2019年01月27日

[122] 今年もやってくれたぞ,センター化学

今年のセンター試験の化学について
 少し前までは、書くには及ばないとスルーしていたセンター 化学だが、
昨年に続いてコメントしたい。

(その前に、昨年の同テーマの記事を読んでいただくと話が早い)
昨年、実質的には、共通一次以前に存在した、東大一次試験へと先祖返りした感あり、
とのコメントをしたが、それがさらに明確になった。
化学の平均点は、昨年から−6点の、54点ほどで、物理も同程度。
物理化学選択者は、生物化学選択者より平均では−6点程のビハインドとなった模様。

化学の平均点はここ四年間平均では60点を切る。
純粋に理系の受験者ばかりなのに約半数は6割も取れない問題ということになる。
新テストに向けて?なのか、リミッターが徐々に外れて、一歩また一歩踏み出してきた!!
そんな問題たちが混じっている。なかなかやるじゃないか!!

かつては文系に配慮して、得点調整を免れるために、問題のレベルを落とし、
範囲を狭めてやりくりしていた時代は今は昔。
今や、化学全範囲から伸び伸びと、時には反則まがいの行為(5カウントまでOK!!)を
ちらつかせながら、上位層にも牽制する意図が見える出題バランスである。

GHS生、ガンバレ!!
 そんなセンター試験の本気度を受けて、今年度バージョンアップした
定性&定量化学テキストは、30数年分のセンター試験の問題を収録し、
授業でやり切る!! というハードメニューを敢行した。

この他にアドバンス化学の授業も受講した選抜メンバーは大変だったであろうが、
「これ以上の問題バリエーションは作れない」というレベルでの演習はできた。

国立医学部コース20名の平均点は、74点。全国平均より+20点である。
・・・残念ながら、満点はおらず90点越えは二人にとどまった。
それでもこの問題セットでの「合格点」と言ってよい80点以上は40%いた。
よくぞ健闘したものだ、と言ってあげたい。

こんな問題もありか?
 他の科目も同様だろうが、センター化学の問題は大体三層に別れる。
(1) 従来のセンター試験同様の、平易な、基本的知識を試す問題。
これが4割を占める。直前の追い込み、丸暗記でもなんとかなるレベル。

(2) それから、ちょっと勉強してないとできない標準的な問題が3割。
計算問題の2/3はここに入る。これで半分近く正解すれば、
前者と併せて6割弱の得点になるわけだ。

(3)そして、最後の3割がチャレンジジングな問題。
 1.範囲が化学Iから全体に広がったために、過去問だけでは対応できない問題であり、
また、 
2.センター試験には「似つかわしくない」テーマの問題
   (つまり、二次試験の縄張りを侵食しているということ)、
 さらに、
3.「おいおい、そんなこと知っている受験生は1割じゃないの?」というぶっ飛んだ問題。

具体的に見てみよう。(1)はさすがに省略する。
(2) では例えば、第1問の問2は、結晶格子の計算問題であり、複雑に見える結晶格子ではあるが、
実は、過去問(1999)のリメイクである。化学計算式の立式と併せて、二つのハードルがある。
GHS生にとっては練習十分の手頃な問題であったが、それでも巷では決して易しくはないだろう。

続く問6はヘンリーの法則の、「ど真ん中ストレート」的計算問題。かつて、ゆとりの時代には、
教科書の「発展事項」とかいう片隅に追いやられて、冷や飯を食わされていたのが、
日の当たる場所、まさに‘センター’復帰である。
『体系化学』的には基礎公式@=Gで簡単に片付くが、巷では果たしてどうだろうか。

第2問 問4の銅の電解精錬もスタンダードな出題であり、理系としてチキンと勉強していれば
ハードルはなく、確実にできなくてはならない問題。

第4問 問2 エタノールとエーテルの混合比率を求める問題も、ふつうににやっても解けるし、
体系化学的には、さんざん練習を積んだテーマの最も初歩的な部類である。

選択問題である、第6,7問の有機高分子の計算問題も、いずれもふつうのレベルである。
要するに、ここまで勉強の手が届いているかどうかが問われるだけである。

ここら辺りを落とすようでは、理系として単に勉強不足である。

9割突破のためのチャレンジングな(3)問題
さてさて、まずは初っ端、
第1問 問4は、やってくれちゃっている!!
これが何というテーマの問題かがわかれば受験生としてはかなりエラい。
二次試験レベルでは定番の「デュマ法」である。
蒸気圧を利用して、分子量を測定する方法であり、
体系化学アドバンスの、テーマ「蒸気」の1セクションでドリル演習する。
その最初のステップの問題なので、計算自体にハードルはないが、
そのアイデンティティーがわからないと、何をやっていいのかわからないものである。
すなわち二次試験レベルの修練があってこそ、ここは易々と突破できるのである。

同様に
第2問 問2の「溶解度積」の計算では、グラフの読み取りから平衡定数へ、そして
沈殿形成の量の計算へと、複数の仕掛けがある。

第3問 問4の「オストワルド法」の反応の循環と収束の考え方も、二次試験の常連。
 問5のクロム酸銀の沈殿は、陽イオン定性分析においても、基本とは言えないもので、
無機化学の基礎訓練が終わった後に、どれだけ先までやれているかが問われる。

いずれも、答えは容易に出るように設定してあるが、
二次試験レベルのしっかりとした問題を解く修練がその必要条件である。

第4問 問5の酢酸からのメタンの生成や、第6問 問1のビニロンの知識は、
まさに枝葉の先の知識を問うもので、ここまでクリアしないとさすがに90点越えは難しい。


本格的な二次試験レベルの問題を満遍なく十分解いていれば、
問題のアイデンティティーが知れ、その簡易バージョンとわかるから、
容易な計算で答えに到達できる。

つまり、それはかつての「東大一次試験」の姿に重なるわけである。
また、そのレベルは、偏差値70前後まで軒並み難化した私立医学部の入試の
中堅レベルのとも重なる。国立も私立もない、体系化学テキストの学びあるのみ。

全てを高いレベルで手中に収めたものが勝者となる。

だからこそ、次年度GHSでは、
すでに公開してある「体系化学アドバンス(1)」から、
「体系化学アドバンス・コンプリート版」へと上積みされる新テキストが、
大活躍の機会を待っているというわけだ。
上記のチャレンジングな問題も、その掌の上では、
ごく平凡な、良い問題に見えてしまうことだろう。

posted by Koujin Amano at 19:27| 入試制度