2013年11月02日

[62]実力テスト直前

身辺抄 ー長寿県・長野県ー 
 今朝の外来で、「施設に入るための診断書」を書いてほしいとの依頼あり。
男性、飲んでいるクスリはなし、たいした既往歴もなし、血圧も正常、
レントゲン,特に異常なし……年齢はと・・・91歳!だ。
 さすがに、足腰が弱って移動は車イスで、耳も遠くなってきているが、
肌つやもよいし、どこといってワルくない。大したものである。
 信州は、今年「長寿日本一」になったが、そういう健康長寿の
高齢者にしばしば出合い、年齢をみて驚かされることがある。
付いてきたのは娘さんだろう。ご本人の耳元で大きな声で話し、
診察の介助をしてくれた。
「長寿県日本一に、あきらかに貢献している方ですね」(笑)

 自宅の裏は里山になっていて、頂上には信玄時代の旧跡などもあり、
また寺などもあるので、しばしば山道を登るのだが、日当りの良い
緩斜面では、信州特産のリンゴがあちらこちらで栽培されている。
その手入れをしているのは、たいていは70歳代とおぼしき高齢者であるが、
どうみても転ぶと危険な斜面と坂道で、淡々と作業をこなしている。

そんな中をいかにも「いい汗をかくのが目的です」という格好して
登っていくと、
「ごくろうさまですな」などと声を掛けらる。なんだか恐縮して
「どっちがご苦労だよ〜」と心の中でツッコミを入れたりする(^_^;)。

やるべきことがあり、世話すべきものがいて、自分がやらなくてはいけなくて、
そこに必ず「成果」があること、信州の畑の仕事や山の仕事は、
そういう生き方を支えているのだなぁと思う。
「もう年だから・・・」とかいって町中のマンションなんかに老親を
引き取ったりして「親孝行」とすると、途端に認知症になったりする例も
少なからず。そのどちらにも触れる日々の仕事である。


実力テスト期間にて 
 GHSでは、第二学期の実力テスト週間を迎えている。
生徒は、ここまでの復習や進度調整をしつつ、週末の実力テストに臨む。
私も,二学期開始から二ヶ月余り、ちょっと一息つきたいところ。
今週末は、秋深まる信州にとどまり、心身を休めて、
生徒達の入試に向けてのスパートに備えたい。

 これまで今年の授業進度の話を何度かしてきたが、その後も順調にて、
たとえば、体系物理では、力学、熱力学、電磁気力学を説き終え、
最後の柱である波動(力)学の第2回目の講義を終えたところ。
12月初旬、二学期内で受験範囲が全部履修できることになる。
 例年は時間不足にならないよう、物理は150分×1であるが、今年は、
120分×1ながらこの進度である。もちろんそれは、卒生である石井先生が、
「物理演習」を引き受けてくれているから、問題を欲張らず、物理法則と
その体系性の理解に傾注したスタイルになっているからである。

有機化学は、すでに高分子の、二番目「炭水化物」を終わり、次回は「タンパク質
・アミノ酸」に入り、やはり二学期中に全範囲をおわる。
これは、テキスト化の役割が大きい。有機のテキストは9割方完成というところで
本文と図版はほぼ固まって、いま、高分子の箇所を授業にあわせて加筆修正している
ところである。その意味で、『医大受験』に公開する気になったのである。
 今年は、演習問題を各章で追加して演習に傾ける時間を増やしている。
あとは、問題の解答・解説のデータ化だけである、が、答えだけ載せるなら
ともかく、授業での思考プロセスを紙上で行うことの困難は、先にのべた
通りである。

 体系化学の方は、クラス分けをしたこともあり、例年のセメント&ドリルよりは、
アドバンスに振った内容にしている。『体系化学』は独力修了しているという
前提で、著者としてその行間を埋め、かつ、問題のバリエーションを広げ、
「難関」を目指す者にも向けて、その先の応用へと、あらたに問題を追加しつつ
ここまで進んできたが、すでに「化学平衡」の解説演習を修了し、
化学反応公式5までカバーした。6や8は有機化学向けでもあるので、
すでにある程度はすませてある。実質、『体系化学演習』はカバーできたので、
いわゆる「無機化学」に入ったところである。

「無機化学」なんてない
 GHSではずっと以前から、「理論化学」・「有機化学」・「無機化学」
という分類は有名無実、愚の骨頂といってきた。

 改めて簡単にいうと、化学は「定量化学」と「定性化学」の両面から
捉えるべきであり、体系化学は、「定量」の面から筋を通したものである。
そもそも「理論」とは論理の全体を指すのであるから、その部分に
「理論化学」などという名称を与えてフシギに思わないのは、
それを唱える者の理科的国語力の乏しさ以外の何ものでもない。

 それでも「有機化学」は、「一般化学」に対して、
物質の生命性を加味した応用化学分野であるからそのままでよいが、
そもそも「無機化学」なんていうものはない
それは、いわゆる「理論化学」の中身にすぎず、
一般化学にいれるべき内容である。

 実際、参考書や問題集の「無機化学」を眺めてみれば明らかなように、
新しいことは何一つないことに気付くはずである。
それは結局、そこまでの内容を、元素ないし周期表の順にしたがって
タテ割りでまとめなおしただけのものである。

 さらに(ここが大事なのであるが)現行教科書の単元に入らない
雑多な内容を押し込める「ハコモノ」でもある。
体系性のない単元構成であるだけに、置き場所に困るものが
少なからず出てくるのである。

 だから、「無機化学が苦手です」「無機のよい勉強法はないですか」
などという質問をしてくる生徒は(GHSでも1学期の内はいるが・・・)
要するに、化学を一般的にキチンと学べてないこと、基礎学力がないこと
を白状しているにすぎない。

「無機」を「無機」として学ぶことはできないのである。

『体系化学』を繰り返し学んでいくと、同じ物質が色々な場面で
活躍しているのがわかる。それを一本につなげていけばよい。
それが「無機」の学びの基礎となる。
それをふまえて授業では、+αの知識を付け足して行くわけである。

したがって、「無機」の勉強の仕方は、それ自体を学ばないことだ
という逆説的結論となる。すでにある知識を別の角度から学び直すべき
のが「無機」であるから、まずはそのモノをもつことが先決である。
 
posted by Koujin Amano at 12:25 | TrackBack(0) | カリキュラム
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