2018年05月26日

[118] 晴れて 'For demand'

体系物理のテキストが来た!!
 いつものように金曜朝、GHSにいくと ‘晴れて’『体系物理 ver5』のテキストが
届いていた。280頁、力学・熱力学・電気磁気力学・波動(力)学の4部立てで、
いわゆる「原子物理」は別冊となる。これには、GHSにおいては特講扱いの、
「モーメント」,「万有引力」,「交流」もふくまれる。何事の学びにも、
順序というものが大切だからである。 
   体系物理表紙.jpg
           [表紙]

要するに、物理全体を見通すことが先決であり、メインストリートをまずは
歩き通すことが体系的学びの必要条件だからである。
「ぶらり散歩」のごとくにきまぐれに脇道に入ってしまうと、
全体を見損なうものだからである。
しっかりとこの4本柱を主幹として学べば、その後に枝葉を伸ばすのは自在である。
その意味で、体系物理テキストver.5は、学びの順序と全体像の把握、加えて、
論理の階層性を一層鮮明に打ち出した書き方となっていている。
たとえば、物理法則と物理公式は以下のように一覧できる。
体系物理法則と公式.jpg
   
覚える法則と公式はたったこれだけなのだから、
体系的に学べばこれほど記憶の楽な科目はないのであるが、
法則も公式も、それを変形した数式の区別もないまま、
雑学的に覚えるような勉強しかさせてもらえないから、
出自として本来的に「美しき物理」を、
「アヤなき物理」と見紛うた受験生は苦悶呻吟する......
だが物理への憧憬は止まず・・・それが過去の自分でもあるからこそ、
徹底的かつ「華麗なるリベンジ」(真海さんの影響?)をしたかったわけで、
このver5において、私としてはその思いが十二分に果たされたとの感慨である。
それが「晴れて」という意味である。

本文中は、以下のように色分けされている
階層性.jpg      
たとえば、法則と公式を区別して、
物理サンプル2.jpg    

というような色分けがあり、
また、一般法則レベルと物理法則レベルを区別して、
    
物理サンプル.jpg


というような具合である。テキストの文章を読むこと自体が、
論理の階層を上り下りする訓練になっていることを、
受験生は、ビジュアルな形で自覚・意識できるわけである。
これはひとえに、自分はこういうふうに教えて欲しかったという、
「仮定法過去完了」に他ならない。

これで ‘晴れて’ 自分への物理の宿題は終えた。
後は、田川先生の若き才能に任せて、次なる地へと漕ぎ出したい。


2018-1月〜5月


まずは2ヶ月かけて、

漢文ドリル表紙.jpg
  [120頁 B5 ] モノクロ・簡易製本

次に、体系化学演習(セメント&ドリル)として、3月に

 化学表紙.jpg
      [248頁 B5] 本文モノクロ


 定量化学表紙.jpg
           [122頁 B5 ] 本文モノクロ

3月末から開講までに、

 有機化学表紙.jpg
        [224頁 B5]  フルカラー

そして、開講から連休にかけて、体系物理と
立て続けにテキスト化と改訂を果たしたことになる。
年明けからは、予備校講師にとっては楽しいオフなのであるが、
テキスト作りに明け暮れた、近年、最も忙しく密な時間となった。
晴れ晴れと、だが正直なところ何気に疲れが出てきているところ。
まあ、しようがない。

・・・そして、一息ついたあとのミッション、いや、愉しみは、
『体系化学』・改定版の完成である..................。
posted by Koujin Amano at 23:53| 体系化学

2018年03月31日

[116] 体系化学・演習篇テキスト 完成&大リニューアル

漢文句法ドリルテキストの脱稿後に入れ込んだ事柄は、
通称「体系化学 Cement&Dril」という演習用テキストの完成である。
すでにどこかしこで述べたように、『体系化学』にある21+1回の演習問題は、
元々2倍の量があった。これを出版に当たって二分割し、半分をGHS内の授業で
演習用につかってきた。年々歳々、追加修正を重ねてきて、
整理統合の必要性を感じていた次第。

さて、『体系化学』の読者であれば常識であろうが、
化学は文科省的に「理論」・「無機」・「有機」に分かれるのではなく、
定量化学と定性化学に分けられるもの。有機・無機の各々に、
定量と定性の面があるわけである。
(これを受験生の俗には「計算問題」と「知識問題」と言ったりする)
その定量の方を主として、体系的な筋を通したのが『体系化学』の主コンセプトである。

すると、当然に2つのことが課題として上がることになる。
第一に、定性化学として、体系的な筋を通すとどうなるのか?
この点をここ数年の授業を通して問題のセレクトとその配列の妙を追究してきたわけである。
それは同時に、定性化学の体系的なフレームを形成することになった。
とはいえ、今回のテキストはあくまでも演習テキストであるので、
それをもとに語られない限りその姿はない。
・・・もっとも、参考書として書くつもりも暇もないが、しかし、
やっていく内に、解答・解説が高じて、文章データが膨れていくかもしれない。
そうやって『体系化学』も現れ出でたわけだから。

第二に、体系化学演習の問題集は、定量と定性をどうか扱うかである。
今回の演習編テキストは、2冊同時に脱稿となった。
「体系化学C&D 定量化学篇」テキスト 112ページと、
「体系化学C&D 定性化学篇」テキスト 248ページである。

これには、2006年から2018年までの13年分のセンター試験の問題のすべてと
私立医学部入試の良問を取り込んである。その意味で、従来の内部テキストから大幅にページ数が増えた。
・・・この一ヶ月、「ゆとり」から「先祖返り」へ(ここ数回のブログ参照)の10数年を
センター試験の出題を通して歩き直してみたことである。

センター試験化学の範囲が拡大し、そのまま私立医学部の学びと重なるにおよび、
センター試験の30数年分の蓄積は、化学のあらゆる範囲を万遍なく問うことのできる
「良問の森」(?)が形成された感がある。
かつての共通一次・センター試験では、問題作成範囲が限定され、
そのまま私立医学部の対策に資することはできなかったが、いまや、センター試験の学びが、
私立医学部受験のチャンネルを増やすことにもなっている。

今年のGHS生は、化学の学びを、定量と定性という二本柱を相互に行き来しつつ学べるという
特典が与えられるわけである。

本年は30数名の総人数少数ながら、実数で10名余の医学生を送り出した。
にもかかわらず、ますますパワーアップ。
・・・・・・同じことをやっていると私自身が飽きてしまうので・・・
泳ぎつづける、登りつづける、掘りつづける。
さて、来週4/8は開講に先立つ恒例の「プレ講座」(実質、フライング講座である)で、
新しい顔とファースト・コンタクトを果たすこととなる。
今年も、もっと、愉しませてくれよ〜!!
posted by Koujin Amano at 19:33| 体系化学

2018年03月03日

[115] 次年度計画、早くも確定!!

満席! 満席!! 春事異聞
 GHSのHPにて周知のことと思われるが、昨年、募集締切が
最速の3/15であったという記録を彼方に追いやるごとく、
総人数が35名という少人数とはいえ早くもほぼ定員一杯となり、
新規募集は一時打ち切り、塾長面談は受付停止状態となっている。
国立前期の発表もまだ・・・春まだ浅いというのに。

今や、GHS昼間部は理系オンリー、医歯薬志望者のみという
状態となっている。私立医学部の難化に一層の拍車がかかり、
ゆとり教育とやらは遥か彼方、受験生が戦って勝てる武器をもつしかないと悟り、
本物志向に目覚めたということであろう。ネット時代がそれを後押ししている。

GHSは、他の同業者の威勢のいい美文宣伝とか、
どうにも胡散臭い高合格率宣伝とは一線も二線も画し、
実際のテキストまで惜しげも無くしっかりと公開し、
(・・・公開しても簡単には追随はできないとの自負があるからであるが・・・)
このメソッドに「共鳴したものだけ来て欲しい」というスタンスである。
しっかりと教育内容まで吟味して、決断してきてくれる生徒ばかりだから、
断る理由がなくてどうしても、申し込み順になってしまう。
GHSは、1993の開校以来、時々の風潮がどうあろうと、
指導要領や試験制度がどうコロコロ変わろうが、
符合も迎合もせずに、受験のあるべき姿を追究してきた。
それだけであり、不遜な言い方をすれば、ようやくにして
「時代がそ本物を求めるようになってきた」にすぎない。
もちろん、GHSにとってそれゆえ不遇の時期、生徒集めに苦労する時代も
あったことを付記しておきたい。

次年度カリキュラム
 そんなこんなで、昨日、一ヶ月ぶりにGHSを訪ねて、
今年の生徒の戦いぶりと嬉しい成果を知り、さらに、
次年度のカリキュラム・時間割の概要を決めてきた。
これも例年より一ヶ月早い動きである。
要点だけ記しておくと、来年度は私は基本的には体系物理の授業から
手を引く、というか次世代の英才に完全に任せることにした。
おそらく関わるとしても夏期講習などで、テーマを選んで
「特講」を好きなようにやりたいようにやる、というだけになろう。
その空いた分は、もちろん第一に予告どおり漢文の市川モードにスイッチし、
新たに創作したテキストで、新たな企てをする(漢文ブログ参照)ことにした。
また、物理をやらなくて済む分、集大成段階にきている化学アドバンス演習が、
さらなる衣装をまとって登場することになるだろう。

開講まであと一ヶ月余、さて、次は何に没頭してみようか。
posted by Koujin Amano at 21:50| 体系化学

2018年02月01日

[112] 今年の目標 は‘ 天野光信の ’卒業'

 化学、そして物理...それから
 私がGHSで化学を教えるようになった頃のこと。
当時私は医学部の5年生。といっても再入学だから30過ぎた頃か。
GHSが昼間部生をとる「予備校」となってから2-3年だったか、
我が東大武道系サークルの「顧問」(という肩書き)であった村田代表から、
部の方に打診があり、
「化学の講師はいるのだが、その補助として教えに来てくれる学生はいないだろうか」と。
全学のサークルなので四年生で卒業していくのだが、私は5年生でもつづけていたこともあり、
役職は「助監督」であり指導する立場にあった。部員は50〜60名はいたであろう。
部員たちが皆で話合った末の結論が「助監督を推薦します」!(◎_◎;)というもので、
当時の監督から「部員の総意」ということで私が派遣されることになったわけである。
「お前ら、これだけ東大生いるんだから、よりにもよってなんで忙しいオレの背中を押すんだ!!」
と苦笑いしたが、振り返ってみればそれがその後GHSに長くかかわるようになる端緒だった。
・・・・・・『体系化学』も『漢文解析』もそこから始まったのであるから、
当時の後輩たちの「英断」( ´ ▽ ` )ノ に今更ながらも、感謝するべきだろう。

私は医学部を卒業してもすぐに臨床にすすまず、大学院に進んだので
GHSはそのまま継続することとなったのだが、気がつくとメインだったその講師は去り、
私が化学のすべてを任される講師として教壇に立っていた。こちらは「生徒の総意」である。
(もっとも、正確にはGHSの教室はフラットなので「教壇」はない)
大学院生としての5年ほどの間は、体系化学への模索と実践がつづくのであるが、
物理への関わりが生まれる。それもまた、物理ができるはずの東大理学部の院生の講師が、
「物理がわからないものの気持ちがわからない」つまり、できるが教えることはできない、
という事態となり、やはりまた「生徒の総意」で、物理の個別的指導からはじまり、
やがて気がつけば、自然な成り行きで物理の授業をするようになっていた。

10余年後、体系化学、体系物理という形になっていく道はこうやって始まったのである。

 化学・物理...いや実は 
 このように、GHSで化学や物理にかかわるようになったのは、わたしにとっては状況の産物、
成り行きとしてこういう結果になったにすぎないといえる。
実のところ、わたしがもっとも好きで、得意で、得点源であったのは英語である。
すでに、京大の経済学部に入る時点で、受験英語レベルはかなり極めており、
やるものがなくなって、英語の講師のすすめで英検一級の問題集をやっていたくらいである。
だから、「やりたいのは英語」なのであるが、「やるべきなのは理科」なのだった。

そして世紀が改ままらんとする2000年、大学を離れ、さらに東京を離れ、信州の地で、
ようやく医師としてのキャリアをスタートすることとなった。
そう、これもいろいろな偶然の出会いと状況の産物で、長野行きとなった。
自分が選んだのではない。たまたま、そこでやってみないかというオファーがあっただけ。
だから「なぜ長野なの?」という質問をよくされるが、
 実際、長野には縁もゆかりも、親もツテもない。
下関、京都、東京と暮らして、次に長野になった、というにすぎない。

ただ、こうやってみるとGHSでの理科についても、住処にしても、
自分から手を挙げて選んだのではないくせに、その中で幸せを感じることができるのだから、
呑気というかお得な資質(たち)なのかもしれない。

ただ、長野に来てもいいと思った理由の一つは、大学生の時から夏合宿といえば、
ほぼ信州のどこか山の中での合宿であったから、親近感があったからとはいえる。
でも、そんなのは、どんな大学のサークルだって同じだ、といえばそうだ。

長野がよい、と思ったもう一つは、新幹線と高速道路が通じていたということが大きい。
長野オリンピックのおかげで、両者が長野とつながった。
つまり、GHSをつづける条件があったことだ。この時期になると、GHSでの時間は、
わたしにとっては代え難いものとなっており、ここで'卒業'する気などさらさらなかった。
もし、オファーが長野市ではなく、松本市であったなら、もしかしたら断ったかもしれない。

かくして、週末は長野から東京へと通うスタイルがそこから10年余にわたってつづくことになる。

今年の目標 は‘ 天野光信の ’卒業'というのは
 といっても、GHSからの卒業ではない。天野光信の'卒業'である。
2008年の『体系化学』の時には、文字通り孤独な行軍であった。
GHSの独創のメソッドゆえに、指導者レベルでは、誰もわかってもらえる人がいなかった。
そして、another decade……
村田代表のブログにも取り上げられたように、体系化学、物理の薫陶をうけたGHSの卒生が
各分野で活躍するだけでなく、GHSでも教えることをつづける人材が得られるようになった。
かつて、「化学は講師ごとに教え方、解き方が違うものだ」と嘯いた化学の講師がいたが、
GHSの化学も物理も、ほぼ技術化されているので、誰が教えようが、解き方は同じになる。
そこに、各人の個性とオーラを被せればよいだけだ。

昔どこかで、「天野の化学」というような言い方は、受験参考書にはつきものではあるが、
わたしは絶対にイヤだ、というようなことを書いたと思うが、化学や物理という知識を
法則を発見したわけでもない者が、自分の名前を冠するなどあってはならないということなのだが、
さらにいえば、わたしの手を離れたとしても、志ある者が十全に受け継いで行けるだけの
体系化と技術化を果たしたと思ったからである。

これらの意味を込めて、できるだけ化学も物理も、後進に任せたい、好きなようにやらせたい
と思っている。関わりは必要最小限でいい。「補助」でよいのだと思い定めている。

だって、かつて、GHSで好きなようにやらせてもらえたからこそ、
従来のあり方、すなわち、「常識」・「常道」・「定石」にとらわれることなく、
自由な創造ができたのである。
それを常に見守り、支えていただいた村田代表の懐の深さゆえである。

これが「天野光信の'卒業'宣言」の真意である。

’卒後の進路'は・・・
 「'卒業'したら、その後、何をするの?」と問いたい人もあることだろう。
・・・まあ、今回は長くなったので、それについては稿を改めて、ということにしたい。《続》

posted by Koujin Amano at 14:36| 体系化学

2017年12月30日

[109] アミノ酸カスケード+の話

今年最後の授業は...
 [107] に「アミノ酸カスケード」という話というタイトルがあるが、
よくみると、今回はカスケードの横に「+プラス」がついてる!!
「たけちゃんマン」の続編が「たけちゃんマン7」だったのを
思い出した人も稀にはいることだろう。

GHSでは12/22金が私にとっては年内最後の正規授業であったのだが、
翌23日に、駒込の医師会館で本業の方の「検死研修会」に参加した。
行政解剖組織がない地方にとっては警察の検視と医師の検視も
大切な業務の一つなのである。一時期、法医学教室に身を置いていたので
私にとっては何の抵抗も違和感もないので「復習」のようなモノであったが・・・。

その研修のあと新宿に移動して、時間がとれそうだったので、
体系化学3の補講を〆として追加した次第。
テーマは、体系化学アドバンス・カリキュラムの最後編テーマ、
「高分子の世界に届く」の ‘ アミノ酸配列 'の問題である。
当日、倫理政経の補講があったこともあり、
生徒が自習室にも居残っていて、臨時招集をかけると、
いつもは5人のクラスが、我も我もと十数人にも膨らんだ。
もっともここまでくると皆、体系化学テキストはもちろん、
アドバンスも学んででいるから、何をやっても話が通じるわけだから、
楽しくも頼もしい面子がそろったわけだ。

カスケード+の理由
 前々回に紹介したように、有機化学テキストver.4に収載した
「アミノ酸カスケード」は、いわば「常連のアミノ酸」の8個を
まずはしっかりと覚える図式である。この8つと基本構造の式量74g/molについて
暗記法コンテストを経て、拡張する土台はできている。

実際に、2011〜2016のデータベースから私立・国立の入試問題の標準以上の問題に限定し、
10題ほど集めたものを演習・解説した。
このレベルになると、8個のアミノ酸の構造式を知っているのはあたりまえ、
その上で、ヒント付きで出題はされているが、さらにアミノ酸+6個程の構造式について
予め知識があった方が見通しよく解けることがわかった。
そこで追加したのが、Val,Leu,Ile,Lys,Asn,Glnである。
これをアミノ酸カスケードを基礎枠として、拡張工事を行ったわけである。
その結果、アミノ酸カスケード+は、二次元から、三次元の構図となり、
数学で見慣れた空間座標にならって配置するとよいことが分かった。

さすがに、この場でぽつんと公開する気はないが、体系化学読者諸氏も
自分なりに想像しておいてほしい。
来年度は、体系化学アドバンス(2)をテキスト化し、例によって電子ブックとして
公開することになるだろうから、その時まで、しばし、Tranquilo!!

posted by Koujin Amano at 09:29| 体系化学

2017年08月26日

[105] ‘水蒸気よ、永遠なれ’

気がつくと、あっという間に、夏期まで駆け抜けてしまった。
前回、水蒸気の話をしたが、この間にかなりの問題をやっつけて、
解析と論理化がすすんだ。その成果は、いずれ何らかの形で公開しようとは思うが、
とにかく、入試では「難問」の群を形成することは昔から変わらないのに、
水蒸気についての扱いを明解に説いたものは管見ではなく、
(だからこそ、ずっと「難問」のままなのだろうが・・・)
受験化学において、手付かずの領域である。
実際、教科書や参考書でも、どの箇所で本格的に扱うかは定かではない。
たしかに、気体に関連して、蒸気圧曲線や、飽和蒸気圧について触れることはあるが、
入試の蒸気圧についての問題を解くには心許ないレベルでしかない。

それは、前回示した、蒸気の問題分類目次でも明らかになったように、
化学のあらゆる分野に顔をだす、「スパイス」だからである。
中身は基本的な気体の問題でありながら、「水蒸気は無視できない」とするだけで
「難問」に格上げされる。
そんな水蒸気および蒸気一般の論理性と解法の探求が夏期の講義までで、
とりあえず一段落ついたので、そのエッセンスを他のクラスにも還元すべく、
講義しはじめたところである。データ化も進んでいる。

「案外」といってよいかは微妙だが、センター試験には、この「蒸気」をあつかった良問が
少なからずあるのである。センター試験レベルで100点満点を狙うには、
こういう点での攻略も二次試験レベルでできている必要があると感じたわけである。

『体系化学』および『体系化学アドバンス(1)』の読者諸氏諸君に向けて、
特にいっておくと、水蒸気の問題を解くための「原点」は、
水銀による蒸気圧測定法、いわゆるトリチェリの真空の問題である。
水銀は、その中毒性などから余りイメージは芳しくないが、
殊、蒸気圧を語るにあたっては、主役といってよいほどに優れた物性をもつ。
水銀血圧計が医療の現場では、けっして無くなることはないことからも示唆されるように、
蒸気圧と水銀の関係は ‘永遠’ なのであると感じた次第。
だから「蒸気と水銀よ、永遠なれ」ということが骨子なのだが、
語呂的にはタイトルのごとくにしておいた次第。

そこで問題として浮上したのが、水銀柱の「長さ」を「圧力」に換算する公式である。
これを水銀柱に限らない一般形にして、化学基礎公式B'の拡張公式No.3として
位置付けることにしたことを報告しておきたい。
化学基礎公式@の分子の拡張公式として、『体系化学』においてすでに説いたように、
密度を質量に換算する公式がNo.1である。
また、『体系化学アドバンス』において紹介したように、
化学基礎公式@の分母を「平均分子量」として捉えるのが拡張公式No.2である。
ここで、拡張公式が追加となるとは私も予定になかったが、
これがあると蒸気圧測定の問題が統一的に(≒ワンパターン)で解ける。
それはいったいどんなものか……各人、推理しながら、公開の時をお待ちいただきたい。
posted by Koujin Amano at 11:50| 体系化学

2017年05月29日

[104] 勝つための・体系化学3  ー「水蒸気」は「単振動」ー

体系化学アドバンスの消息
  前回のつづき、「体系化学3」の話である。
体系化学3の授業は4月この方、数回行ったが、
GHSでもこれまであまり十分触れていないエリアに侵入している。
というのも、そこまで説かなくても生徒たちが合格していったということなのだが、
「大は小を兼ねる」ような授業をやる・・・・つまり、体系化学テキストを学び切り、
私がやりたいことをやりたいようにやっても応じてくれる生徒が存在するのは
著者として実に幸せなことである。私をさらに楽しませてくれる。

以下はかつて『医大受験』創刊号で書いておいた
「体系化学アドバンス」の連載予定リストである。

第1講 化学反応公式❻の陥穽と完成
第2講 世に言う「二段階中和」という嘘実
第3講 「チオ硫酸ナトリウムとヨウ素の反応」という‘遠回り’の効用
第4講 混合物とその平均   ー「平均分子量」は役に立つか?ー
第5講 結晶格子の色々様々
第6講 基礎公式と化学法則の修練
第7講 油脂計算を極めるフォーマット
第8講 1st Stageの最終獲物(ゲーム)  ー「蒸気」と何か, 蒸気圧の法則性ー
第9講 熱化学の一歩先   ー3番目の‘基準’とイオンの捉え方ー
第10講 高分子の世界に届く  ー 大きなnとの付き合い方ー

網掛けしていないところが未公開テーマである。
もちろん、予定とは「予定」なのであり、最初こそ順調に書いていたが、
第5講の「結晶格子」のスタンダードレベルをもう一つの私立医学部向け連載で説いたこともあって
第9講を先に書いたところまではよかったが、GHSでの授業の進展や諸々の事情で、
そこから先、予定リストにはなかった「電池の歴史」の連載に移行した。

“ボルタが遺してくれたもの”と題して、現在、教科書では
「欠陥電池の発明者」かのような不当な扱いをされ、
「電流を人類に開放した大恩人」としてのレスペクトが皆無であることへの義憤と、
ダニエルから電池の話がはじまるという教科書執筆者の見識の低さへの慨嘆と、
さらには、身近であるという理由だけで「電池」が『化学基礎』の教科書で扱われ、
高校生の化学学習に混乱をもたらす弊害への憂慮とにより、
テーマをこちらにふったという経緯がある。

なんとなれば、「電池」というのは身近でありながら、
それは化学技術の集大成であり、高度なデバイスであるのだから、
それを化学入門レベルの高校生が理解することは至難なのである。
化学反応も複雑であり、とうてい「化学基礎」の範囲とはいえない。
これは、高校化学を一通り学んだあとに、その集大成の技術の一例として学ぶべきであり、
それは「コロイド」と同様だと思っている。
……その論証としての電池の歴史の展開に、4号分、一年間のページを費やしてしまった。
それほどに、「電池」は、アドバンスレベルの内容だからだ。

そして、そうこうするうちに『医大受験」自体が終刊を迎えることとなり、
それでは!! ということで、まったくふれていない有機化学について、
連載を二回したところで終了となった次第である。
その後に残った未公開テーマのうち、大物中の大物が
  第8講 1st Stageの最終獲物ゲーム   「蒸気」と何か, 蒸気圧の法則性
である。
水蒸気ないし蒸気の問題は、昔々から「難問」のエリアにありつづけているが、
水蒸気の扱いについて、系統的にかつ明確に説いたものは管見では未だ無い。

「水蒸気」は「単振動」だ!?
 近年、いわゆる「入試問題正解」という書物から、
「入試問題データベース」へのシフトがすすんでいる。
毎年出される「入試問題正解」は、ページ数や解答掲載のハードルがあるためだろう、
毎年の入試問題を網羅できていない。主要大学プラスαには編者のセレクトがかかっている。
これに対して入試データベースには、その制限が無い。しかも、数年にわたって
テーマやキーワードで入試問題を収集することが可能である。
「入試問題正解」では、索引等で該当ページを調べ、コピーないしスキャンしOCRでテキスト化し、
さらに、文字化け等の修正をして形を整える・・・という手間が必要だった。
だから、5題も処理したら手一杯だったものだ。

このハードルが大きくクリアーされた入試データベースを用いて、
ここ8年分のほぼすべての入試問題から、「水蒸気」や「蒸気圧」に検索をかけた。
積年の(強いて言えば、私が受験生の時からの積年である)課題であった、
「蒸気」に関する考えうるかぎりの入試問題をあつめるということが実現した。
その数はおよそ200問超。GW前後の余暇は、そのタイトル付けと分類とに費やされた。
なかなか、有意義な連休の使い道であることか!!!

  その結果は以下である。

 体系化学アドバンス(2)
   第︎●●講 水蒸気と蒸気のトリセツ
       Part 1.蒸気とは何か
§1-@ 状態図と三重点 水
§1-A 状態図と三重点 二酸化炭素
§2-@ 蒸気圧曲線 水
§2-A 蒸気圧曲線 水以外
§2-B 蒸気圧曲線   水と●●との蒸気圧比較
§3     水銀柱と蒸気圧
Part 2.蒸気圧についての法則と応用
§4-@ 蒸気圧降下 ラウールの法則
§4-A 蒸気圧降下 分留 ー水蒸気は味方さー
§5     水蒸気蒸留
Part 3.水蒸気はジャマ者さ?!
§6     気体と水蒸気の混合物
§7     固体と水蒸気
§8     水上置換と水蒸気
§9     燃焼反応と水蒸気
§10   ヘンリーの法則と水蒸気圧

如何であろうか。一覧してお分かりと思うが、有機化学をも含んで、
化学すべての分野にまたがる巨大な問題群を形成する。
言い方を変えれば、「蒸気の問題」をすべてやれば全分野でハイレベルの学習ができる、
ということである。それは、物理でいえば「単振動」のようなものである。

単振動は物理のあらゆる分野で(原子物理でさえも)姿を見るものである。
したがって、アドバンスレベルとして単振動にフォーカスして全分野を学習するという学び方は、
ずっと以前から「単振動スペシャル」と題してGHS体系物理で演習してきたものである。

 化学でそれに匹敵するのは「水蒸気・蒸気・蒸気圧」である。
でもまあ、『医大受験』に連載しなくてよかったかな・・・。
少なくとも4年くらいかかりそうなテーマである。
   
授業では、それを体系化学的に説き、かつ解き直し、解答を確定するという
探究的な取り組みが必要である。授業はゼミのような討論の場となる。
こちらが提示した項目について、GHS生たちが腕を振るって解答を書いてきてくれる。
実にありがたい。『体系化学』もその蓄積で形となったんだった。
私一人で歩こうとしたら、とうていやり遂げられないだろう。今年もよい生徒に恵まれた。
もっともっと、楽しませてもらいたいものだ。
posted by Koujin Amano at 09:53| 体系化学

2017年01月18日

[99] 難化上等

2017年 あけましておめでとう。
年末年始まであわただしく過ごしたので、やや遅れて休暇をとり、
家族で沖縄に行き、ヌクヌクとすごし鋭気を養って来た。
なにせ、0℃〜5℃の信州から+20℃の沖縄に飛べば、血管は一気に開き、
神経は緊張を解かれ、代謝がアップして心身の疲れが自然に取れていくのがわかる。

我が家は、すっかり沖縄びいきになってしまったようで、
下の娘は「琉球大」志望を宣言するに至った。……近所にやはりオキナワ好きで
農学部にすすんだお兄さんがいることもあるが…それにまだ小2だし……。

ということで、私の本年の始動は1/10からであったため、あっというまにセンター試験を迎えた。
フタをあけてみると、昨年からの「化学の難化」は引き継がれたようである。
「化学基礎」という科目をつくり文系と棲み分けたことで、文系に配慮することなく、
発展的な内容をもあつかう「化学」が理系のための試験として相応しい姿となっている。

といっても・・・・思い起こせば、私が文系受験生として受けた共通一次試験には、
文系も理系も区別なく、「化学」を受けた。逆に理系も社会科目に逃げ場がなかったが。
だから、文系ながらも、基礎公式1〜8すべてを含む化学計算の対策をするのが当たり前だった。
そのハードルからすれば、昨年、今年の「難化」などまだ手ぬるい感はあるものの、
「ゆとり」の時代の、文系も含めて平均点を確保するためのスカスカのセンター試験からすると、
ずいぶんマシになってきたといえる。
「化学」は科学であり、学問なんだから、易しくあっていいわけがない。難しいからこそ、
メソッドを確立し、実力を磨いたものが勝ち抜いて行ける。それでこそ「勉強」の名にふさわしい。
易しい問題を出していては、やり方云々を探求する必死さは生まれてこない。

早速、高校二年生にむけて、「一年後の君の為に」と銘打って、今年のセンター試験「化学」の
計算問題だけを編集したテストをつくってやらせてみた。
今年の化学の計算問題は、全部で11問。有機化学は3問あり、高校二年には無理なので、
これを除いた8問のチャレンジとした。

結論はいつも同じ。
『体系化学』にしたがえは、すべて同じように一本の式で、同じ思考法で立式できるのだ、
ということを確認したにすぎないが、これから高校三年生となる身にとっては、
これらを快刀乱麻のごとく、すべて「瞬殺」で解いてしまう
自分の一年後の姿に希望をいだいたことであろう。

入試センターが公表するデータでは、たいしてできない生徒もまざっていて差が薄められているが、
私の生徒が通う、県内ではトップクラスの進学校では、センター試験の理科の平均点は、
生物80点を筆頭に,物理、化学の順に10点ずつ下がっている。難化対策必須の科目だ。
化学は共通選択だから科目間差があってもまあいいだろう。「難化」の中身はといえば、
「化学は難しくて解けないというほどではないが、量が多くて解ききれない」
と言う声がほとんどらしい。要するに問題の難易というより、判断力・処理能力の問題だ。

でも、結論は同じ。
問題ごとに計算のやり方を考えているから時間がかかるにすぎない。体系化学的にズバッと斬り払えばよい。
「化学の解き方は一つ」という体系化学のテーゼがこれからさらに輝きを増す予感。
GHSと私にとっては、そんな希望の見える年明けとなった。
posted by Koujin Amano at 16:16| 体系化学

2016年11月30日

[97] 体系化学アドバンス・ハンパねーぞ

二学期の ‘アドバンス’
 前々回お知らせしたように、『医大受験』連載分の体系化学アドバンスは一冊にまとまり、
4年に渡った連載を一望することができるようになった。
GHS生全員には配布済みで、先に進みたいものは独習できるようになった。
何かが終わるということは、何かが始まるということ。
その胎動が二学期に次々と現実化した。

つまり、アドバンス(1)には収録されなかった、つまり『医大受験』では連載されなかったテーマでの設定とともに、執筆と問題収集と編集がすすんだということである。

今回は、そのなかでも出色の一つだけ取り上げることにしよう。
そのテーマは「無規定量分析」である。
誤植ではない。よくある「無機定性」ではなく、「無機定量」という設定である。
無機定性分析といえば、20数種類の金属イオンを系統的に分離する方法を主とするが、
多くの入試問題を分析すると、それでは、アドバンスレベルの演習には耐えないことがわかった。
定性はもちろんのこと、それを含む「無機定量」という視点での問題分析が必要なのである。

この作業は,ここ数年の入試問題を「無機定量分析」の視点から、
体系化学p.270に掲載の「塩の沈殿傾向」の表にそって,
150余の入試問題を系統的に配列する仮定で浮かび上がってきたものである。
すなわち、無機定性分析は、定量的扱いと切り離せないものであり、
溶解度、各種反応、および溶解度積と一体化しての出題となり、
いきおい総合力が試される問題が目白押しである。
その意味で、二学期後半から取り組むに相応しいテーマである。

この分析と編集には時間がかかったが、見事に150問余が
「塩の溶解傾向」を縦糸に、体系化学計算を横糸にして、系統的に配列された。
・・・もっとも、これに体系化学的解答をつけるのは、授業での地道な積み重ねが必要なので、
複数年かけてやることになるだろうが、他のどのテーマよりも出題バリエーションが豊富であり、
かつ対策がしにくいという点では、このテーマ設定はきわめて有効である、と思っている。

いずれ遠くない将来、公開することになるだろうが、
これだけでアドバンス(1)のボリュームに匹敵する展開となるであろう。                                                     《続》



posted by Koujin Amano at 08:29| 体系化学

2016年10月30日

[96] 蓋し止むを得ざる仕儀なるか

高校課程「再履修」?!
 今年から息子が高校生となり、一応はガンバって県立の進学校にすすんでくれたこともあり、
中学の時とちがって夕食後に、予習・宿題をみてやる機会がしばしばある。
ただ、そのほんどとは化学や漢文ではなく、数学ではあるが・・・。
因数分解からはじまって、数学Iを終えると、数学Aという私の時代にはなかった教科書も授業進度にあわせて少しずつ見る機会を得て、とりあえずは「再履修」をしている気分である。
 とはいえ、誤解無きよう。家庭教師よろしく、学習机の側で「はりせん」もってつきっきりのコーチをしているわけではない。
 リビングのテーブルで、私が一杯やっている横で、行き詰まったら聞いてくるというだけだ。「自分で考えて解決する」以前の、「知らないとどうしようもない」ものや、「あれこれ調べて時間をかけるより、聞いた方が早い」ものなど、睡眠時間をムダに削ることなく、健やかに高校生活を楽しんでほしいだけである。
……振り返ると、高校時代は、回りに聞く人もなく、調べる手段も限られていて、ムダに遠回りしたことが多々あったこと、それで疲れてしまったり、体調を崩したり、そういうこともあったなと....

新宿の本部で浪人生ばかり相手にしていると、教科書や高校の授業レベルをじっくりと観察する暇はないものだが、GHS長野校の高校生の個別指導もあわせて、今はコツコツと再履修ができているといえる。

そして、ようやくにして・・・
 まだ「体系化学」は渡していない。化学基礎の教科書の前半くらいでは、知識量も少なく、全体像が問題にならないから、とりあえず困っていないないようだ。本人が必要だと思うまでは、こちらからは薦めないつもり。
そんなことより、数学や英語がタイヘン…といったところか。
そんな折も折、化学の宿題ブリントについて質問がきた。

みると、手作りではない、いわゆる「業者プリント」で出来合いのヤツ。高校の先生はいいなぁと思う。GHSではすべて自前で解答も作り直すのに。
さて、四問ばかり計算問題がある。「予習していって、グループごとに解法を話しあって発表する」という。問題は、教科書の第一章にある「化学反応式」の範囲。
燃焼反応、沈殿反応、酸化還元、追い出し反応などの計算問題である。過不足があったりする応用問題である。
化学反応自体はならっていないのに、反応式を与えてあり、その係数をみて比で解く、ということだそうだ。
もちろん、そんな程度の指導では凡人には解けるわけがないので、ようやく化学の質問が来た訳だ。
化学反応について学んでいない段階で、こんな計算問題を解かせるのは有害無益として、GHSでは常日頃言っていることであるが、これは教科書がわるい、つまり指導要領がわるいのであり、それに追随する業者もまた無策で、私の高校時代から30年余経っても何の反省もないまま踏襲してきた悪弊である。とはいえ、それはお上のすることに従順にしたがっているだけのことで、やむを得えざる仕儀ではある。
 それがいよいよ我が身に迫って来た訳である。

そこで、化学反応公式8の本質部分のみを教えておいた。曰く、
 「両辺が、同じ物質のmolになるように立式せよ」
そうして、四問とも統一的な形式で、しかもたった一つの式で同じようにとけることを示しておいた。

はたして、翌日、その解き方で発表したそうな。生徒からの静かなどよめき「なぜ、コイツはこんな授業とはちがう解き方ができるのだ!?」と。そして化学の教師は「ノーコメント」だったそうだ。胸中はいろいろと察することもできようが……まあ、また密かに、次の機会を待つとするか。



posted by Koujin Amano at 00:00| 体系化学

2016年09月03日

[95] 体系化学アドバンス(1) prototype 公開しました

前回、育文社のレガシー継承という話をしたが、
それは、要するに思考訓練シリーズや医大受験の著作権・版権に関する
法律的な継承も付随しているということであり、それをうけて、
先駆けとして『医大受験』に連載した「体系化学アドバンス13回分」の
MOOK版の編集・制作をすすめてきた。

すでに、印刷入稿用データも作成できているが、これは発注から制作、
納入まで時間がかかるもので、電子ブック版の公開が先行することとなった。
早晩、GHSのHPでも告知されリンクされるであろうが、
書籍版を希望された少なからぬ読者受験生諸氏にむけて、当ブログでお知らせする次第である。

ちなみに、‘prototype’というには、いくつか理由がある。
過去の連載稿をpdf化して、くっつけただけであり、
(いちおう、はしがきをつけたり、表紙を新たにデザインしたりはしたが・・・)
また、第一部としての13講分、7つのテーマにて終刊となり、
予告・予定していた後編については形になっていないからである。
そしていずれ、この表紙タイトルの(1)をとって、十全な形で公開するのが目標だからである。

正直いって、連載で用いたB5の二段組みというレイアウトは、好きではない。
横幅がたりないので、化学計算式を書くのに苦労した。
その意味で、『体系化学』のようなレイアウトに書き直したい気持ちがあり、
それゆえの‘試作版’という位置付けなのである。
それをあえて、プロトタイプと呼ぶのは、もちろん、ガンダム世代としてまあ、自然なことではある。
posted by Koujin Amano at 12:07| 体系化学

2016年08月24日

[94] 体系化学アドバンス・合本

育文社のレガシー
 育文社は、思考訓練シリーズを始めて市販し、シリーズ新刊を出し、
『医大受験』誌によって、体系化学の続編の連載の場を与えた。
その受験界への貢献はやがてきっと評価されることになるだろう。
 その育文社は、二代、74年にわたる歴史の幕を閉じ法的な整理も完了とのこと、
そして、そのレガシーの幾つかをGHSが継承した。

 その一つが形になりそうなのでお知らせしたい。
思考訓練化学、漢文、医大受験等々のデジタルデータを譲り受けた。
ただ、当初は出版のプロが使うソフトの保存形式であったために使えずにいた。
それをこの夏、GHS卒生で東北大学工学部に進んだH田くんの尽力により、
すべてpdf形式へと変換することができた。
 さっそく、『体系化学』のpdfデータは授業でのプロジェクターやモニターで
表示するのに重宝しており、そのページを大画面で確認しながらの講義ができるようになった。
300ページ余のデータであるが、Wordの原稿にくらべてスクロールも拡大縮小も断然にラクである。

 そしてその次に取り組んでいるのが、『医大受験』の連載データの取り出しと、合体だ。
体系化学アドバンスの一連の原稿は、創刊号から14号まである。
これまでは必要に応じてコピーしてGHS生に配布していたが、
いずれこれを一冊にまとめたいな・・・という思いが叶うことになった。
pdfデータをつなぎあわせて、一つファイルとした試作品が完成した。
ページ数は100頁を少し超えた。

雑誌の連載をまとめて一冊にしたものを「MOOK」というが、
MOOK形式でGHS内テキストと同じく簡易製本とし、サブテキストとする。
近々に100部(内部生用に三年分ほど)はつくる予定で、今、細部を整えている。
 受験生読者諸氏で、「体系化学アドバンス」連載全体
(といっても化学アドバンス授業の内容の全部ではないが)をみたいという方がいれば、
GHSに連絡されたし。手を挙げた人数によっては、制作部数を上積みするつもりにしている。
希望者には原価+送料でお分けできると思う。
 100頁ほどではあるが、『体系化学』サイズとフォントならば1.5倍にはなるボリュームである。
これに連載第一回の問合わせ者にのみ配布した「解答」をつけて完成品としたいと考えている。
 さらに、一つのpdfファイルにまとめることができれば、電子ムックとして
GHSのHPの「テキスト公開」のコーナーにもアップしてもよいと思っている。
もちろん閲覧は有料にしたりはしない。
・・・・・・GHSも私も、こういうところでちまちまと利益をあげようなどとは
つゆ思っていない証左でもあるし、「体系化学」とその発展形を求める人が学び習得し、
かつ、世の中に広めてもらうのはむしろ歓迎してしかるべき事だからでもある。
GHSの総数30人の定員では、30年やったとしてもたかだか千人にも届かない。

 しかし何よりも、無料でかまわないと思うのは、実は先にも書いたように、
「体系化学アドバンス」自体は連載の有無と関係なく、
毎年、文字通りの「アドバンス」をつづけており、さらにその先へ先へと
進んでいるからである。だから出し惜しみして貯めておく必要などない。
それには、すでに連載したテーマについて深化を遂げている部分もあれば、
連載に至らなかったテーマについて展開した部分もある。

いずれにせよGHSは、発展をやめない。否、発展しなくなったらやめる。
それは、本ブログの冒頭に掲げた精神でもある。  《了》
posted by Koujin Amano at 21:31| 体系化学

2016年07月31日

[93] もう追いかけるのは止めようか

『体系化学』当初からの課題
 「まえがき」に明らかなように、『体系化学』は、
浪人生のための一発逆転の再入門書として著された。
高校での化学の学びが、理系と名乗るくせに、てんでなっていない、
形にもなっていない、橋にも棒にも掛からない、そんな化学難民である
GHS生の無謀な希望を叶えるための授業の積み重ねが書となった。
そして、GHS生も、読者受験生も本書を役立ててくれてきた。
それはそれでよい。だが、それでよいのか?というのが
出版直後から芽生えた疑問と課題である。

ただ、GHSでは昼間部生を主とする授業であるから、
それで十分だし、浪人生相手だからこそ、
教科書全体を解体し、再編成して、
体系的な構成へと転化できたのである。
高校生でも、二年生の後半くらいの進度からは、
学び直しが可能となる。
だが、それでよいのか?

入院患者を治療するのが医師の仕事・・・か
 これに疑問の余地はない・・・・・・そうか?
病院経営的には、「ベッドが空いています。先生方にお願いします。
入院患者を増やしてください……。」どうやって??
そう思うことがある。事故とか怪我とかの外科的な傷病は
ある確率で起こるのは仕方ないが、こちらが努力してどうなるものでもない。
しかし、防ごうとすれば防げる病はある。
長年のヘビースモーカーの行く末は、スポンジのように伸び縮みする肺が
繊維化し硬くなって、酸素ボンベのお世話になる。
長年の大酒と不摂生で肝硬変となり、血液組成が歪んで入院する。
コレステロールの蓄積で、心臓の血管が狭窄して心筋梗塞を起こす。
そうなってしまうと、「専門医」の出番である。
手厚い医療と高額な医薬品と、高度な手術・手技が発揮できる。
当然医療費も跳ね上がり、保険収入はアップするが・・・・。

 私の内科診療は、「生活習慣病」の外来患者を主とする。
要するに、会社や市町村の検診で引っかかったグレーゾーン+αの人達が
「患者」としてやってくる。
 ふつう医者は検査して薬を出してなんぼのもの(経営的には)であるし、
ずっと通院してもらうことがこれまたふつうのこととなっているが、
私の外来は、むしろ「卒業」を目指す。40代、50代から、
そこからまだ長い人生、ずっと薬を飲み続けるのは当人だって避けたいものである。
だから、いっしよに「卒業」を目指す。異常を放置している期間が長ければ
内服薬をアシストとして使うが、できれば生活改善で、減薬・休薬を目指す。
要は、病気にならないための生活を知り実践することが肝要なり。
かりに病気になっても元に戻れる軽いうちに治療することだ。
------- そんなことでは病院が潰れる?なんて心配は無用。他の部面では、
しっかりと収益を上げる仕事にかかわっているので --------

それがどうした・・・と?

浪人生は「病んでいる」ということだ
 浪人生、たとえば「化学難民」とは、化学をまともに学びそこなった人である。
いや、歪んだ化学知識を取り込んでしまったということか。
脳に取り込む「食物」が歪んでいるわけだ。それは高等教育の欠陥である。
(もっとも、部活三昧で、それを幸いにも食さなかった人もいるが・・・)
そういう「病んだ」受験生を治すための、特攻薬が『体系化学』なのではあるが、
病気になるまで放置しておいて、さあ治療しましょうというよりも、
病気にならないように学ばせて、健全な脳細胞を最初からつくればよい。
・・・・・・ふしぎな縁か、昨今は思い願ったことは現実化するようになっており、
GHS長野校では、現役高校生に対して、健全食を提供している。

高校二年生の複数名については、『体系化学』メソッドによって、
やすやすと授業の進度に追いついてしまい、夏休みに入ったので、
もう待つのもめんどくさいので、追い越してしまった。
ここからは、『体系化学』の学びが、学校の授業に先行し、
授業は単なる復習の場となる。
私の時分を振り返り、「幸せの受験生」を育てることが愉しい、
この頃である。
しかも、ある生徒は、化学が追いついて、やることがなくなったので、
物理をやっていて、そのあとに、ちろっと漢文やっていたりする。
         愉快哉!!


posted by Koujin Amano at 10:48| 体系化学

2016年06月30日

[92] 体系化学アドバンス・ヤッべーぞ

網羅すること、漏れなく学ぶためには
 前二回にわたって、「体系化学」を冠する新刊を繙いてみたが、
要するに、そこに共通するのは、前提として、「体系的」な学びができれば
両書とも良書たりうるということであった。
 ただ、そういう状況は昔も今も変わらないんだなあ……
というのが実感である。私の高校時代には「体系的」学びの場がなかった。
 教科書の全範囲を、満遍なく学ぶことは必要条件である。
しかしながら、漏れなく満遍なく学べるためには、
満遍なく説かれた参考書なり問題集が有効なのかというと、答えは否である。
 指導要領で指定された全範囲に触れさえすれば、教師としての
責務は果たせるわけだが、それがまともな教育たり得るのか?
というのがGHSの原点である。そういう知識を入れていける器・構造・骨格を
まずは頭の中に作らねばならない。

 私は、昔も今も、指導要領に沿った教育は、履修範囲としては正しくとも、
履修構成・順序としては有害でしかない、という立ち位置である。
 一教科にしても膨大な知識を頭に入れるには、
体系化するしか道がないのは学問の歴史が証明するところである。
 知識を絞って全部を一通りみせることも、
逆に知識の行間を最新の知見で埋めつくすことも、
私のいう意味での「体系化」ではないということは
受験生・読者諸氏にはわかっていただけていると思う。

アドバンスの‘つづき’
村田代表のブログでも綴られているが、今年度の生徒たちは
例年にも増してやる気に満ちているし、それに行動がともなっている。
連休明けでおこなった実力確認テストで、体系化学アドバンスのクラスの
人員を絞ろうとしたが、さすがに2-3月からスタートしたこともあり、
ほとんどの生徒がアドバンスの授業に参加可能ということになった。
すでに『体系化学』を学んだ者、およびそれに匹敵する者という条件である。
それは要するに、どの順序でやっても大丈夫、
すべて同じように解けることがわかっている、ということである。

……ということなので、今年のアドバンスの授業は、
「後ろ」からやっている。
すなわち、例年は、一応、体系化学に沿ってそのレベルアップをはかるのだが、
その順序を逆にして、二学期の終わりにやるようなことを先にもってきた。
テーマ1は「緩衝溶液」、テーマ2「多段階電離」、
テーマ3「熱化学第三の基準」、テーマ4「燃焼反応」・・・・・
という具合である。一学期は、「分子量が不明の反応公式6」で〆た。
すべて、入試での分水嶺となるテーマであり、そこで差をつけられたら
俄然有利となるポイントについて、徹底的に研究し演習し尽くす。
データベースその他から入手しうる最大量の問題を収集して、
易から難へと配列し直し、体系化学的解法を貫く訓練をする。
問題数は、1テーマで10〜20にも及ぶ。
やる順序は、なんとなく流れで決まる。
要するに私がやりたいことをやりたい順に気ままにやる。
「体系的」なのでそれでよいのである。
すでに『医大受験』の体系化学アドバンスの連載で
取り上げたテーマも含まれているが、それらはさらに先へとすすめ、
残念ながら連載に至らなかったテーマは、連載のつづきとして
原稿データレベルの小冊子テキストの形で完成させつつ進んでいる。
いずれどこかでお目にかけることになろうが、
たとえば、「平均分子」は半端ない!、ヤッベーゾ!! 
といいたくなる域へと進んでしまった。こんなものまで平均か!!!!!と。
『医大受験』vol.5では、1st Stgae のみの扱いであり
以下のように結んだ。

もちろん、「平均分子量」の効用は、ここに 示したレベルに留まりません。

今回は、「平均分子量」のイメージを紹介するための基本演習にすぎません。

むしろ、その 真価はもっとボリュームのある「難問」と言われる問題に

立ち向かうとき顕著となります。

それらについては、いずれ稿を改めて説くことにします。


残念ながらそれは誌上では果たせなくなったが、
体系化学アドバンスの現実は力強く進行中であることを
ここに記しておきたいと思う。
posted by Koujin Amano at 09:23| 体系化学

2016年05月31日

[91] 体系化学・二題 つづき

前回のつづき・二冊目
『化学の新体系』(啓林館・谷川芳雄)は
元灘中学校・高等学校教諭による,灘中高での化学の指導を再現した1冊
とのことである。
実は、本書は、出版前からあるルートから情報は入手していたが、
出てみれば「新体系」とは中々チャレンジングな書名である。
啓林館の教科書編集に長年かかわってきた著者の灘高退職記念出版ともいえよう。
優秀な灘高生は教科書ではきっと飽き足らないから、かれらを退屈させずに、
授業を成り立たせるためには、そこから知識の枝を伸ばしてやらねばならぬ、
そういう内容に満ちている。
ただ、読めるようにはなっていない。教師向けではある。

★ 授業の展開がイメージできる,板書例を中心にした紙面構成

とあるように、板書したうえで何事かを語らねばならないが、
それは語られていない。むしろそれを元にど何を語るかのDVDがほしいところ。
だから、授業用ノートをベースにした退職記念本といったのだが
そこはおなじく高校の化学教師である『化学の新研究』の著者とはちがう点である。
まあ、厚さがちがうから仕方ないが、参考書としてつかうには、
使う側の力量が必要である、ということは両書とも共通である。

では肝心の「体系」はどうなのか?「原理」が掲げられているのか?
といえば、あるにはある
  化学結合に基づいて物質を完全に理解できるように,
  粒子運動のエネルギーに基づいて物質の化学反応の考え方を理解できるように

というコンセプトでの図式が与えられている。その何かはあるようだ。……が、
それが全体にどう一貫しているかについては解説がないし、
今のところ私には読み取れない。これは、授業を聞くしかないのかな……と。

以上、二冊の「体系化学」について所感を述べてきたが、まあ、とにかく、
昔も今も、参考書や問題集から体系的な何かを期待して、受験生読者が
そこから体系的な何かを読み取らなければならないというのは、
止めにしていいのではないか、そう思った次第である。  《この項・了》
posted by Koujin Amano at 18:19| 体系化学

2016年04月30日

[90] 体系化学・二題

体系化学ないし化学体系
 この春、「体系化学」との名を冠した学参が市場に出た。
もっとも、『思考訓練化学』の改訂版ではないし、
互いにまったく縁もゆかりもない存在である。
もちろん、こちらに事前予告などはなかった(^o^;)

両書とも入手したので(どこぞのサイトの書評のように、書店で斜め読みした程度で
テキトーに書き散らすようなことは、さすがにしませんよ・・・)
簡単ながら、感想を(書評なんておこがましい f^_^;)記しておきたいと思う。

1.『体系化学』(教学社・北角 巌著)
いわずと知れた‘赤本’の教学社である。実は教学社は、京都の左京区岩倉にあるのだ。
京大よりはかなり北ではあるが、学生の頃、その辺りは
「原チャリ」で塾講バイトで通った憶えがある。HONDAのJOGはよく走ったなあ・・・。

本題に戻ろう。
著者は関西の予備校講師を経て、今は金沢の高校教師とある。年齢は40代前半。
私の再受験歴を差し引くと、まあ、だいたい同じような時代の受験環境を生きてきたのだろう。
あの、予備校の講師がもっとも輝いていて、リッチで、憧れられ、師として仰がれた時代である。

「体系」ということに関していえば、私としては「体系でもなんでもない」というしかない。
まちがいなく、「体系」の定義がちがうのだから。
私のいう「体系」とは、読者諸氏には改めて説くまでもまでもないが、
 「一つがすべてであり、すべてが一つである」
との「まえがき」の一言に尽きている。
論理化とは具体からの抽象であるから、その論理化の行き着くところは「原理」となる。
その原理が冒頭に掲げられているか否かが、体系的かどうかの唯一の判定指標である。
その点から眺めてみる。
「はしがき」にはこうある。

 化学の入試問題の解答に必要なのは「原理の理解と正しい知識」そして
「知識を活用する力」です。・・・後者は問題集によって養成されます。
この本は、その後者の力を養成する待望の一冊です。

なるほど。ちなみに、前者は「授業や参考書」で得られるそうである。
つまり「原理」(や「知識」)は習得済みであることが前提らしい。
ならば、その原理を提示している参考書が著作としてあるのかと思って
紹介をみれば、『大学入試 萌えわかり化学反応式 重要パターン50』と。
・・・あとは推して知るべし。

掲載順 本書は「化学基礎」「化学」の教科書の内容順に掲載しました。
学校で習った順番で演習できるようになっています。

レベル @基本問題、A発展問題、B応用問題のうち@,Aを掲載
パータン @分野別問題とA融合問題のうつち@に絞り掲載
テーマ 各分野、テーマ毎に問題を選定。各分野のテーマを網羅

世間一般的には、これが「体系」というイメージなのであろう。
 単元別、テーマ別に整理整頓、基本から応用へ
しかも教科書に準拠。なんの問題があるのか!!

実はこれは、超ロングセラーの「体系物理」(教学社)とおなじ構成である。
私も高校時代、指導者のいない地方に住み、物理の学びに悩み、
その名称に惹かれて購入し、最後までやってみた口である。
その問題集が営々と引き継がれ(解答は昔より数学的にレベルアップしてましたね)
今に至るのはすごいことで賞賛に価するが、同時に、
テキスト・参考書としての「体系物理」という著作が存在しないのもまた共通である。

「体系」という名に惹かれて手に取る受験生は、教科書や授業に飽き足らず、
それでは求めるものが得られず、でもその何かかが分からず、その何かを求めるのでろう。
少なくともかつての私はそうだった。・・・・だからこその私自身が自らに出した答えとしての
思考訓練シリーズの『体系化学』であった。

しかしながら、本問題集のためにいっておくと、『思考訓練体系化学』を学んだものにとっては
演習するにはよい問題集である。体系的な学びのあとには順序は関係ないのだから。
ただし、それはどの問題集でも同じだということとともに、
解答解説は『思考訓練体系化学』的に書き改めることとなるが。
まあ、それはそれでよい練習である。
とはいえGHSでは、解答書き換え練習台としては『重問2010』を採用しているので
あえてこちらに換えることはないが、
しかし、「はしがき」の趣旨からすれば、そのように使うのには適切であるには違いない。
                                         《続》
posted by Koujin Amano at 17:00| 体系化学

2016年03月11日

[89] 高校1,2年生と『体系化学』

 近況異変
 実は今年の春は、「異変」に取り巻かれている。
といっても、ポジティブな意味で例年と動きが異なっているということなのだが。
一つには、GHSでの28年度生のための「体系化学」の授業がなんと!
2/12から開始となっているのである。
というのも、今年は例年に輪をかけて早々からの入塾者がいるとの報で、
いつもはオフで過ごしている時に顔を出すと、なかなかやる気に充ちていて・・・
ということから、早期入塾の心意気に応えて、物理と化学の講義を開始したのである
例年なら、四月の1週目にイントロ講座をやり、さてスタートという流れで、
この頃は数学のセメントなどを進めている時期であるから、二ヶ月前倒しである。

 二つの理由
これには、主に二つの理由がある。
一つには、医学部の、特に私立医学部の難易度がさらに上がったことだ。
たとえば、A君は京大理学部に合格したのに、なんでこの私立に落とされるの?
というような摩訶不思議事例を筆頭に、きっと数年前なら合格しているはずの
実力の者が入れないという異常が常態化している。
 そういう者達は、本物の学力を問うてくれる試験を苦労して作り
丁寧に採点してくれる大学を目指すしかあるまい。
実力があろうとなかろうと、ほんの一点二点差の団子レースになるような
試験問題自体が問題なのである。
そんな状況を早々に感じたからこその早期スタートでもあった。

いま一つは、高校1,2年生の個別指導の回数が重なってきて、
私自身の視点がシフトしてきたということにある。
その内の一人の高1生は優秀で、すでに体系化学において高校の進度に追いついてしまい、
半分は漢文でもやろうか・・・・といって『漢字海』を傍に漢文入門をはじめたところ。
いいなあ、「贅沢三昧」というしかないね。部活をしっかりやりながら、これだから。

ただ、高校生は、たとえば有機化学などは三年生になるまで
未履修であり、『体系化学』でもいくつかのネタをカットせざるを得ないものであるが、
いずれにせよ、そういう基礎も頭もできてない三年をすごしてからGHSに入って来る浪人生は、
「遅い、遅いよ!!」と感じてしまう。だから、せめてもの前倒しなのである。

『体系化学』は浪人生用!?
 「まえがき」にあるように、『体系化学』は再入門書である。
GHSで浪人生を相手に、一発逆転の方法を説くものである。
だから、高校生の独習は難しいだろうな〜という思いがあった。
もちろん、読者倶楽部の会員には、高校1、2年からお便りをくれる人があるが、
それは少数派であった。しかし、個別指導の形で細部の進度や、説明の深さ・浅さに
配慮してあげれば可能(考えてみれば当たり前であるが)とわかってきた。
いま、高校一年生用の『体系化学』カリキュラムと高校二年生用の『体系化学』カリキュラムの
作成が着々と進んでいる。おかげで、「化学基礎」とかいう教科書の内容・構成もわかってきた。
何でもそうだが、要するに内容は同じでも順番が大切ということである。
たとえば、公立進学校の高校一年生の場合、基礎公式は5までやったら、
酸塩基から酸化還元に進むが、
これが私立の一貫校だと基礎公式は順番通りでよいという具合である。
GHSでは一つの授業は、年に一回しかやらないし、同じことを何回やると飽きてしまう質だが、
個人指導の場合は、範囲はちがうが、同じ教材を数人に指導する。でも内容は同じようでちがう。
一人一人のカスタマイズをやっていると案外飽きないものだということにも気づいた。

個人指導をしている人にとっては当たり前のことをいっているように聞こえるかもしれないが、
私としては、高校一年のときにやるべきだった思考の訓練、読むべきだった本・・・
道がわからず、ずいぶん無駄な、回り道をしたものだ・・・・そういう思い出を再生しつつ
過去を編集・再生する、そんな楽しみを見出している此の頃である。
posted by Koujin Amano at 18:47| 体系化学

2016年02月18日

[88] テキストの公開と新規テキスト

すでに5つ
 GHSのHPを見た方は気づかれたことだろうが、「テキスト公開」のボタンをつくってもらった。
昨年、東北大学の工学部に勇躍合格を果したH田君が、休みのたびにGHSを訪れてくれて、
惜しみない協力をしてくれたおかげで、今回トントンと仕事が進んだわけである。

 調子に乗って、というべきか「体系化学」も「体系物理」も「漢文基礎句法ドリル」
相当の分量アップできたので、なかなか壮観である。
 もちろん、これでは止まらない。有機化学重要問題演習の解答解説編は、(2),(3)……と
つづいていく。この電子ブックソフトは、更新ができないので、小分け・小出しにするしかない。
それはそれで好都合である。『体系化学』は若干の形式的な修正を加えつつ、
2nd Stgageもダイジェスト版でアップしようと思っている。
『体系物理』も、もう少し中身を足しながら(授業で板書する部分は空欄なので・・・)、
引き続きアップしていこうと思う。力学編もそうだが、体系性からいえば、
是非に熱力学の立体的構成をみてほしいものである。

というのも、先般記した通りに長期的展望としては、『思考訓練シリーズ』はGHSに継承されるが、
それまでのタイムラグが少なからずある。その間の読者の便宜をはかるということが目的であり、
育文社の山田社長からは、公開について快諾をいただいている。

今年は新たに
 GHSでの私の授業はほぼテキスト化されているので、
プリントを配布する量がめっきり減った。ブリントの良さは機動性であり、
テキストとしてきっちり決めてしまうと、広がりや柔軟性を欠くという欠点もある。
したがって、「テキスト」として固まるまでは、毎年、試行錯誤と差し替えの連続である。
その積み重ねでテキストの姿が浮かび上がってきて、カタチとなる。
そうやって『体系化学』もカタチになった。

 今年、新たに(かつ、化学としては最後になる)テキストが合本・製本されることになった。
これは「定性化学」の問題演習テキストである。
実に、1900年代から18年分ものセンター試験の全出題を、四つのpartにわけて、
系統的に配列編集したものである。
 この試み自体は、GHSの授業において、2000年代後半からつづいていたのであるが、
ようやくに有機を除くすべての分野(したがっていわゆる「無機化学」を含んでいる)が、
繰り返しながら深めていくセメント&ドリル形式の学習に資するような配列を
ようやくにして完成したということである。
実際、高一生にも、校二生にもテキストとして使える配列になっている。
 今年度は、partごとの小冊子コピー印刷で済ませてきたが、新年度からこれを合本として、
簡易製本することとした。有機化学、体系物理につづく合本テキスト化である。
ページ数は130頁ほど。もっとも、問題だけが並んでいるので、授業を聞かない限り
その配列の妙は味わえないから、これを電子ブックとして公開するのは意味がない。
この解説を文字に起こすと、500頁を超える勢いなので、読む方も大変であるし、
むしろ、「動画形式」にしてみようかと考えているところである。
posted by Koujin Amano at 21:58| 体系化学

2016年02月05日

[87] 電子ブック作成・出来 テキストの一般公開を開始

 電子ブックを作成して、簡単に公開できる便利なサイトに登録したので、
さっそく、GHS体系化学 有機化学編テキストを130ページ分つくってみた。
容量の関係などあり高分子の前で分割したが、今後は数十〜100ページ程度の単位で
公開できると思う。
というのも、wordでつくっておいて、pdfに変換すれば、アップロードしてから
あとは自動的に生成してくれる。かなりの早業である。
テキスト自体は、そもそもwordでできているのであるから、その気になれば、
アップするものはいくらでもある。
こんなに簡単な作業なら、ちょっと修正加筆してまたアップすることも容易なわけで、
それが紙媒体と異なり、進化・深化を組み込みやすい点が素晴らしい。

 有機化学テキストについては、このブログで昨年、実物を(会員価格<原価)販売したが、
すでに残部少なく、今年の生徒の分があやうくなってきたことから、
これ以上実物を提供できないのでまずはデジタル化した次第である。

 あくまでも授業テキストなので、いくつかはあえてブランクにしてあるところがあるし、
授業でプロジェクトターを用いてビジュアルあるいは動画で解説する部分もある。
これらの点については、おいおい補っていくつもりであるが、
動画やリンクは埋め込めないので、別の表現手段になるかもしれない。

 この中に、入試例題が載っているが、これは「有機化学演習」と「化学重要問題集」
二冊ずつからの抽出である。
「有機化学演習」は私が受験時代に使った旧版と、現在市販されているものからの
いいとこ取りであり、重要問題集の方も、5年ほどの間隔のあいた二冊からの
(毎年二割くらい差し替えるらしいので)セレクトである。
名付けるならば「有機重要問題演習」( ^ω^ )である。
類題演習とあわせて、40問ほどになった。
有機化学のコアを授業で伝授するのに必要十分なセレクトであり、
枝葉的問題は後回しにして、テキストと並行して進めるように配列しなおされている。


「有機化学演習」は問題はしっかりセレクトされているが、
ご存知のようにテキスト的部分が薄い。あれはポイント集以外ではない。
かといって解答・解説はテキストの役までは果たしていない。
私が受験生の時は、すでに大西化学を習得していたので、他流試合には丁度良い問題集で
一ヶ月程度でやってしまったが、ここから有機化学を学ぶという仕立てにはなっていない。
「重要問題集」に至っては、問題の解き方の統一性がなされておらず(分担執筆だろうから)、
かといって本家のチャート式と連動しているかといえば、そんなことは昔も今もなされていない。
事業部が縦割りなのか? チャートの「チ」ほどもリンクされていない。

もっとも、問題自体は大学入試問題なので、どこから抽出しようと、両者の著作に了解をとる
必要などない。本体は、解説・解答の充実にあることはいうまでもない。

これは、授業で板書する内容なので、本来はデータ化していないもので、
そんな意図も、暇もないのが私の現実であるが、そこはやはり読者倶楽部の絆のなせる業、
このブログでもたびたび紹介した現役高校教師である「とっとさん」が
年々歳々GHSの授業を聴講しつつ、実力を蓄え、原稿に起こしていただけることになった。
というより聴講しつつ現場で実践するという繰り返しの中で、
「とっとさん」自身の文章として書けるようになった、というべき内容になっている。
私よりも断然真面目で緻密な方であるので、私の解説授業よりも実に丁寧で、
手取り足取りの行き届いたものになっている。以下を参照されたい。


 このよう教育メソッドの探求に熱心な先生に教わる生徒は実に幸せである……
とGHSの授業で浪人生に話すのは酷ではあるが、あえてそのようにいうのは、
「人生は人との巡り合わせ」による運不運があるという現実を伝えるためもある。

現時点では、入試例題4までの4問ではあるが、解説はA4版で6-7ベージに及ぶ。
これを紙の本にすると、40問でゆうに300ページにもなってしまう。
そういうことを気にせずにすすめられるのが電子ブック媒体の利点である。
posted by Koujin Amano at 18:23| 体系化学

2016年01月18日

[86] 『体系化学』の行く先

2008年の候に生まれし由
 「まえがき」に書き記しておいたように、GHSでの浪人生向けの授業の
結晶化として、『体系化学』を市販公開したのが2008年。
そう、あくまでも、高校で化学を学び損なった、いやいや学んだとは
とてもとても言い難い浪人生を前にしての「大いなる希望」が形となった。
雑然としていて、濃淡ありありで、得点になりそうもない知識の残骸を、
「一から学び直す」というだけでなく、体系的に学び直すことを通して、
大逆転を果たすし、頭の働きそのものを良くするGHSメソッドの一環として
そしてそういう本物の学びを求める受験生との紐帯となるようにとの願いの下、
市販物として仕上げたのである。

そこから二つのオリンピックイヤーを経て、改定版の話を折に触れて述べてきたが、
それは主に形式的・見栄え的・使い勝手的なものと思っていた時期がある。
なんとなれば、体系的な論理構成そのものは、今に至るも何一つイジる必要はなく、
「化学アドバンス」においてはますます威力を発揮しているのだからである。

新たなる、しかし当初から温めてきたもの
 出版当時のGHSの環境と私の実力と暇とからは、
「浪人生のための再履修テキスト」という位置付けがベストであったし、
それ以外の射程を考慮しないことでこそ「形」にできたのだと思う。
 しかし、まさにそれが産み出された瞬間から、頭の中で巡っていたのは、
それでいいのか?という問いであった。
 つまり、高校で三年間、ムダ(といっては失礼だが事実なので)な化学の授業を
受けて、入試に立ち向かう実力がついていない、というのが前提となる。
そこにとどまっていいのか、ということである。
 市販したおかげで、高校生の読者からの感想も届いたし、
高校の現役の教師からも意見をいただくようになった。
幸いながら、高校生が使っても役に立つことは十分実証されはしたが、
それでいいのか?という問いは未だ解消してはいない。
しかしながら、GHSは高校生コースはあるものの、主体は
浪人生であり、その授業にまざってもらうしかない、という状況が
ここしばらく続いていた。

・・・・・・そこで、というわけではないのだが、その転機は成り行き的というか、
必然のながれというか、訪れて来てくれたようである。
『体系化学』は、化学のできない浪人生を目の前にしたからこそ成ったのである。
ならば、高校生の学びに資する『体系化学ジュニア(仮称)』( ^_^)/は、
高校生を相手に実践することを通してしか構築することはできまい。
その当然の理屈を実践する契機を手にしたのである。

実践の場からしか生まれないのだから
 もったいぶった言い方になったが、要するに、高一生と高二生の指導をすることに
なったわけである。地方の県立の進学校の真ん中くらいの成績。国立医学部志望。
潜在的な能力はあるが、そのままでは浪人する確率はかなり高い・・・、というところ。
GHSのHPの合格体験記にでてきそうな、しかし、まだ現役生である。

集団授業ではない。各々1名ずつ、完全個別指導である。
学校の進度、内容、レベルを確認しながら、体系化学を高校生に学ばせるには
どういう順序でどのように進めれば良いかの潤沢なるデータを
与えてくれるわけであるから、知人の紹介ではあるが喜んで引き受けた次第である。

いずれ詳細は語る時がくるであろうが、週一回二時間で、10回ほど経過。
高一生は「化学基礎」とやらをやるわけであるが、
すでに学校の進度に追いついてしまい、これからは学校の進度に合わせて、
『体系化学』演習とGHSの定性化学テキストを指導するので、
定期考査の前には、改めて勉強しなくてよいくらいになる。
すると他の科目に時間がかけられて・・・
高二生は、基礎公式がほぼ終わり、三月いっぱいで、『体系化学』を一周する
計画である。つまり、三年生になったときには、『体系化学』の二周目、
化学アドバンスの世界の扉を開くわけである。
自分でいうのも何だが、「いいなあ〜俺もそんな高校生活送りたかったよ
というのが本音。心の中で羨望し和み愉しんでいるかつての自分がいる。
「あとがき」に記した苦い思い出が、甦りつつも昇華しているからだ。
                                《続》
posted by Koujin Amano at 12:47 | TrackBack(0) | 体系化学