2018年08月13日

[120] ニュースなあれこれ、そうだったっけ??

News「医学部入学男女比率」

 世間的にはお盆休みであるが、病院というものは実はお盆は営業している。

開業医さん達はたいていお盆休診しているものだから、

医者はお盆は休んでいる、というイメージがあるようだが、

ところがどっこい!! (私の地方では「ところがギッチョン」ともいう)

平日どおりの勤務なり。・・・・・・でも外来は少し空いているかな。

患者さんも病院は「休み」だと思っているせいか・・・。

でもむしろ、病棟の入院患者には離れて暮らす家族が見えて、

お話する機会は増える。それでも、なにか静かな感じ漂う・・・。

そういうわけで、少しばかりのお盆休み気分で書く余裕ができた。


昨今、GHSにもっとも近い私立医学部が (距離的に。西新宿なので・・・)

ニュースになり、女性の合格者を意図的に抑えたという騒ぎから、

全国の医学部へと調査の手が広がっているが、

ふと「GHSではどうだったのか?」と思い自主的に調査をしてみた。

まずは、新聞記事。

全国医学部合格比率.jpg

これによると志願者に対する合格率は全国平均で男子で8%(12人に1)

女子で6.1%(16人に1)である。

国立と私立で志願者数は違うが、単純には13人に1人しか合格できないことになる。


さて、2018年度のGHS生の医学部合格者数は19名であった。

昨年度のGHSの全コースの総生徒数は36名程(2名ほどは他学部志望)であったから、

合格率は驚異の55.8%である!!!!

・・・・・・なーんていうのは、なんちゃって予備校の宣伝によく使われる手法である。

本当の実績は「合格者数」ではなく「進学者数」でなければならない。


というのも、医学部に合格できるような実力に達すると

併願した複数の医学部に合格してしまうことも多々ある。

もちろん、そのうちに一校しか進学できないわけであるから、

他は辞退し、補欠繰り上げ合格ということになる。

そういうダブル・トリプルカウントを除いた正味の進学者数として

合格実績を出していないところは、合格者数を多く見せようとしているわけで、

せめて眉に何かをつけて見るようにした方が良い。


ということで、今年のGHS医学部進学者数10名である。

合格率は、29.4% 3人に1人弱ということである。

もちろん、ご存知のように、GHSは入塾時に選抜試験をやらない。

   「出発点の学力不問、申し込み順、やる気次第」

の塾長面談で締切るまでやるわけだから、無選抜でこの合格率は、

全国平均の8%程度からみればすごいんじゃないかと思えてくる。


GHSには確たるメソッドがあり、だからこそ堂々と、

しかも惜しげもなくHPでそのほとんどを公開しているが、

いかんせん、プレーするのは選手達、こちらが意図する実力を我が身にまとい、

試合(入試)でバリバリ活躍できるかどうかは、まさに切磋琢磨、

GHS内でもサバイバルであることは論を待たない。

「3人に1人」という値は、その結果である。

惜しくもそこに達せなかった者でも、また、何某かの手応えと希望とを携えて、

二年目のリベンジに燃えている者もいる。


まあ、どことはいわないが、どこかの予備校のように、

「選抜クラス」(出発点に一定の成績や、一次合格者を条件とする)に、

もう少しで合格しそうな生徒を集めて、これを分母に限定し、

かつ「合格者数」で水増しして、「驚異の合格率80%」等々と謳うようなものには、

もはや眉に墨でも塗って(イモトみたいに?)眺めた方がよいだろう。


さてさて、気になるGHSの合格男女比であるが、まったくイーブンの5対5である!!

そもそものGHS生の男女比がほぼ半々であったから、自然の摂理どおり??の結果か。

まあそれでも、もし、我がGHS生に対しても、男女の差をつけるような

「配慮」がなされていたとすれば、来年の女性の合格率がさらに上がる??

かもしれないと、むしろ期待したりする。


いずれにせよ、

「来年度入試においては、男女差も浪人年数も「配慮」しない採点が

 陰にも陽にも行われるはずだし、そもそも本物の実力勝負なら

 GHS生は優位にあるのだから、これはいいニュースと受け取るべき!!

 がんばれ!!」

と授業で、エールを送ったことである。

posted by Koujin Amano at 18:34| カリキュラム

2018年05月16日

[117] ‘オンデマンド’の恩恵

漢文テキスト・熱中の余波
 昨夜ようやく、体系物理テキスト ver5がデータ入稿となり、印刷開始となった。
来週には、全280頁の、GHS体系物理カリキュラムの基本書となるテキストが到着する予定である。
ここまでは昨年までの力学編のみの独立したテキスト(モノクロ印刷)で授業をしのいできたが、
来週からは、合本のフルカラーテキストでの授業が可能となる。

授業自体に支障はないものの、開講一ヶ月もすぎての配布というのは、本年のGHS生には
大変申し訳なく思っているが、その分ver4と比べて加筆修正した部分はかなり多く充実したものになった。
基本書としてはもはや完成版といってよいと思う。
ここからは、対応する演習書のテキスト化にむけて解答・解説を充実させていくことへと進みたい。
いわゆる問題集としては、部分部分ではできているが、それを統合してテキスト化するには
まだ熟成のための時間が必要である。

ちょうど一ヶ月遅れの原因は、疑いなく「漢文句法ドリル」のテキストの入れ込み過ぎであり、
一ヶ月で作るつもりが、途中から構想拡大し、『漢文解析』で説けなかった内容も盛り込んだため、
倍の2ヶ月を要したことにあるのは明らかである。

おかげさまで、市川久善による漢文基礎の授業は、一層の楽しさを増して快走している。
おそらく8月くらいには、この基礎テキストを終える予定であり、授業ごとに校正をすすめ、
終了次第、テキストの印刷に移ろうと思っている。

ところで・・・
 このように書きながらも、実は今年度、私は体系物理の授業を担当していない。
GHS卒生であり、かつ京大理学部の卒生である田川先生が物理の主担当として
活躍してくれているからである。これぞ、長年夢にみていた「介護状態」である。
「ぼくが物理をやりますから、化学の授業のコマを充実するとともに、
 漢文や医系生物セミナーにエネルギーを注いでください」との申し出が頼もしくも嬉しかった。
最終理想目標は、物理と化学から完全に手が離れて、漢文や古文や倫理社会のような
好きな授業を楽しくやりながら晩節をすごすことであるが・・・・。

GHSの化学・物理の授業は、基本的には卒生でなければ務まらないが、
逆に、卒生であれば同じように指導できるように技術化されているから、
それにテキスト化・マニュアル化が加われば、指導法の試行錯誤なく、
講師のもつ個性が生かせることになる。そのためのテキスト化である。

オンデマンド
 これで、本年度のテキストはようやく出揃ったわけで、
今月中にも、GHSのHPに電子ブックとして公開することになるだろう。
体系化学に加えて、定量と定性の演習テキスト、有機化学、そして体系物理と
製本化してきたが、その波の元は、ここ二、三年の出版業界の変化である。
IT・ネット社会の進展により「本が売れない」ゆえの出版不況・・・などと言われているが、
逆にそのIT・ネット社会の変化が、GHSのテキスト作りを後押ししてくれている。
普通、出版物といえば、オフセット印刷といって、輪転機を回せばあっという間に
千、万と刷れてしまう技術が主流である。

だから『体系化学』や『漢文解析』は、1000部が最低単位であり、
何万、何十万・・・多ければ多いほど単価は安くなる。
逆にそれ以下だと、すごく高くつくので、簡単には出版などできない・・・・・
2008年当時はそんな環境であった。在庫がなくなるのを待って、
それからようやく第二版として修正が可能となる、実にもどかしいことであった。
体系化学のような本をザっと印刷すると200万円ほどの費用がかかる。

GHSのような少人数の生徒のためのテキストをつくるには、
中綴じでは32頁くらいが限度だったし、それより多いと、コピーしたものを
とじたくん」でカバーの背を熱してくっつけて簡易製本してみたり・・・
と色々やってきた。懇意にしている印刷屋さんに頼むこともできたが、
最低100部で、モノクロとなる。それでも10数万円かかる。
カラーだとその数倍となるとの見積もりであった。とんでもない!!

実は、100部もつくってしまうと、GHSの人数なら、2-3年間は改定ができない。
それはむしろ『体系化学』のときよりも環境は低下していたともいえる。
今回、物理の力学編の残部あったのも、そのおかげではあるが、その間に、
年々GHSのカリキュラムは発展を遂げるので、これもまたもどかしいものであった。

そこに登場してきたのが、オンデマンド印刷である。
オフセット印刷では、大きな紙に印刷するので、基本的には頁数は16の倍数となる。
頁が余ったときにはそこに広告や告知をいれて埋めたりする。
ところが、オンデマンドは、業務用のプリンターで印刷し製本するので、
頁数も4ページ単位で指定できる。物理テキストは280頁だが、オフセットなら、
16×18=288で、あと8ページほど何か付け足さないといけないところであったが、
オンデマンドなのでぴったりおさまった。

化学は60部、物理は50部の少数部数。少なくともまだ来年は使うつもりの概算数である。
これをネットで注文する。私が利用しているのは、なんと京都の印刷所であり、
たまたまネット上で出会ったにすぎないが、上記テキストはすべてここでお願いしている。
wordでつくって、pdfにして、ファイルをネットで送るだけである。
フルカラーであるにかかわらず、モノクロで100部つくったときと費用は大差ない。
印刷業界も生き残りの方向をこういうところに求めつつあるということだろう。

その新しい波のおかげで、GHSのテキスト化は大いに進展しつつあり、
コピーでつくっていたものや簡易製本に比して、思った以上に質の高い印刷物として
配布できるようになった。しかも、電子ブックとして公開もできる。
そんな時代が早々にやってきてくれたことを歓迎したい。

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 基本的には、GHS外での頒布を想定して作ってはいないので余分はありませんが、
読者諸氏の中で、どーーーーしても欲しいという方は、
次週、電子ブック公開後、ご覧になって、GHSにメールで問い合わせていただければ
来年度に支障ない範囲で対応することになっています。
[モノクロのもので1000-2000円、フルカラーで2000-4000円]
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posted by Koujin Amano at 12:15| カリキュラム

2018年01月18日

[111] 今の時期、さぞかし……

やるべきこととやりたいこと
 センター試験が終了すると、私立医学部入試シーズンがはじまり、
GHS生達はそれぞれの闘いに赴く。
「入試はじまりましたね。センセイも今一番忙しいでしょ?」
時候の挨拶代わり、こんなふうに言われることが少なからず。
 しかしながら、予備校講師としてはこの時期がむしろもっとも暇で、
授業前後の準備から解放され、ε-(´∀`*)ホッと一息。
次年度に向けてのテキスト・カリキュラムの発展と充実に向けて、時間を使える時期である。

これが中学や高校入試などでは、「追い込み」と称して、試験直前まで
ハチマキでもして(さすがに古いか)、特訓特訓、入試会場前では生徒にエール!!
というような光景がありがちなのか、そのイメージで上記のねぎらいの発言となるのであろう。

しかしながら、少なくともGHS生に関しては、早く手を離れて、
やりたいこと、やるべきことが「独学可能」な状態にすることこそ目標である。
医学部入試はどこでももはや、「追い込み」とやらで詰め込んでなんとかなる量やレベルではない。
だから、12月いっぱいまでに必要なことは教え終えるカリキュラムになっている。
また、医学部入試はどこでも、時間との闘いでもある。
1問をじっくりと時間を掛けて解くような試験ではない。時間内にできるかできないか
分からないくらいの問題をやりこなす必要がある。
これは、教える次元の問題ではなく、自学修練をなすしかない。
今年のあるGHS生は、年末から年始にかけて、順天大医学部受験のために、
10年分の過去問を全部解いて臨んだという。
1年前は、1年分の問題を解くことさえできなかった、本半では手も足も出なかった人間が、
GHSの1年でここまで成長する。「あとは自分でやるだけ・・・」

本ブログ [106] に書いた、Eさんの勉強ぶりもそんな様だったのだろう。
塾や予備校は、いつまでも通うものではない。優秀なやつ、できるやつほど、
早く手が離れる。独立する。GHS卒生の中には、たしかに1年では合格は叶わなかったが、
そのあとほぼ宅浪状態で独学し、次の年に医学部に合格して報告に来るパターンが少なからずある。
どうやればよいのか、何をどうまなべばよいのか、それがわかったら、
あとは自分が納得いくまで、時間の壁を破れるまで、自学修練するだけである。

……だから、今は1年でもっとも「暇」。自由な思索と創造の時間に充て、果報を待つ。
posted by Koujin Amano at 21:18| カリキュラム

2017年11月29日

[108] ' 高分子系統樹 'ということ

センター試験、異変!?
 12月が迫り、二学期丸々使った有機高分子の講義が修了を
迎えようとしている。油脂、炭水化物、蛋白質、ゴム、
そして人工的高分子へと各項目に十分なる時間をかけて進んできた。
GHS生たちも、急ぎ足ではない高分子の授業をはじめて体験したことだろう。

昨年から特に注力しているのが、「人工的高分子」である。
ご存知のように、センター試験化学もまた難化がはじまっている。
有機化学に絞っていうと、人工的高分子の出し方がハンパない !!
ナイロン66とかPETとかの定番ではもう済まされない。
ビニル系、とくにアクリル酸系のメタクリル酸、アクリル酸メチル、
アクリロニトリル、そしてアクリル酸メチルとパッと見が同じの、
酢酸ビニル等々・・・・・・が、選択肢に堂々と登場する。

もちろん、難化上等!!、「高分子の世界に届く」授業を展開してきた
GHS生にとっては、他に差をつける好機でしかない!!

有機高分子系統樹
 有機高分子の項は、どの教科書も、どの参考書も、
たくさんの高分子が列挙され、フルカラーで用途が示されている。
で・・・それはどう学べばよいのか?という問題には答えていない。
つまり、高分子はいっぱいありすぎて、頭の中で収拾がつかないものである。

体系化学アドバンス(1) (ないし『医大受験』誌)で説いた、
「電池の歴史・系統樹」を参照していただくと話はさらに早いが、
このような人工物の技術の歴史には、時系列の系統樹的把握が有効である。

というのも、電池も人工的高分子も、人間が作りあげてきたものだからであり、
一つの発明・技術が登場すると、次にはその欠点を克服したり、
その長所を拡張した発明・技術が登場し、その連鎖が歴史をつくる。
もっとも、現実の歴史には、偶然と紆余曲折がつきものだから、
それを論理的歴史として捉え返す必要があるが、そのフイルターを通せば、
高分子の歴史もまた、電池の歴史と同様に、ストーリー性が見出せるものである。

この際、留意すべきは、「機能分類をしないこと」である。
人工的高分子というものは人間が意図した通りの機能になるとは限らない。
シルクを目指してストッキングになったナイロン然り。
また、人間社会の変化によって用途が規定される。
映画のフィルムやセル画ベースが、デジタル化によりピンポン玉や小銃火薬へと
用途が限定され住み場所をみつけたニトロセルロースのように、である。

したがって、「このポリマーは、︎■,︎■,︎■,・・・等々の用途に使われる」のような
列挙的説明は、受験生にとって迷惑千万、有害無益である。
教育メソッドとして必要な視点は「歴史的・構造的分類」であると思う。

まずは自然的有機高分子から人類が何を学んだか?」から始まり、
そこから高分子化に至る構造を抽出することになる。
その高分子化構造体を既存の有機反応をふまえてmodifyし、
次から次へと新たな高分子を生み出していく歴史が続く。

その中でも、系統的把握がもっとも有効なのが、天然ゴムから学んだ、
ビニル・ファミリーである。
とはいえ、注意すべきは、名称は必ずしも系統的ではないことである。
各々の開発者が気の向くままに命名するものだから系統性は隠れてしまいがちだ。

だが、生物の系統樹にくらべれば扱いやすい。
そこには人間の意図はないから、生物系統樹の枝葉はどこまでも分岐していくもの。
そして生物学的にはどの枝も研究者にとっては「等価」のようである。
アメンボだって、オケラだってみんなみんな生きているんだ、研究対象なんだ!!…と。
しかし、高分子系統樹には人間の意図が絡む
アドバンス化学で公開している「電池の歴史」と同様に、
前者の欠点を克服する意図をもって次の世代へと進む。
その流れをみればよい。

高分子の学びは、羅列でも横並びでもなく、系統的に!!
次年度用に製作する有機化学テキストver.5では
その部分を追加掲載することになる予定である。
posted by Koujin Amano at 17:33| カリキュラム

2017年10月26日

[107] アミノ酸 ‘カスケード’ という話

高分子の世界に届く
 GHSでは、カリキュラム自体の体系化も進めている。
ただただ文科省指導要領の単元通りに問題をこなすなんてことはない。
まず必要なのは、高校卒としてまともな学力を与えられないままに
浪人してしまった受験生の再生・再履修プログラムである。
 今回は、そのうち、有機化学の話を書いておきたい。
有機化学テキストは、ver4となるが(GHSのHPにて電子ブックにて公開中)、
これを用いることにより、4月からスタートし、週1回90分の授業でありながら
8月一杯で2/3の区切りを迎え、2学期は丸々、残り1/3の高分子の授業に
充てることが可能になっている。
そう、後手後手になりがちで、手薄になりがちな有機高分子のエリアは、
GHSでは、第二学期のメインディッシュとして提供される。
まさに、受験生にとっての「理想と夢」が実現できているのである。

教科書にちりばめられた枝葉的知識とコアとなる知識を峻別すれば、
そういうことも可能となる。
それは『体系化学』の記述方法論と同一線上にあり、端的には
しっかりとした知識の骨格があれば、枝葉はあとからいくらでもついてくる、
ということである。あれもこれもと盛り込むと、メインデッシュに行くまでに
お腹いっぱいになってしまい、全体像を得損なうものである。

 ーー 最近、ある高校生が使っている教科書をみる機会があり、
       それは、ちょうど「化学平衡」のところであったが、
   気相平衡の例としてハーバー法の紹介があったまではよかったが、
   そこからなんと、オストワルト法と接触法について反応式を示しての説明が続く。
   「なんでこんなところで、寄り道・脱線するのか??」
        「化学平衡の法則まで一直線でいかないと、高校生は混乱するでしょ……」
   授業ノートをみせてもらうと、ご丁寧にその説明も板書してある。
   知識自体は正しいが、ここで「ついでに」やることではないでしょ?
   ・・・私もかつては、こんなヒドい化学や物理の教科書に翻弄されたんだなぁーーー 

どういう知識をどういうストーリ仕立てで、どう順序で与えるか、それが大切だ。
知識自体はウソでも間違いでもないが、その並べ方をまちがえると正しい理解を阻害する。

もとに戻ろう。有機化学テキストは、一つのストーリーになっている。
その始まりのロジックは、途中でも、後ろの方でも繰り返し登場し、
生徒の論理性を醸成することにも資するようになっている。
知識の範囲は同じでも、まったく別物になっているわけである、
つまり、『体系化学』と同様である。

アミノ酸の'カスケード'とは
 今回のトピックは、そんな有機高分子の3/4番手に学ぶことになる、
蛋白質・アミノ酸のエリアのことである。
ご存知のように蛋白質を構成するα-アミノ酸は、20種類ほどある。
その20種類をどうやって覚えるか?という話である。

その要点は、20種の紹介はしても「全部覚えようとしてはならない!!」ということである。
まずは次の8種類だけについて、系統的に配置もあわせて覚えよ!(◎_◎;)という指導をする。
これを称して 'アミノ酸カスケード' という。
         ↓ click
アミノ酸カスケード図.tiffアミノ酸カスケード図.tiff     
 アミノ酸カスケード図.jpg





     
なんとなれば、入試的に出題頻度が高いのはこれだけだからである。
その理由は簡単、それ以外は構造式が複雑であるため、
「構造式を書け」とは問えないからであり、構造式を与えるしかないからである。
そして、その駄目押しとして、昨年と今年にまたがって、
この 'アミノ酸カスケード' の記憶法コンテストを実施した。
課題は、「α-アミノ酸の共通骨格の式量74g/molと8種類のアミノ酸名を織り込んで、
この順序で覚える語呂合わせ」であり、受講者全員に考えてもらう。
優秀作品にはささやかながら賞品を送る。
そして、GHS有機化学テキストに掲載され、歴代のコンテストグランプリ獲得者とともに、
卒後も名を留めることとなるv( ̄Д ̄)v 手(チョキ)
これまで、「陰イオン化傾向」にはじまり、「カルボン酸」、「ジカルボン酸」、
「油脂フォーマット」とやってきて「アミノ酸」である。
もちろん、審査員は私一人なので、判定には主観しか入らない´д` ;が、
そんなことは実はどうでもいい、オリジナルの記憶法づくりに時間を費やすうちに、
自然と覚えてしまうことが狙いである。

そうやって、主要なアミノ酸8個が、整然と銘記されたら、それ以外は、
問題演習で出会うごとに必要なかぎりて少しずつ追加していけばよい。
これと、必須アミノ酸の記憶法(これは巷にゴマンとある)と合わせれば十二分である。

常人にはアミノ20種類なんてとうてい覚えられやしない。
それができるくらいコピー力が旺盛なら、浪人などしていないだろう。
そうやって覚えること自体を挫折させてしまうよりも、
とりあえずこの8個の確実な記憶の方が、後々、記憶を発展させられるのは当然の理である。
だから、最初は、あえて残りの12個を後回しにするのである。
・・・それをついでに、とばかりあれもこれもと紹介するようなことをやっていると、
生徒は何一つ覚えていない、ということになる。
物事の学びは、選び方と並べ方が大切である、ということである。
見せないこと、触れないこともまた、教育メソッドである。

次年度、有機化学テキストver.5の公開時には、このコンテストの記事ももりこむ予定である。 

posted by Koujin Amano at 21:12| カリキュラム

2017年04月30日

[103] 体系化学 ワン,ツー,スリー

新学期開講!!
 浪人生にとっては必ずしも嬉しい春ではないにせよ、
新たに集いしGHS生とともに、仕切り直しのスタートを切った。
今年も総数30名ほどのほとんどが医学部志望者である。
毎年難化していく医学部受験に対して、小手先のテクニックや、詰め込み暗記や、
ましてや根性や頑張りだけではどうにもならない現実をつきつけられ、
GHSのメソッドに光明を見出し、全国から集まってきた受験生に、
こちらも精一杯のパフォーマンスとスキルで応えるべく動き出した。

GHSでは、時間割やカリキュラムについて基本線はあるが、既定のコースやクラスはない。
毎年、集まった生徒の状況を把握し、情報を総合しアレンジする。
……ということで、今年は、体系化学を1,2,3と分けることにした。
有機化学はまた別に設定してある。
昨年度は、有機化学の他は、定量化学と定性化学、化学アドバンス
という分け方をした。それもまた、顔ぶれをみてのことであった。

開講にあたって、「出発点確認テスト」を行った。その結果を分析して、
「体系化学1,2,3」という発想になった。

もとより、GHSでは、入会にあたって選抜テストをすることはない。
無選抜、申し込み順、やる気次第」の三原則は長野校も含め堅持されている。
最初から、ある程度の偏差値のあるものばかりを選抜して、
トップのクラスをつくり、そのクラスの合格率だけを発表して集客する、
というようなアコギな真似はする気がないからである。

出発点を確認するのは、出発点を問題にしないから!! である。
GHSの体系化学メソッドは、そもそも、化学の再履修が必要な生徒、
ゼロからやり直し、という生徒たちを相手に構築されてきたものである。
だから、高校の成績も、これまでの模試の成績も関係なく、
一からやり直す意志さえあれば、誰でも登っていける学習メソッドなのである。
それゆえ、今回のクラス分けの要点は、「どこからはじめるか?」ということにある。

体系化学1,2,3
今年の生徒は、例えば一度私立医学部に通ったものの飽き足らず再受験、というツワモノや、
高校時分から体系化学を学んできている者・・・等々、いて、
ゼロからの再履修とはカリキュラムはおのずから異なるべきである。
つまりは、STEP1,2,3というふうに考えてもらえばよいだろう。

体系化学1=STEP1は、高校化学の知識もないに等しいと思って、
まっさらな状態からやり直すそんな気持ちで臨む授業。
もちろん、時間はかかることは互いに承知。
でも、急がば回れである。そうやってみんな這い上がってきた。その大事な原点。

体系化学2=STEP2は、リフォーム可能な・必要な知識がすでにある程度あり、
体系化学テキストの独習が可能と判断される生徒たち。
だから、体系化学演習の一歩先の内容で、体系化学を学び、アドバンス(1)へとつなぐ。

では、体系化学3=STEP3は何か?
それは、体系化学アドバンス(2)へとつながる道である。
 STEP2 アドバンス(1)+αを修了した生徒が若干名在籍している。
そのおかげで、今年は最初から、その先の講義を展開することができるわけだ。
体系化学はGHSの生徒たちとともに作ってきたのである。
その最初の学びの年齢が早め早めになってきたためと、医学部の難化のために、
受験期間が長め長めになっていることが、この授業を呼び込んだのである。

昨年の11月に書いた「無機定量分析」は膨大多岐にわたるため、
完習にいたらなかってという心残りを解消することもメニューにあるが、
『医大受験』で、アドバンス項目として立てながらも、触れるに至らなかった
大物ネタを最初に扱うことにした。
それはいわずもがな、「水蒸気、蒸気、蒸気圧」である。
このテーマは、物理でいえば、「単振動」級である。
どこにでも顔を出し、「難問」化に花を添えるものだ。
これも100問を超える大作になりそうだ。

検索に引っかかった問題は膨大であり、10数問程度のファイルが、50以上にのぼった。
これらを整理統合して、系統的にかつ厚く演習していくのが、体系化学3である。
もちろん、もはや、私が先に立って教え込むことはほとんどない。
体系化学を修行中のGHS生たちが、体系化学的な解答作りに努力してくれるはずだ。
私は、それを高みの見物でもさせてもらって、データ化・公開へとつなぐ・・・・
なんと愉しい年度スタートの光景であることか。
posted by Koujin Amano at 12:20| カリキュラム

2016年12月30日

[98] 化学のカリキュラム 2016回顧

高校の授業って・・・
センター試験や私立医学部入試の足音を聞くと、
授業の方は店じまいの時期。
個別的にはフォローするが、授業としては年内に終わることが常なる目標である。
だから、3月から早めに始めたとしても、12月までのわずか10ヶ月で
高校三年間の化学の再履修と受験レベルへのアップという「難題」に挑まねばならない。

そうなってしまうのはGHSの門を叩く浪人生のほとんどが、
高校化学をまともに履修できていないからに他ならない。
今年は、高校2,3年生の個別的な指導をする機会があり、
実際の高校の授業の中身を知ることができているのだが、
「せめてこれくらいはできないと高校卒業できないよ」という
基本のしっかりした指導を受けていない。雑多な知識を詰め込んで、
泡沫と化すのみ、何か幹で何が枝葉かも分からぬまま。
それは指導者のアタマの中がそうだから仕方ないことではあるが。
輪をかけて、そういう教師がすがりつく教材会社も今は昔のレベルだからである。

「授業の進度」という形式上のアリバイ要件はみたして卒業させられてはいるが、
中身のない質の伴わない化学教育が化学難民浪人生を量産している。今も昔も。

まあだから、上を目指すほどに浪人するしかないのであるが、GHSでは「急がば回れ」で、
いかに効率的に再履修するか、というカリキュラムの創造に取り組んできたのである。

定性化学テキスト 完成!!
以前から取り組んできたことではあるが、定量化学を主軸とする『体系化学』に対して、
定性化学の部分を補完する「定性化学」のテキストがようやくにして、最終点に到達した。
『体系化学』と前後して、当初は1990年から15年分のセンター試験の全過去問を、
定性化学の体系にしたがって、余すところ無く配列するという、手間のかかる作業であった。
当初は切り貼りでやっていたのを、徐々にデータ化していき、昨年の無機化学篇たるpart4、
本年はpart5にあたる有機化学篇をデータ化して、一応の完成を見たのである。

この間に歳月を重ねたこともあり、過去問は10年分近くたまってしまったが、
データ化してあるので、配列変更や割り込みは自由にできる形になっている。
必要に応じてテキストに取り込み、あるいは、確認テスト用に振り分けたりする。

主眼としたのは「すべてを学び尽くす」ということである。化学の内容自体は、
たかだかこれくらいの年月で変るものではなく、指導要領による出し入れ程度しかない。
まだ易化していなかった1990年代の問題を取り込むことによって、どのような幅にも
対応できる形がとれている。高々センター試験の範囲では、作れる問題は限られているのだから、
こうやって各分野を系統的に、易から難へとやり尽くしていけば、すべてが類題になるわけである。

GHSの化学の授業は、大きくは三本立てで、『体系化学』による定量化学と、定性化学、
それにアドバンス化学をくわえて(有機化学は別にある)10ヶ月で終了する。

「来年は、アトバンス化学の後半のデータ化を更にすすめたい」と思いつつ,新年を迎えることになる。
posted by Koujin Amano at 15:15| カリキュラム

2015年05月26日

[80] 原点回帰ということ

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『医大受験』vol.15 5/20発売 
 今回の連載で、15回目となる私医化学は、化学平衡の章を5回にわたって書いた。
それは、『体系化学』のリメイク+αでもある。
 物事を説く順序や説き方は一通りではない。しかし、著作となれば、一つに決める必要がある。
そういう点からいえば、「実は、このようにも説けた」という書き方となっていて、
いわば実験的な連載形式となっている。・・・
もっともGHSの授業は、ライブだから毎年バリエーションをつけながら楽しんでいると同時に、
生徒のタイプやレベルに応じてまた別の説き方を試しているから、
その「まとめ」を連載原稿としてデータ化したともいえる。
そうやって、少しずつリメイク・リファインしながらカタマっていったのが『体系化学』である。
 記述の仕方を1から見直したことになり、その意味で「原点回帰」なのである。

今年のGHS生 
 今年のGHS生もまた、「原点回帰」である。GHSは「無選抜・申込順・やる気次第」での
入塾方式であるから、毎年生徒のタイプやレベルがかわる。
それに合わせて、基本カリキュラムをカスタマイズして年間カリキュラムを作って行く。
そこで、今年の顔ぶれを見回してみると、実に「懐かしい」感じがするのである。
『体系化学』のまえがきに書いたような再入門、大逆転が必要なタイプが揃った感がある。
だから、テキストを中心に、基本をしっかり固めて、枝葉を伸ばしすぎず、欲張らず、
確実な実力をつけさせるべし、と思い定めている。

今年の化学の授業
 今年の時間割は、四本立てになっている。その一つは有機化学だが、
それ以外の三つは三層構造になっている。
「定量化学」と「定性化学」の時間を一つずつ設定した。例年は、体系化学テキストをメインに、
夏期に定性化学の集中講座をやっていたが、今年は最初から定量と定性をならべた。
それは、受験生の「定性化学の知識」があまりにも乏しく、信用できず、「再入門」どころか、
入門そのものが必要だ、と思われたからである。知識の乏しさが定量化学の理解そのものを妨げる。
むしろ、生徒も高校一年生へと「原点回帰」したつもりで授業を聞いた方が、「急がば回れ!」である。

と同時に、そこそこできる生徒もいるし、二年目という生徒もいることから、
実戦的な演習をしようと思った次第である。
 たとえば、かつて東北大医学部に進んだ大熊君は、合格手記の中で、『体系化学』を学んでから、
入試までは、『化学重要問題集』の解答を書き直しつつ、4-5回繰り返して身につけたと書いていた。
『化学重問』は、260題ほどの入試問題がセレクトしてあるが、これがパッとみて答えられるならば、
化学では十分に合格点がとれる、ということを実証してくれた。
 ふつうに医学部をめざすというのであれば、これをしっかり固めるので十分なのである。

そこで、もう一つの授業形態は、『化学重問』全範囲からのテスト演習である。
一回に、全分野から12-13問で60分で解いてみる。それを採点して解説する、
個人の弱点発見と補強には最適である。
すでに7回を終えているので、1/3の問題には触れたことになる。
もちろん、テストをつくるのは大変である。しかも、そのまま切り貼りしてはつまらないし、
答えを覚えていただけではつまらないから、すこし改変したりするわけで手間はかかっている。

しかし、それは時間内に確実に合格点をとる、という目標設定であるから、『体系化学』り
最後の一押しとして必要なことである。
・・・・まあ、こういうことは、本人真任せでも構わない面もあるのだが、
今年の生徒には、そこまでつき合うことが必要にようだし、
その出来(不出来)ぶりをみて、こちらも学ぶことがある
・・・・・そうやって『体系化学』ができたのだから、
新たな形式での原点回帰であると思う。

『化学重要問題集』(数研出版)書評
 その単元・分野を代表する良問を選び出し、かつ、毎年少しずつ入れ替えている。
それもあって、今年のテキストとしては2010版をネタにしている。
というのは、一通り終えたら2015版を類題演習してやればよいからである。
『体系化学』では、定量化学で筋を通してあるため、
定性的知識は、各所にちりばめた形になっており、
さらに、標準テキストであるから、枝葉のような、また重箱の隅のような知識はカットしてある。
そこをまとめ、かつ補うという意味で、目下、最良の問題集として採用している次第である。
ただし、二点ばかり注意が必要である。
 一つは、教科書に準拠していること。
そのため、ホントウは難しい問題が第一章にでてきて、
初心者を困惑させ挫折させる可能性がある。
たとえば、「化学反応式の係数を未定係数法できめる問題」。
これなどは、反応のロジックを学んでやればなんということもないのに、
第一章でやるから「数学的」にしか解けないわけで、
これから化学を学ぼうとするものにとって有害でさえある。
 もう一つは、「燃焼反応」の問題。これも置き場所にこまって第一章にいれているが、
『体系化学』では、化学反応公式7に位置づけているように、
酸化還元反応を学んだのちの応用として取り組むべき問題である。
 そういう「難問」を第一章で解かせることの愚への反省が何十年たってもなされていないため、
この問題集から化学を学ぼうとするとふつうの受験生は挫折ないし失敗する。
やったとしても歩留まりがよくない。
しかし、『体系化学』の学びのあとにやれば、順序はどうでもよくなるから、
最適の問題集に変身するのである。
ただし、化学計算問題に関しては、統一のとれていない解答を、
『体系化学』的に書き換えるという作業が必須である。

posted by Koujin Amano at 15:19| カリキュラム

2014年08月27日

[71] 体系化学の進み方

『体系化学』 改訂 !!……? 

 今年度の体系化学の授業は、有機化学もあわせて、GHS史上最速で進んでいる。
もちろん、ただ速いだけではなく、内容的には、『体系化学』をヨリ入試実戦に振った
アドバンス的な内容(『医大受験』連載・体系化学アドバンスを参照)を加えつつの、
ヨリ深みと広がりを増してなおの進度の早まりである。

どの予備校でも同じことではあるが、春に入って来た生徒には、入試まで1年間の時間はもはやない。
4月上旬に開講してから、センター試験ないし私立医学部入試開始の1月半ばまでは、数えてみれば
9ヶ月足らずである。1月以降は、生徒があちこちに入試に出向くため少人数予備校のGHSとしては、
「授業」の形がとれるのは実質年内であるのが実情だ。もっとも、早目に入塾を決めて、
早目に指導を受けはじめる生徒なら、約一ヶ月はプラスになるが、かといって「授業」としてのスタートが
できるわけではないから、授業期間は実質9ヶ月となる。

だから、たいていの予備校は、大手ほどに、すでに高校の内容を履修していることを前提に、
いきなり入試問題演習をはじめて、出題範囲をまんべんなくとりあげて、
この期間内に範囲を済ませることで、体裁をつくろってきた。これで、ついて来れる受験生はいい。
有名進学校から生徒を集めるとそういう授業でも成り立つのだが、GHSは昔から
そういう行き方をしなかったし、できなかった。それは『体系化学』が化学の再入門テキスト
であることからも察していただけるだろう。
すると、高校の知識も、基礎も、学力も大して期待できない生徒を前に授業をするならば、
少人数制であるだけに、いきなり入試問題ではついて来れない人材の存在にはすぐに気付く。
・・・・とすれば、高校で週四時間、二年間かけてやる化学全体を、この九ヶ月で、
いかに効率よく復習し、基礎を固め、底上げして、入試問題に取り組めるところまでもっていくか
が課題(=無理難題)となる。
その一つの帰結形態が、枝葉末節を切り落とし、定量化学として一本の筋を通す、という
『体系化学』へとつながっていったのである。

おかげで、この9ヶ月だけで入試に使えるレベルでの高校課程の再履修が可能になった。
しかし、道はこれで終わりではない。

なぜなら、一通り再履修を終えて、「わかった!!」と目を輝かせたところで、ワカッタだけでは、
入試で時間内に、問題が合格点レベルで解けるという状態には到達していないものである。
もちろん、それでも『体系化学』の学びは、合格者を輩出することに寄与することはできた。
しかし、やはりそれは、高校時代の遺産がある者、要領が良い者、寸暇を惜しまず超人的に取り組んだ者・・・
等々の、相当に個人的な資質に負うところもあったのは事実である。

それでよい、といえばよいのだろうが、カリキュラムの体系化の次なる目標として、
なるべく早く再履修を終えて、入試までの繰り返し修練により技化・定着を図る、という
課題(=無理難題)が浮上した。ここ数年のその取り組みが、『体系化学』につづく、
物理や有機化学の完全テキスト化と、カリキュラムの効率化と深化との両立ということであった。

すでに、二学期開始時点で、『体系化学』は、2nd Stageの内容の実質半分を消化するところまできている。
しかもそれは、1st Stageからアドバンスの内容を適宜上乗せしながら、である。
たった週一回、120分の授業で、である。もちろん、ご存知かもしれないが、GHSの化学と物理は、
夏期講習をやらない。一学期から夏期、二学期までの通年授業の形態をとらせてもらっている。
ちなみに、有機化学も、テキスト化の成果よろしく、すでに高分子の講義に入っている。

それは、とりもなおさず、『体系化学』改訂版ということになる・・・   《続》



posted by Koujin Amano at 16:05 | TrackBack(0) | カリキュラム

2013年11月02日

[62]実力テスト直前

身辺抄 ー長寿県・長野県ー 
 今朝の外来で、「施設に入るための診断書」を書いてほしいとの依頼あり。
男性、飲んでいるクスリはなし、たいした既往歴もなし、血圧も正常、
レントゲン,特に異常なし……年齢はと・・・91歳!だ。
 さすがに、足腰が弱って移動は車イスで、耳も遠くなってきているが、
肌つやもよいし、どこといってワルくない。大したものである。
 信州は、今年「長寿日本一」になったが、そういう健康長寿の
高齢者にしばしば出合い、年齢をみて驚かされることがある。
付いてきたのは娘さんだろう。ご本人の耳元で大きな声で話し、
診察の介助をしてくれた。
「長寿県日本一に、あきらかに貢献している方ですね」(笑)

 自宅の裏は里山になっていて、頂上には信玄時代の旧跡などもあり、
また寺などもあるので、しばしば山道を登るのだが、日当りの良い
緩斜面では、信州特産のリンゴがあちらこちらで栽培されている。
その手入れをしているのは、たいていは70歳代とおぼしき高齢者であるが、
どうみても転ぶと危険な斜面と坂道で、淡々と作業をこなしている。

そんな中をいかにも「いい汗をかくのが目的です」という格好して
登っていくと、
「ごくろうさまですな」などと声を掛けらる。なんだか恐縮して
「どっちがご苦労だよ〜」と心の中でツッコミを入れたりする(^_^;)。

やるべきことがあり、世話すべきものがいて、自分がやらなくてはいけなくて、
そこに必ず「成果」があること、信州の畑の仕事や山の仕事は、
そういう生き方を支えているのだなぁと思う。
「もう年だから・・・」とかいって町中のマンションなんかに老親を
引き取ったりして「親孝行」とすると、途端に認知症になったりする例も
少なからず。そのどちらにも触れる日々の仕事である。


実力テスト期間にて 
 GHSでは、第二学期の実力テスト週間を迎えている。
生徒は、ここまでの復習や進度調整をしつつ、週末の実力テストに臨む。
私も,二学期開始から二ヶ月余り、ちょっと一息つきたいところ。
今週末は、秋深まる信州にとどまり、心身を休めて、
生徒達の入試に向けてのスパートに備えたい。

 これまで今年の授業進度の話を何度かしてきたが、その後も順調にて、
たとえば、体系物理では、力学、熱力学、電磁気力学を説き終え、
最後の柱である波動(力)学の第2回目の講義を終えたところ。
12月初旬、二学期内で受験範囲が全部履修できることになる。
 例年は時間不足にならないよう、物理は150分×1であるが、今年は、
120分×1ながらこの進度である。もちろんそれは、卒生である石井先生が、
「物理演習」を引き受けてくれているから、問題を欲張らず、物理法則と
その体系性の理解に傾注したスタイルになっているからである。

有機化学は、すでに高分子の、二番目「炭水化物」を終わり、次回は「タンパク質
・アミノ酸」に入り、やはり二学期中に全範囲をおわる。
これは、テキスト化の役割が大きい。有機のテキストは9割方完成というところで
本文と図版はほぼ固まって、いま、高分子の箇所を授業にあわせて加筆修正している
ところである。その意味で、『医大受験』に公開する気になったのである。
 今年は、演習問題を各章で追加して演習に傾ける時間を増やしている。
あとは、問題の解答・解説のデータ化だけである、が、答えだけ載せるなら
ともかく、授業での思考プロセスを紙上で行うことの困難は、先にのべた
通りである。

 体系化学の方は、クラス分けをしたこともあり、例年のセメント&ドリルよりは、
アドバンスに振った内容にしている。『体系化学』は独力修了しているという
前提で、著者としてその行間を埋め、かつ、問題のバリエーションを広げ、
「難関」を目指す者にも向けて、その先の応用へと、あらたに問題を追加しつつ
ここまで進んできたが、すでに「化学平衡」の解説演習を修了し、
化学反応公式5までカバーした。6や8は有機化学向けでもあるので、
すでにある程度はすませてある。実質、『体系化学演習』はカバーできたので、
いわゆる「無機化学」に入ったところである。

「無機化学」なんてない
 GHSではずっと以前から、「理論化学」・「有機化学」・「無機化学」
という分類は有名無実、愚の骨頂といってきた。

 改めて簡単にいうと、化学は「定量化学」と「定性化学」の両面から
捉えるべきであり、体系化学は、「定量」の面から筋を通したものである。
そもそも「理論」とは論理の全体を指すのであるから、その部分に
「理論化学」などという名称を与えてフシギに思わないのは、
それを唱える者の理科的国語力の乏しさ以外の何ものでもない。

 それでも「有機化学」は、「一般化学」に対して、
物質の生命性を加味した応用化学分野であるからそのままでよいが、
そもそも「無機化学」なんていうものはない
それは、いわゆる「理論化学」の中身にすぎず、
一般化学にいれるべき内容である。

 実際、参考書や問題集の「無機化学」を眺めてみれば明らかなように、
新しいことは何一つないことに気付くはずである。
それは結局、そこまでの内容を、元素ないし周期表の順にしたがって
タテ割りでまとめなおしただけのものである。

 さらに(ここが大事なのであるが)現行教科書の単元に入らない
雑多な内容を押し込める「ハコモノ」でもある。
体系性のない単元構成であるだけに、置き場所に困るものが
少なからず出てくるのである。

 だから、「無機化学が苦手です」「無機のよい勉強法はないですか」
などという質問をしてくる生徒は(GHSでも1学期の内はいるが・・・)
要するに、化学を一般的にキチンと学べてないこと、基礎学力がないこと
を白状しているにすぎない。

「無機」を「無機」として学ぶことはできないのである。

『体系化学』を繰り返し学んでいくと、同じ物質が色々な場面で
活躍しているのがわかる。それを一本につなげていけばよい。
それが「無機」の学びの基礎となる。
それをふまえて授業では、+αの知識を付け足して行くわけである。

したがって、「無機」の勉強の仕方は、それ自体を学ばないことだ
という逆説的結論となる。すでにある知識を別の角度から学び直すべき
のが「無機」であるから、まずはそのモノをもつことが先決である。
 
posted by Koujin Amano at 12:25 | TrackBack(0) | カリキュラム

2013年09月02日

[60]夏の終わりの・・・2013

 夏期のトリは 
 8/31の土曜日は、GHS夏期期間の最後の日であったが、私の授業で〆となった。
幾度となく書いているが、私の場合は医業の関係で、通常の夏期講習のような
五日間連続の帯授業はできないので、通常学期と同じ週末パターンで日程を
くんでもらっている。今年はたまたま、8/30-31が週末となったわけである。

 今年の私の授業の特徴を一言でいうとすれば「最速」である。
一学期の最初に書いたが、GHS卒生をはじめとする「戦力」が年々
厚味を増していて、今年は次のようなChangeがあった。

 (1) 体系化学のセメント&ドリルの授業を二つに分けることができた
 (2) 体系物理の演習を講義と独立して任せることができた
 (3) 化学・物理のテキスト化がすすんでいる

このような点で授業が効率化され、今年は昨年よりさらに進度が出ている次第である。

体系化学+アドバンス
 実際、7月最後の化学の授業は、「電池の歴史」であった。今度医大受験に
掲載予定の話で酸化還元の〆となり、8/31の時点で化学反応公式[4]の熱化学に入った。

したがって、二学期の授業はほぼ最初から「化学平衡」である。
二学期の前半をたっぷりと化学平衡の演習にかけて
入試化学の最後のヤマを乗り切ることができる、
受験生として、なんと幸せなことではないか・・・
私の受験生時代の不満足を振り返っても詮無きことだから、
せめてGHS生に「倍返し」で報いてやればよい・・・。

 クラス分けができたことは、単に進度の問題ではなく、
深度にもかかわことになった。というのは、当初の予定にはなかったが、
『医大受験』に連載している「体系化学アドバンスA-100」の中身も織り交ぜて
体系化学テキストを深める授業のレベルに設定できているのである。

連載ということは、テキスト化されたのと同じであるから、
コピーを配布してテキストとして用い、そこに演習問題をプラスする。
また、逆にこの授業で行った内容をプラスして
次の『医大受験』の原稿につながるというような良き循環となっている。

体系物理+物理演習
 
物理演習も、卒生である石井先生が面倒見よく意欲的にやってくれている。
彼は体系化学と体系物理の修了者であり、また、彼の所属した年度は、
なかなか‘粒ぞろい’であったから、物理・化学のアドバンス演習を
かなり本格的にやった年でもある。
その成果もあるのであろう、体系物理の授業と完全に連動しての
問題演習量を相当量こなしてくれている。
 その分、私の講義は物理の体系性と法則性の理解に集中できるし、
「万有引力」や「モーメント」などのマイナー項目もワンポイントで
カバーするという「八面六臂」の活躍をしてくれている。
そのおかげで、8/31の時点では、一学期の力学、熱力学につづき
電磁気のうち「静電気力学」を終え、直流に入ることができた。

この調子では二学期の早いうちに波動に入り1周目を終了できるだろう。
やはり物理は定着までに時間がかかるので、
一周終わるまでをいかに早くするかが積年の課題であった。
現在「体系物理テキスト」はver.3であるが、この演習との連動を加味して、
さらなるリニューアルができそうである。

有機化学エッセンシャルズと演習
 有機化学は、第2学期から高分子に入る。これは「最速」である。
今年度、読者倶楽部会員の「とっとさん」の多大なるご助力により、
板書イラストを挿入した「有機化学テキスト」vol.1が簡易ながら製本段階となり、
今年はそれを用いての授業となっている。
 必要なことはすべて文章化してあることもあり、問題演習をメインにすえて
解答解説のデータ化を念頭に、授業形態をすすめてきた。

今年は、例題だけでなく類題演習をすべて解き、さらに追加問題を加えて
8/31となった。深度を加えてのvol.2「有機高分子」突入だからよけいに意義深い。
この「有機高分子」も二学期前半で終えるから、そのあとには
「有機化学アドバンス演習」というかたちでの充実期をも、GHS生と
ともに歩む時間が確保できることだろう。
posted by Koujin Amano at 13:35| カリキュラム