2015年06月29日

[81] 読者の言に想いあり 12

思考訓練化学・読者倶楽部の今年
「読者倶楽部」というのは、不特定少数の交流サロンを目指したものでした。
会費などで小銭を稼ごうなどという気持ちは毛頭ないのですから、
会員数の多さを目指さしていません。なかじっか会員が多くなると、
レベルが下がり、問題がおきるのが組織論の常識ですから、そういうのにつき合うヒマはありませせん。
分かる人だけ、共鳴できる人だけ、『体系化学』の世界が好きな人だけ、
面識はなくても共鳴できる人ならばよい、そんな「不特定少数」でつくる会員サイトです。

ただし、受験参考書がベースですから、基本的には毎年、会員は入れかわります。
そういう意味では、登録数の割にはアクティブな会員はそんなに多くないのです。
でも私は、それで善しと思っています。
そもそも私自身、親友は1人いれば充分、理解者は少数で満足、と思ってきた人間なので、
こんなに全国に共鳴してもらえる若き人材が毎年いるということ自体、素晴らしい事だと思います。
今年もまた、このブログでも紹介したような頼もしい若者達が、読者倶楽部で共鳴し交流しています。
会員用掲示板はにぎやかです。
掲示板は、初期の読者による議論が出尽くした感があり、かつ、その人達が「卒業」したので、
しばらく閲覧のみで書き込みのない時期がつづきましたが、
GHSが新たなる段階を模索しているのに同調するかのように、
読者倶楽部会員もまた、Next Generation になってきたのでしょう。


良い先生ですね
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■本書を購入した最も大きなきっかけはなんですか? :先生から紹介されて 
■著者に感想をどうぞ: 
体系化学を5周してから理論化学では敵無しになった感覚があります。
有機無機分野では性質の理解が甘いため精進が必要ですが
体系化学の素晴らしさを感じています。
                                                              (やぎ・神奈川県)
 
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まずもってその紹介した先生がエラいですよね。
本質的には、これまでの化学教育を根本から覆す内容ですから、
旧来の化学になじなだ人ほど、抵抗感があるものです。

おなじみ「とっと」さんも、現役の神奈川の高校の化学の教師ですが、
高校はちがうようですから、つまり、「とっと」さん以外にも、
『体系化学』を理解して、生徒にすすめる器量をもった
現役の化学教師が神奈川県にいるということになりますね!!!!

ちなみに「とっと」さんは、毎週のように私の授業を聴講されて、すでに五年目に突入。
(金曜日の夜に、仕事が終わってから駆けつけて……中々できることではありません。
村田代表もその向学心、向上心、探究心にすっかり感心されています……)
有機化学も体系化学セメント&ドリルも複数年出席されて、自らの指導に取り込んでおられますから、
こういう熱心な(指導能力を磨きつづける)先生にめぐりあえた高校生はそれだけで幸せですよ。
(うらやましいですね……私が高校生の時なんか・・・)

そういえば確か、初期の読者で東大に進んだ「鳴滝ローブィジー」君も、
北海道の高校の先生がススメてくれたといってましたね。

「やぎ」さんも、そういう先生に出会えたのですね,きっと。
とはいえ、そういう先生のススメを素直に受け取って、
HPの学び方に沿って、『体系化学』を愚直にも5周した!!!というのはエラい。
GHS生でも、そこまでできた人は、例外無く頭がよくなり、他の科目も相乗効果で
アッブして、望外の合格を果たすものです。
5周もやると、私が本当に伝えたかった、化学を越えた論理が響いてくるのです。

立派、リッパ !!!!
・・・と同時に、『有機化学』が未だ公開できる形になっていなくてスミマせん。

有機化学は紙媒体ではムリ
有機化学のテキストは、講義の部分は体系化学並みに読めるように書いてありますが、
解答・解説は単なるテキスト形式では表現できない、というところが壁です。
それでよろしければ、会員なら製本原価にて購入可能ですので、
GHSのHPの資料請求のフォーム、ないし、メールで、住所・氏名など必要事項を書いてもらえればOKです。
アドレスは、study@ghs-yobikou.co.jp

演習問題に対するアクティブな解答・解説は、今「とっと」さんが、
授業ノートを元にデータに起こすという難事に取り組まれています。
先日、入試例題1の試作品が見事にできたので、順次デジタルブックにて
公開していくことにします。

読者の皆さんは、出版を!!ということを気軽に言いますが、
『体系化学』では、紙という制約の中で、どう表現すればよいか、大変悩んだものです。
その苦労を再度やるヒマとエネルギーはない、というだけでなく、
有機化学の特殊性から、私の授業は紙面だけでは表現できません。
授業のライブ感を伝えるためにも、デジタルブックとして、フルカラーかつ、
バワーポイント駆使、写真あり、動画ありの超ビジュアルなものにしようと思っています。
その前提では、GHS有機化学エッセンシャルズ・テキストは必要十分な内容なのです。
化学計算としては『体系化学』で尽きていますが、定性的な反応理論としては、
体系化学の応用編となっています。

夏期期間にはスタートするつもりで準備していますので、ご期待ください。
posted by Koujin Amano at 22:15| 読者倶楽部

2015年02月07日

[77] 読者の言に思いあり11

読者倶楽部会員登録時の自己紹介文より
恒例(?)となったが、ここしばらく紹介してしなかったので、すこしまとめてコメントしたい。
すでに『体系化学』は6年目に入るが、受験生は毎年入れ替わる。
そのたびに、若き新鮮な感性で綴られたメッセージをいただくと、こちらも清々しくなる。
果たして、『体系化学』を公開すべきか、書物で伝わるのか、と逡巡したときも一時はあったのだが、
それも今は昔、たとえ面識はなくともその共鳴は我が胸に伝播し響きつづける。

読者倶楽部 会員名:「神社」さん・京都大学在
 法
学部出身のため、化学にはあまり馴染みがなかったのですが、
勉強してみようと思い参考書を探してい
たところ、
『思考訓練の場としての体系化学』と出会うことができました。
まだ、三分の一ほどしか読めていませんが、
なるほどこの方法を習得できればどんな難問にも
対応できる ようになるのだろうと思いました。
また、蓚酸の名前の由来のような少し掘り下げた内容まで書かれているため、
知的に刺激され、読んでいて面白いです。
難しい内容も含まれていますが、解説がとても詳しいので、
読みやすく、先へ進むのが楽しみです。

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・・・京都、なつかしいなぁ。私が京都で4年ばかりすごしたのは平成になる前。
北白川の天一本店はよく自転車で通ったなぁ。三年ばかり前に、医療系セミナーで
京都に一泊二日したきり。そのときは時間がなく天一さえいけず・・・・
・・・きっと私も京大時代に、『体系化学』があったら読んでるね。
まちがいない。なぜ法学部生が化学を?なんて思っちゃいけない。
京大じゃあ、こういう読者は珍しくない。面白いと思えばなんでもかじるものさ。
向学心と知的欲求の赴くまま、良き書との出逢いが愉しみなのだ。
振り返れぱ、私自身、その時代のそんな読書と出逢いが、今へとつながっている。

くだん」さん・高卒・東京都・国立医学部志望
★★予備校のスーパー医系コースに在籍しております。
解説を控えた★台のテキストとは違い、濃密な内容の参考書として
大変重宝させて頂いてます。
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ここ何回か、予備校時代のことを書いたが、京都から東京に出て来て、
代ゼミで大西化学を修めたあとは、物理の師を求めて駿台・市ヶ谷校に通った。
昭和最後の年にあたる。残念ながら、物理の師・坂間先生は数年前逝去された由。
その授業ノートと学参は書棚に眠っているが、そこで受けた薫陶は、
GHSにて『体系物理』として活き続けている。
・・・当時は『理系の化学100選』初版が評判で、大西化学で実力をつけた私は
化学の授業には出ず、市ヶ谷校の自習室で仕上げたっけかな。
でもやはり、あのとき『体系化学』があったら、感激しただろうなぁ・・・・。
当時は、『体系化学』的発想はほとんどなかったけど東大には行けたのだから、
「くだん」さんにも、読者受験生にも、ホント,さらなる高みを目指して頑張ってほしい。


「ぐりしん」さん 広島・高卒・京大理学部志望
現役、一浪と所謂理論化学から逃げていて(それだけが敗因ではないですが)
ことごとく入試に落ちてしまいました。そこで今年こそは逃げずに基礎の基礎から
しっかり学ぼうと決心し体系化学の本を手に取り、おかげで徐々にではありますが
問題が解けるようになってき、夏の実戦模試では6割取ることができました。
さらに高みを、、、ということで会員登録しました。
余談ですが僕は結晶格子の分野が苦手で、
ここも体系化学で学ぶことはできないのでしょうか、、?
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この方は某国立大に在学中とのこと。つまり一定の学力はあるわけであり、
それが「基礎の基礎」からやり直すとの意志と実践は実に‘あっぱれ’です。
また、そこで『体系化学』に辿り着くところがエラい!!
「はじめからていねいに・・・」とか「基礎から分かる・・・」とか
立ち読みはするんですが、「はじめ」も「基礎」も分かってない人が書いているから、
ほんの数ページも読めやしない。筋が通ってないからどうもアタマに入ってこない。
その点、『体系化学』はノンストップ・ストーリーですから、どうぞ、しっかりやり切って、
大事なことは「何度も繰り返す」こと。いいドラマって再放送でも発見があって
面白いですよね。
ちなみに、結晶格子は、『医大受験』の連載の方に書きました。
内容の目次は、GHSのHP内にあります。
育文社あっての『体系化学』。両者の存続のためにも、購入してあげてください。

「fuking」さん 茨城・高卒・国立医学部志望
自宅浪人をしています。3か月前に書店で見つけ、やっと一通り終えました。
気づくと化学の問題がスラスラ解けるようになっていました。
この本には大変感謝していますし、これからも何周もしてボロボロになるまでやろうと思います。
今回は不飽和度をもう少し理解したいと思い登録しました。
感動しました。体系的に学ぶことの素晴らしさを教えていただきありがとうございました。
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まっすぐな若さって、ホントにいいですね。私は少しひねくれていましたが、
その分、尊敬できる人にはとても素直だったことを覚えています。
「みだりに人の師となるなかれ、人に教うることありて師となるべし」
正確ではないかもしれませんが、我が故郷の偉人、吉田松陰の言葉です。
宅浪では、そういう師に触れる機会には恵まれないかもしれませんが、
かつての私がそうだったように(宅浪はしてないけど)、君の志を支える
一つの柱となったことを著者としてとても嬉しく思います。



「はやぶさ」さん 福島・高卒・国立医学部志望
 初めまして。このたびは思考訓練の場としての体系化学を出版していただいた上に、
このような場を設けていただき本当にありがとうございます。
私は高校では野球漬けの毎日を送り、それを理由に勉学から目を背けていました。
大学では医学を学び、将来は臨床医をしつつ、現代医学では太刀打ちできない
病の研究をするという志を普段から持っていたつもりでしたが、
それはつもりにすぎませんでした。
 いざ受験となってみると医学科合格というハードルはとても高く、
現役、一浪目は実力不足の何物でもありませんでした。現在は、『体系化学』や
『医大受験』などの後押しをうけ、今年度の受験に備えていますが、『体系化学』は、
化学は勿論のこと、その他の教科を学ぶ際にどのように学ぶべきか
どのような態度で接するべきかも、学ばせてくれます。
これからも日々精進し、学び続けていきます。よろしくお願いします。
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すばらしい!!私自身がゴーストライターとして自作自演しているんじゃないか?と
思いたくなる程に「正解」!。面識もなく、交流もないけれど、著作を通じて
GHS生と同じ道を歩んでいることを頼もしく思いますよ。
私も、最初に受けた東大実践なんて合格最低点目標の半分もいかず、愕然とした。
特に理科と数学。文系だからしかたなかったけど。そこから、一科目ずつ1年かけて
這い上がったんだよ。常に前に進んでいれば、歩むことを止めなければ
ゴールは在る!実力が足りなければつければいい、それだけ。
特に、正しい方法論に目覚めたならば、それを一途に信じて、できるようなるまで
やりつづける。その根性はきっとすでに野球で学んだんじゃないかな。



「むーじゅん」さん 京都・高卒・国立大学医学部志望
化学は偏差値こそ安定して70台であるものの、
苦手意識が払拭出来ない状態でした。
なぜなら、物理や数学と違い、自分で解答を組み立てるための
一貫した論理を上手く自分の中に収められていなかったからです。
つまり、こういう問題にはこの解法を、という一対一の姑息な対応に

とどまっていました。そんな中、体系化学に出会い、
受験化学というものを体系的に学び直すことで、
問題に対する論理をきちんと組み立てることが出来るようになり、
苦手意識が払拭出来ました。 このまま突っ走って合格を掴み取ろうと思っております。
このような名著を世に出して頂き、本当にありがとうございます。
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「やっぱ、頭いい人はいうことがちがうね!」まさにそういう感じ。
あるいは、「実るほどコウベを垂れる稲穂かな」というところか。
エラいねぇ・・・化学の偏差値が安定して70台。それでも満足していない、
というか不安というか、ホントは自分が心底分かってないということが
ここまでくると分かるんだよ。その域に達しないと分からないけどね。
私もそうだったからよくわかる。たしかにテストはできるけど、
真の意味においてワカッテナイという後ろめたさが秀才にはつきものなのだ。
「一対一の姑息な対応」その通り。それしか方法がなかったから、
‘覚えた者勝ち’という論理がまかり通り、ギモンを抱くこと無く、
ドンドン覚えていったものが勝つ・・・・・高校時代でそういう景色を
私は傍観者的にみていたのだ。
それは違うんじゃないか、と。だけど「答え」はない。
そんなことに悩む閑があれば、みんなと同じようにクソ勉強しろよ・・・・
ともう一人の自分はささやくが、もう一人の‘ジョナサン’がそれを遮る。
あとは、「あとがき」に書いた通りだ。
こういう読者の手に届いて、私が果たせなかった思いを体現してくれている、
それだけでもう著者としてはもう何もいうことはないほどの至福である。
「こちらこそ、ありがとう」・・・・・過去の自分からのお礼なり。

三代目タンタン」さん 京都・高校2年・国立医学部志望 
学校では高校1年のときからすべてのつながりが見えず絶望状態でしたが、
この本と出会い、まだ1st-stageの途中ですが、すべてがmolとつながり始めました。
得意の数学の考えをようやく使えるところへ近づいてきています。
恥ずかしくて誰にも言えていないのですが、自分は阪大医学科以上に行きたいです。
1年間よろしくお願いします。
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いゃあ、きっと大丈夫だよ、堂々と宣言していいよ。
高校二年生で『体系化学』と出会って、この真価に気づくなんてタダ者ではないよ。
いいなあ、しあわせだなあ。「あとがき」を読んでくれたかい?
私は、高校三年間「つながりが見えず絶望状態」でしたよ。
それは、いい想い出ではないけれど、(上にも書いたけれど)私と同じ壁に当たって
そこで妥協せずに道を求めて已むことない若者に『体系化学』が導きの糸となることで、
私はようやく、過去の苦悩から救われ、報われるわけだ。
君の今後の成長、発展を願っています。


一読して気づいたであろうか?『体系化学』は再入門書として、
「理系なのに化学の基礎も何もできていない絶望的なGHS生」に易しく易しく説くことから始まった。
それがどうだ、今やこの熱き真摯な自己紹介をしてくれるのは、皆、難関大や医学部志望者である。
たしかに、見かけは易しく、内容は底なしに深く書いてある。しかし、今の時代、
それが著書で伝わるものかと当初は思っていたが、それはもはや杞憂であろう。

「相当できる者が基礎の基礎から学び直すことで、本物の実力を身につけた!!!」
どこかで聞いたことはないか?そう、錦織圭にマイケル・チャンが課した練習法だ。

最近は、こういうハイレベル受験生からの感想も多くいただくようになった。
GHS生もまた、少子化・大学全入時代を迎えて、かつての「とりあえず浪人」ではなく、
志あるハイレベル受験生、医学部受験生が集うようになってきている。
『体系化学』の改訂はこの波を受けて、『医大受験』の展開を受けての大きな改訂と
なりそうである。それについては次回また。
posted by Koujin Amano at 18:49| 読者倶楽部

2013年08月01日

[59] 読者の言に想いあり 10

 ここのところ、読者倶楽部の会員登録が増えている。読者からの感想をみると、
3〜4月に購入して勉強をはじめて、そろそろ一通りの学びができる頃であり、
今まで思いもしなかった化学の世界が開けてくる時期なのである。
それがちょうど重なったということだろう。
今回も、そのお便りの一部を紹介しながら綴っていくことにしよう。
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 化学の学習において分野ごとの繋がりが見出だせず暗記と対処療法的解法に
頼りきりだった私が、この本に出会ったおかげで体系的に問題に取り組める
ようになりつつあります。
 およそ始めて体系的な学習というものを体感し、ようやく学習が楽しく
なってきました。
 この本なしでは、本質的理解、体系的理解が大切とはよく聞くものの
どういうことがわからないという状態のままでいたと思います。
 心から感謝しています。また学習を深めるために、このサイトも積極的に
活用させていただきたいと思います。よろしくおねがいします。
                       (埼玉県・高卒生) 
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 読者の方であれば、この感想を読んで、すぐに想起する一節があること
だろう。

       //////////////////////////////  『体系化学』まえがきより   ////////////////////
・・・でもみなさんには、「体系的」ということが、そもそもわからないと
思います。なぜなら、おそらくほとんどの人が「体系的」に学んだ経験がない
からです。残念ながら、現在の教育の場では、真に体系的な学びをさせてくれる
ところを見つけるのはなかなか困難です。
 ですから、「体系的」ということがどういうことかは、このテキストを手に
とった人がここから学んではじめて実感できることなので、いまは多くは説明
しません。ただ、ここでは大事な一点だけを述べておきましょう。体系的に
学ぶというのは、
   1つがすべてであり、すべてが1つであるということがわかる
ということなのです。
    ////////////////////////////////////////////////////////////////////////////////////////////////

「およそ初めて体系的な学習というものを体感し…」
「体系的理解が大切とはよく聞くもののどういうこうことかがわからない」
というのは、上の「まえがき」に符合することは明らかである。

・・・・さすがに「まえがき」なので、GHSのテキストではもっと
直截的であった文章を、出版にあたってはちょっとマルく無難な表現に
改めた経緯がある。
 今に至るも世間では、「体系的」というコトバは叫ぶものの、
体系的と呼べる中身がないか、単なる整理整頓にすぎないものを、
その著者が「体系的」と思い込んでいるものしかないのが実情である。

GHSも「体系的」というコトバを用いるので、その中身を明確に示さないと
受験生にはそれら紛い物との区別がつかない点を危惧して、
「体系的」とは具体的には、たとえばこういうことだ!ということを
「体系化学」として世に出したわけである。

この読者会員が、「体系的な学習というものを体感し・・・」という中で、
「体感」という表現を使ったのは、特に素晴らしいと思う。
その通り、実際に山に登ってこそその眺望は「体感」できるのであり、
他人の話や、撮ってきた写真だけでは、ワカルけど体感できないのと同様である。

しかし、面識もない読者にもこのように「体感」できるまでに、
「体系化学」をテキスト化できたことを、またもや確認できたわけで、
私としては安堵しているところである。文章のみで伝わるのか?
それは授業と並行しての執筆中にも、常に気になっていたことであった。

さて、ここで、次のような疑問をもつ読者もいることだろう。
目下のところ、本書以外に「体系的」を体感することができないとすれば、
「体系化学」がでる以前に、著者自身はどうやって体系的ということを、
学び体感したのか?「体系的」ということがわからなければ、
「体系化学」など書けるはずがないではないか?・・・・・・・と。
実際、HPの成立の経緯にも、東大入学時点では「体系」ということは
わかっていなかった・・・・と述べているではないか?と。

もういちど、先のまえがきの文章をみてほしい。
現在の教育の場では、真に体系的な学びをさせてくれるところを
 見つけるのはなかなか困難です」
教育の場、受験の世界では、「体系的」なものはない、といっているわけであり、
もっとひろく学問を眺め、科学の歴史を繙いてみれば、「体系的」な業績は
多くはないが、しっかりと在るのである。
 GHSのHPのQ&Aを読んだ方はわかると思うが、GHSがドイツ語である理由は、
「体系的」な思考の先駆者である、ドイツ哲学に敬意を表してのことである。
もちろん、ドイツ哲学の著作を読みあされば体系的に考えられるようになるという
わけではないし、私自身もそこまで耽読したわけではないが、
そこにも学んだことは事実である。
 ただ、残念ながら、医学の世界一般は「体系的」ではないことは
付け加えておかねばならないだろう。

 私が体系化学を創造することができたのは、ある大学者の言を真に受けて,
      1つがすべてであり、すべてが1つである 
という一点を固守し、化学教育においてもそれは真理である!ということを
徹頭徹尾信じ切れたということに他ならない。
 この至言は、医学に対して放たれたものであったのだが・・・・。

つまりそれは、たとえば、その島に宝が埋まっている、という確信があれば
見つかるまで島を離れないだろうが、その確信がなければ、少し探して見つから
なければ諦めて次の宝の島を探す、というようなものである。
その通りに、「化学に1つの筋が通せる」ということを私以外の化学教育者は、
誰一人信じていなかったし、信じようともしなかった、そして、その問題ごとの解法に
工夫を凝らすことにエネルギーを注いでい、ただそれだけの違いである。 
                             《了》

posted by Koujin Amano at 13:37| 読者倶楽部

2013年07月04日

[58] 読者の言に想いあり 9

目からウロコ    
 読者受験生の保護者(東京都)という方からは、
このタイトルようなシンプルな感想をいただいた。
つまり、親の立場ながら化学学参を読まれたということである。
 実は、これまで「保護者」という方からのお便りが少なからずあり、
自分が見つけて息子に勧めた、あるいは孫と一緒に学んでいる、・・・
などということがあるので、著者としてはあまりに想定外にすぎて
苦笑い(照れ笑い?)してしまう。
 たしかに、GHS村田代表と同世代の『思考訓練英語』愛読者であれば、
さもありなん、しかし、そうとも限らない新たな読者の方が多いようである
・・・・まあ、「目からウロコ沢山」と「コロンブスの卵累々」を
さらに体験されたいのでしたら、ぜひ、GHSの学習メソッドの公開第2弾、
『思考訓練の場としての漢文解析』をご堪能ください。

旧世界が遠のく感覚
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4月から初めて今は3週目に入ろうかとしているところです。
本書により学んだことで体系的思考というものが身について
来ているのを実感しております。(本書で学び始める前に
どのように解いていたのかわからなくなるくらいに) 
よろしくお願いします。 〔鳥取県・高卒〕
-------------------------------------------
「以前はどう解いていたからわからなくなる」という感想は
実に至適な表現だと思う。というのも、私自身がそうだからである。
そして、体系ということに開眼したGHS生との共通感覚でもある。
 だから、時々授業プリントでは、問題だけでなくわざわざ、
その問題集の解答例もあわせてコピーして配布することがある。
 1行の化学計算式の立式で済むのに、なんでわざわざ10行も作文に
費やすの?こういうふうに解ける人は、ほんと天才だね〜と。
「天才」=常人はまねできない、という意味である。

・・・かつて、受験生の私にとっては、その真似のできない
「解法」が実に驚異であった。知りたいのはただ一点、
“どうやったら、そう考えられるようになれるのか”であり、
見事な解答の提示そのものではない。
思考の結果ではなく思考過程を明らかにした書はなかった。
・・・・だから、我が青春時代の「答え」をようやくにして
語れるだけの力を幸運にも得て、『体系化学』として公開したのである。

そうやって、同レベルで化学を語れるGHS生が次々に現れ、
おかげで、『医大受験』で公開している、化学アドバンス演習へと
歩を進めることができている。
そして、望外にも、この読者会員のように直接の面識がないながらも
独習にて、同じ地点に立てることができている。

 実は、授業をライブ的に「著書」という形で伝えるのは至難のことなのである。
繰り返しになるが、『体系化学』は、授業でしゃべっていることをそのまま
活字にした、というような単純なものではない。
かつての私のような独習者の手にわたることを夢見て、さまざまな仕掛けと
工夫を凝らして、「実況中継」風に見せているつもりである。
・・・すでにのべたが、本当は、有機化学テキストも授業レベルでは
できあがっているのではあるが、板書とライブトークができるという
条件に支えられている。
 特に、有機化学の動画的な図解や、立体的かつ縦横なテキストと
問題との往復を、ふっと客観視するとき、「本」にするのが
ますます困難に思われてくる今日この頃であるさて...。
posted by Koujin Amano at 00:55 | TrackBack(0) | 読者倶楽部

2013年06月29日

[57] 読者の言に想いあり8

読者倶楽部2013 
 今年も新たな読者受験生から、読者倶楽部へとお便りをいただいている。
その一部を紹介しながら、現状と展望を交えて述べようと思う。
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化学はかなり得意な方だが読んでいて既習範囲でもなるほど
と思えるところが多かったためとても面白かった。
雑然としていた思考回路に一本筋が通って視界がクリアに
なった感じがした。ただ熱化学に関してはエネルギー図に
よる解法の方針も示して欲しかった。 〔静岡県・高卒〕
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「化学がかなり得意」という人は、本来、本テキストの想定読者層ではない。
それは「まえがき」にある通りである。
“化学への再入門、かつ一発逆転の書”という目線であるから、
本当のところ、東大志望者さえ読者に想定していなかったのであるが、
このブログでも再三紹介したように、実際には、東大や京大の合格者から
感謝のお便りをいただいていて、その「謙虚さ」こそが本物の秀才である
・・・・という話をいつぞやここで書いた。
 実際、理3に合格した茨城県のK君(多分「大数」の広告に載っている)も、
初版の熱烈な読者であった北海道のN君も(合格後GHSを訪ねてきてくれました)
また、読者からGHS生となり、東大に合格し、今や私の仕事を分担して
“ラクさせて”もらっているT野君もみんな世間的には「才」ではあるが、
どうにも化学に自信がなくて、ようやく『体系化学』にたどり着き、
その謙虚な取り組みの結果、体系的思考に「開眼」した諸君である。
 その意味で、上に掲げたお便りは、ちょっと異質に感じた次第である。
というのも、今まで「化学は得意だ」で始まるお便りは受け取ったことがないのだ。
こういう潜在的な読者層の拡がりもあるのかとも思った次第であ。

化学が不得手な秀才と得意な秀才
 「雑然」と「一本の筋」という対比が感想としては本質をついていて実に見事である。
それ相当の学力があれば本テキストは、一気に読み切れたことだろう。
とはいえ、得意科目に対しては「秀才」というものは、
中々に全面的に脱帽してくれないものである。
 しかし、それは当然、『体系化学』によらずして、あの筋の通らない旧来の化学で
得意になれたのであるから、人並み以上の、とてつもない努力を
積み重ねてきたはずだからである。それは私にはできなかったことだ。
そうやって自己修練して得たものには、誰でも一家言くらいは持つものである。
「エネルギー図」云々はその自負の顕われである。

 ただ、これが先に挙げた3名の東大生でならば、
「なんだ、エネルギー図なんていらないのか、覚えて損したな・・・」と
あっさり捨て去るものであるが、それは化学が嫌で嫌でたまらない長い時間
苦悩と焦燥とをもったからこその潔さなのである。

 ちょうど、熱化学のエネルギー図については、8月に発刊される
『医大受験』vol.8に連載の、“体系化学アドバンス”に書いたところである。
具体的にはそちらを参照して欲しいが、端的にいえば、エネルギー図は、
問題を解くためのツールではなく(=「プロセス」ではなく)
化学計算式とその「結果」をビジュアル化したものである。
のことが、いわゆる『100選』と同じ問題を俎上に乗せて説いてあるので、
ぜひに熟読玩味してほしい。
posted by Koujin Amano at 20:55| 読者倶楽部

2013年02月09日

[54] 読者の言に想いあり 7

GHSのHP掲示板より
 読者から以下のような書き込みがあった。
著者としては、待ってました!≠ニもいうべき箇所
あったので、掲示板では簡潔に返信しておいたが、
http://www.ghs-yobikou.co.jp/contents/bbs/easybbs/index.php?index=2
ここでは少し別の観点も加えながらコメントしておきたい

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お尋ね 投稿者: 河野 海  02/07/13 07:50  
天野先生の「体系化学」興味深く拝読させた頂きました。 
つきましては本書の内容からはずれる不躾な質問で恐縮ですが、
もしわかりましたら教えていただきたい事がございます。 

本書p117の酸化還元の説明で、地球規模の観点からの理解、
という記述がありますが、やはり高校化学で同様の観点
(確か「塩の生成へすべては向かう」とういうことではなかったか
と思います)から解説した参考書がかつてあったと記憶しております。

もし天野先生がその参考書に心当たりがありましたら
ご一報いただけませんでしょうか。宜しくお願いいたします。
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 一読して明らかなように、「大人の読者」である。
現在どういう立場にある方かまでは分からないけれども、
『体系化学』を「興味深く」読むことができるのだから、
それ相当の素養がある方なのだろうと思う。
実際に教えておられるか、受験生の保護者からか....
まあ、そんな詮索はどうでもよい....
ただ1点重要なことは、受験勉強という制約から離れて
興味をもって、大人の目で「体系化学」を読むならば、
こういうところに目が向くものだ、ということである。

定量と定性
「まえがき」に述べたように、『体系化学』の“ 体系 ”とは、
定量化学の視点から筋を通したものである。
ご存知のように、《化学計算原理》の下、
その構造である化学反応公式と化学基礎公式によって
すべての化学計算は、同じ思考によって解決されることとなった。

そうやって筋を通すと、定性化学的な知識の方は、
定量化学の展開の流れの中に適宜配置されることとなる。
そのどちらでもないのが、公的教科書の目次構成であり、
それに準拠≠オて安住している数多の参考書類である。

言い換えれば、定量化学の体系化を提示した『体系化学』に
おいて、定量化学の体系は、その背景に隠されている、否、
控えている≠ネいし暗示されていることになる。
それを併せての「体系」であることは論を待たない。

なぜそうしたか、については改めて言うまでもないと思うが、
その答えは「まえがき」にある通りである。
化学計算の初歩もできない「化学弱者」が多すぎるからである。

しかしながら、受験化学レベルにおいては、
定量的にも定性的に体系≠ネどなかったし、否、
そういう発想さえなかったのは、昭和から平成にかけて
受験生であった現在の「大人」にとっては自明であろう。
(もっとも当人が「体系」と称して、体系のなんたるかを知らず
単なる「知識整理整頓集」でしかないものは、昔も今もあるが....)

したがって、読む人が読めば、『体系化学』から先は、
論理的に当然に、定性的化学の体系的理解は如何、
というところに進むはずである。
この読者の方の知的興味もそこに向かったものであると思われる。


化学反応とは何か...へ向かう道
「化学とは何か」についてはp.11にて初学者用に説いたが、
それをふまえて、定性的化学の頂点にあるべき論理的把握は
「化学反応とは何か」である。これについては、
『医大受験』の学習ページに連載中の、「私大医学部受験 
カスタマイズ演習」のVol.4の記事から今号にかけて提示しているので、
興味ある方は参照されたい。

ちょうど今月20日に発売のVol.6には、中和と酸化還元の
統一的理解という視点のオリジナリティー、という観点で
『体系化学』を引用しつつ補筆したところであるから、
実にグッド・タイミングな今回の投稿だったわけである。
・・・これはさては育文社編集部のなりすましでは
なかろうか・・・とあえて邪推したいくらい ε( ^o^)/ !! である。

さて、話を戻すが、要するにこれは、
「化学反応の地球科学的視点からの把握」がなにゆえに必要か?
という問題になる。それは、テキストにも記したように、
地球は「水の惑星」だからであり、生命現象を宿す惑星だから
である。それがあっての「地球の化学反応」なのであるのだが、
これは化学の専門家ほどに、中々に理解されがたい。
地球とはを大きく捉えねば、化学反応とは何かが説けない、
というのは論理としては当然なのに、研究者は実験室の
化学反応ばかりみているものだから、
 “ 中和反応とは、酸と塩基から水と塩が出来る反応だ
教える側は思考が停止している。それ以上は何も語らず、
その定義を覚えよ、といわれて学ぶ側も思考が停止する。

……じゃあ、なんでそんな反応が起こるんだ?
なぜそんな反応が存在するんだ?どんな意味がある?......

これが私の受験生以来のギモン≠ナあった。
そんな素直でない受験生だったので、その答えをもとめて、
ありとあらゆる参考書を立ち読みすることになる。
もちろん、そんなかつてのヒネクレ受験生の私を少しでも
満足・納得させたものがあれば即購入して、今でも大切に
蔵書しているはずである......。したがって、私の知る限りでは、
そういう参考書はなかった、ということである。

さらに、試験管での人工的な反応ばかりをみていると、
「いやいや、厳密にいうと中和反応は、H+(プロトン)の
やりとりだよ」という無機的な£闍`に行き着く。
もちろん、まちがいではない。
けれども、「それがどうした?」とその意味を問いたい人には、
じつに「隔靴掻痒」モノでしかない。
さらに、初学者にとっては混乱の元である。

その過去の自分への「答え」が、『体系化学』での
記述なのである。中和も、酸化還元も、水の惑星地球での
・・・水から始まり、水へと回帰する・・・
そんな絶え間ない物質循環の一コマを切り出して見ているに
すぎないのだ、と。
 この把握を原点として、両反応の一般性と特殊性が捉えられ、
「化学反応とは何か」をふまえての、反応の構造論が展開できる
ことになる。
 そういう重要地点についての「お尋ね」だったことは、
質問者の「興味」が、本質的なものを求める知的好奇心に根ざしており、
本テキストに共鳴してのものであることの証左であろう。

posted by Koujin Amano at 18:15 | TrackBack(0) | 読者倶楽部