBやCの判定が出たと喜んでいる中、
志望校判定欄に医学部名だけを並べた私は、すべてE判定。母とも何度も喧嘩になりました。
「成績がいいんだから指定校推薦で薬学部に行けばいいじゃないか。医学部なんて冗談でしょ?」
と何度も言われました。十数校の医学部を受験した所、結果はすべて一次試験落ち。
それでも一年だけなら浪人してもいいと許しを得て、私の浪人生活は始まりました。

GHS予備校との出会い
浪人先で訪ねたほとんどの医学部専門予備校は一年で数百万円するような世界でした。
私の家庭は医師の家庭というわけでもなく、ごく普通の家です。
たった一年にしかも予備校に数百万円もかけられません。
かといって、百万以下と学費の安い大手予備校では上位一割が医学部に受かるかどうか、
という状況で、私が入校しても医学部に合格できるとはとうてい思えませんでした。
母とは難航する予備校探しに険悪な雰囲気になり、喧嘩も絶えませんでした。
そんな中、何の気なしに「学費が安い医学部予備校ランキング」を見ていた時に
GHS予備校に出会いました。
近年の予備校業界に誤魔化しや水増しなど詐欺まがいの宣伝が横行する中、
「子供は数字ではない、ひとり一人にストーリーがある」という真摯な言葉に興味を引かれ、
母と面談に足を運びました。村田塾長との面談は他の予備校とは違っていました。
これまで訪ねた予備校にありがちだったセールスマンのような上っ面の雄弁さもなく、
予備校の説明は必要最低限で、その他の時間は私に話をさせてくれたのです。
私の「小学生の頃からブラックジャックに憧れて」という志望理由を笑いもせず
「素敵なことだ」と認めてもらえたのは初めてのことでした。
また、ただの面談なのに大学ノート見開きいっぱいに私の事を書き記すページを作り、
私の話を真剣に聞きながらメモを取る塾長の姿は母の心も打ち、すぐさま入校を決めました。

GHSで学んだこと
勉学に関して言えば、「イメージし物事の本質を考えながら学ぶ」ということです。
大学受験では膨大かつ多様な問題が出現します。
その問題たちが実は同じ問題であること、似たような問題であること。
それを見極められるようになること、それが「学ぶ事」だと思います。
詳しいことは「勉強の仕方と成績の伸び」で後述します。
私がGHSで学んだことは勉強の事だけではありません。

一番学べたことは「生き方は一つではない」ということです。
私の人生において最も大きく価値観が変わりました。
GHSの先生たちは様々な経歴をお持ちで、どんな経験も無駄にせず生かされています。
それまで小学生の頃から「医師になる」ことだけを目指していた私の肩から力が抜けました。
どんな生き方でもいいのだと。方法は一つではないのだと。
そうした考えが人生の価値観を変えるとともに、勉強に関する考え方にも変化をもたらしました。
行き詰ったら自分を振り返って他の方法を考えられるということは、
どんなに一つの道で迷い行き詰まっていても、他にも道があるのだと思える心の余裕になりました。

勉強の仕方と成績の伸び
膨大な問題が同じ問題であることを見極めることが学ぶことだと前述しましたが、
そのためには図やグラフ、写真、動画などを用いて
イメージを持って問題にあたることが第一歩だと思います。
イメージから本質を掴もうと考えながら様々な問題にあたっていると、
問題の字面や表面だけを見るのではなく、その「本質」を見る目が養われていることに気づきました。
もちろん最初はそんなに上手く行かず、成績も全然伸びませんでした。
従来の詰め込みとは全く異なる指導に戸惑ったこともありました。
実力がついたと実感したのは夏が終わった頃からです。
毎週行われる週間テストの問題が「やったことある問題」に見えるようになり、
模試の問題が「似たような問題」に感じるようになりました。
そこからは前ならこんな解き方思いつかなかっただろうな、と思えるようなひらめきを感じたり、
自然と解き方が浮かんだりしてどんどん問題が解けるようになりました。
「本質を見抜く」GHSの指導方針の元に焦らず、地道に、自分のペースで為すべきことを為せば、
着実に実力がつくのだと思います。

合格の秘訣
私は一般入試で合格したわけではないので、
一般入試で受験しようとしている方には参考にならないかも知れませんが、
少し聞いていただきたいことがあります。
私はとにかく一浪で医学部に入れればどこでもいい、という考えでした。
理想を言えば国公立大学か家から通える学費の安い私立大学でしたが、
一浪ではそれがなかなか難しいことは分かっていました。
そこで母が大学のことを色々調べてくれたのですが、
大学によっては浪人生でも受験できる公募推薦がありました。
公募推薦では高校の時の成績を利用して受験でき、一般入試よりも倍率がかなり低くなっています。
入試問題も一般入試より軽い問題になっていることが多く、受かりやすいとは単純には言えませんが、
受ける回数が増えるので前向きに検討しても良いのではないかと思います。
そして何より言いたいことは「諦めないこと」です。
私が合格したのは私立大学の、学費も決して安いところではありません。
しかし奨学金制度を利用したり、両親はもちろん、祖母や親族に頼んだり協力を得たりして
学費の工面をしてもらえることになりました。
自分が恵まれていたことは重々承知の上で、言わせてください。
夢を諦めなければ誰かが援助してくれるかもしれません。
家庭環境は様々で色々な事情があると思うので私が偉そうに言えることではありませんが、
金銭的な理由だけで諦めて、自分の可能性を、自分の努力を潰さないで欲しいと思います。

最後に
自分の可能性と努力が花開く日まで臥薪嘗胆な日々をGHSの先生方や仲間と共に過ごしたことは、
医学部合格だけではなく人生においても有意義な時間でした。
GHSで浪人生活を送って本当に良かったと思います。
GHSに少しでも興味を持って、これを読んでくださったすべての皆様に暖かい春が訪れますよう、
祈りをこめて。
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いかがですか。なんだかジーンときませんか。思いがけずウルウルとなりませんか?
挫折と苦労と努力、視野が開けてくる感激と到達した歓喜と・・・・・・。
そしてそれらを次世代にも伝えたいという真摯な祈念の気持ちがストレートに伝わるからです。
実は、「合格の秘訣」で本人が書いていないこと、
いやいや、本人のとっては普通のことなので自覚していない美点があります。
この文章を読めば、他人の目からは明らかではないでしょうか? 

それは、「文章が書ける」ということです。自分の気持ちを、客観的にみつめ、事実とともに伝えること。
それは一般には難しいことですが、19歳でこれほどに心をこめて自分の軌跡を書ききっています。
もちろん、私どもが添削したり指導したりなんてことはありません。
(個人情報的にはちょっと加工はしましたが)

聞くと、本は好きで小学校の時から高校時代も色々と読書をしていたとのこと。
そう、手当たり次第。その中で、活字からイメージを描く力は自然と育ち、だからこそ!!
       「豊かなイメージを描きその本質を捉える」
というGHSの指導法が違和感なく受容され実践できたのです。
授業中でも、私のふったネタに(そう、歴史からアニメからお笑い・・・までランダムに)
一番反応してくれていたのは彼女でした。
これを称して「国語力」といいます。そういう生徒は出発点は低くても構いません。
GHSでは、国語力がある理系がもっとも早く、大きく伸びていくことが既成事実だからです。
それは、GHSの教育メソッドが
訳も分からずに暗記を迫るようなノーメソッドの詰め込み学習とは一線を画し、
彼女が書いてくれているような豊かなイメージをもった理解の場の機会をふんだんに与えるからです。

もし、まだご子息が、小・中学生であれば、
ちょっとばかり背伸び・先取りしたにすぎない算数の計算ができるのを喜ぶよりも、
一冊の本を読みきったことを激賞してあげてください。それが次の本につながります。
でも、すると必ず「何を読んだらいいですか」と、即席の「答え」を求める質問が浮かぶかもしれません。
実は、その発想自体がNGです。
読書というのは、「この一冊を読めばいい」というものでないからこそ「読書」なのであって、
いろいろな本に出会って、活字からそれぞれの世界をイメージし、
その世界に浸る時間をもつことこそが大事な脳細胞の訓練であり、
とりあえず中身はどうでもいいのです。
その本の世界をしっかり描かない限り、その内容が立派なのか、くだらないのか、
もう一度読みたいのか、もう二度と読まないでいいのかの判断もつきません。
だから、「なんだ、読んだけど、つまらなかったな」とわかったら、その世界を描けているのです。
それで十分です。そこを褒めてあげてください。
そうしていく中で、自分にとっての大切な、かけがえのない少数の本に出会えるものです。
・・・高校生にもなって、「本はあまりよんだことはありません」「心に残った本はありません」
面談してみて、これが、実際、もっとも困ることです。
それは、同じ指導をしてもSさんのように易易とは、我々と世界を共有できないということですから。

「読書経験が希薄」・・・これは難関を目指すと者としては、恥ずべき過去だという思いを、
本人が大きくなって、取り返しがつかなくなる前に、なるべく早く、
まずは親御さんが理解し、自覚し、導いてあげるべきです。
(・・・遅くとも中学くらいで本人自身が気付くべきですが・・・)
そんな貧素な読書経験と頼りなげな国語力で、医学部に行きたい??
だったら、その夢もまた、薄っぺらなイメージしかないものです。
それでは頑張る原動力になりませんし、何より本人が伸び悩むのが辛いものです。
これではGHSメソッドも、さすがに効力を発揮できません。文章が読めないなら、
たとえば、私の書いた『体系化学』でさえも、どうにも共鳴はしてくれません。
なぜなら、『体系化学』は、読書するように、読めるよう、
参考書なのに、読破できるようなストーリーとして書いた本ですから。
・・・だから、読者の中には「文系大学生だけど、楽しく読めました」というお便りがあります。
いやいや、「文系だからこそ、読めた」のですよ。

もし、ご子息がまだ字が読めない段階なら、本人が気の済むまで絵本を読んであげましょう。
しかも楽しく。同じ絵本を何回も何回も、親が飽きずに、楽しく読んであげましょう。
本を読むとは楽しいこと、そんな三つ子の魂づくりが原点です。
小学生に対しては「そんなくだらない本を読んでないで、宿題しなさい!!」と叱ったりしてはいけません。
内容はともあれ、もし本に集中しているならば、食事時間さえもずらしてあげましょう。
(有名人のH先生もそんなこと言っていたそうです)
それくらいの無上の価値を読書において、小・中学生生活をおおらかに送らせてあげること、
将来はGHSに・・・・・・と考えていらっしゃる、保護者様と未来の生徒への提言です。

posted by Koujin Amano at 15:52| 体系化学