2017年12月30日

[109] アミノ酸カスケード+の話

今年最後の授業は...
 [107] に「アミノ酸カスケード」という話というタイトルがあるが、
よくみると、今回はカスケードの横に「+プラス」がついてる!!
「たけちゃんマン」の続編が「たけちゃんマン7」だったのを
思い出した人も稀にはいることだろう。

GHSでは12/22金が私にとっては年内最後の正規授業であったのだが、
翌23日に、駒込の医師会館で本業の方の「検死研修会」に参加した。
行政解剖組織がない地方にとっては警察の検視と医師の検視も
大切な業務の一つなのである。一時期、法医学教室に身を置いていたので
私にとっては何の抵抗も違和感もないので「復習」のようなモノであったが・・・。

その研修のあと新宿に移動して、時間がとれそうだったので、
体系化学3の補講を〆として追加した次第。
テーマは、体系化学アドバンス・カリキュラムの最後編テーマ、
「高分子の世界に届く」の ‘ アミノ酸配列 'の問題である。
当日、倫理政経の補講があったこともあり、
生徒が自習室にも居残っていて、臨時招集をかけると、
いつもは5人のクラスが、我も我もと十数人にも膨らんだ。
もっともここまでくると皆、体系化学テキストはもちろん、
アドバンスも学んででいるから、何をやっても話が通じるわけだから、
楽しくも頼もしい面子がそろったわけだ。

カスケード+の理由
 前々回に紹介したように、有機化学テキストver.4に収載した
「アミノ酸カスケード」は、いわば「常連のアミノ酸」の8個を
まずはしっかりと覚える図式である。この8つと基本構造の式量74g/molについて
暗記法コンテストを経て、拡張する土台はできている。

実際に、2011〜2016のデータベースから私立・国立の入試問題の標準以上の問題に限定し、
10題ほど集めたものを演習・解説した。
このレベルになると、8個のアミノ酸の構造式を知っているのはあたりまえ、
その上で、ヒント付きで出題はされているが、さらにアミノ酸+6個程の構造式について
予め知識があった方が見通しよく解けることがわかった。
そこで追加したのが、Val,Leu,Ile,Lys,Asn,Glnである。
これをアミノ酸カスケードを基礎枠として、拡張工事を行ったわけである。
その結果、アミノ酸カスケード+は、二次元から、三次元の構図となり、
数学で見慣れた空間座標にならって配置するとよいことが分かった。

さすがに、この場でぽつんと公開する気はないが、体系化学読者諸氏も
自分なりに想像しておいてほしい。
来年度は、体系化学アドバンス(2)をテキスト化し、例によって電子ブックとして
公開することになるだろうから、その時まで、しばし、Tranquilo!!

posted by Koujin Amano at 09:29| 体系化学

2017年08月26日

[105] ‘水蒸気よ、永遠なれ’

気がつくと、あっという間に、夏期まで駆け抜けてしまった。
前回、水蒸気の話をしたが、この間にかなりの問題をやっつけて、
解析と論理化がすすんだ。その成果は、いずれ何らかの形で公開しようとは思うが、
とにかく、入試では「難問」の群を形成することは昔から変わらないのに、
水蒸気についての扱いを明解に説いたものは管見ではなく、
(だからこそ、ずっと「難問」のままなのだろうが・・・)
受験化学において、手付かずの領域である。
実際、教科書や参考書でも、どの箇所で本格的に扱うかは定かではない。
たしかに、気体に関連して、蒸気圧曲線や、飽和蒸気圧について触れることはあるが、
入試の蒸気圧についての問題を解くには心許ないレベルでしかない。

それは、前回示した、蒸気の問題分類目次でも明らかになったように、
化学のあらゆる分野に顔をだす、「スパイス」だからである。
中身は基本的な気体の問題でありながら、「水蒸気は無視できない」とするだけで
「難問」に格上げされる。
そんな水蒸気および蒸気一般の論理性と解法の探求が夏期の講義までで、
とりあえず一段落ついたので、そのエッセンスを他のクラスにも還元すべく、
講義しはじめたところである。データ化も進んでいる。

「案外」といってよいかは微妙だが、センター試験には、この「蒸気」をあつかった良問が
少なからずあるのである。センター試験レベルで100点満点を狙うには、
こういう点での攻略も二次試験レベルでできている必要があると感じたわけである。

『体系化学』および『体系化学アドバンス(1)』の読者諸氏諸君に向けて、
特にいっておくと、水蒸気の問題を解くための「原点」は、
水銀による蒸気圧測定法、いわゆるトリチェリの真空の問題である。
水銀は、その中毒性などから余りイメージは芳しくないが、
殊、蒸気圧を語るにあたっては、主役といってよいほどに優れた物性をもつ。
水銀血圧計が医療の現場では、けっして無くなることはないことからも示唆されるように、
蒸気圧と水銀の関係は ‘永遠’ なのであると感じた次第。
だから「蒸気と水銀よ、永遠なれ」ということが骨子なのだが、
語呂的にはタイトルのごとくにしておいた次第。

そこで問題として浮上したのが、水銀柱の「長さ」を「圧力」に換算する公式である。
これを水銀柱に限らない一般形にして、化学基礎公式B'の拡張公式No.3として
位置付けることにしたことを報告しておきたい。
化学基礎公式@の分子の拡張公式として、『体系化学』においてすでに説いたように、
密度を質量に換算する公式がNo.1である。
また、『体系化学アドバンス』において紹介したように、
化学基礎公式@の分母を「平均分子量」として捉えるのが拡張公式No.2である。
ここで、拡張公式が追加となるとは私も予定になかったが、
これがあると蒸気圧測定の問題が統一的に(≒ワンパターン)で解ける。
それはいったいどんなものか……各人、推理しながら、公開の時をお待ちいただきたい。
posted by Koujin Amano at 11:50| 体系化学

2017年05月29日

[104] 勝つための・体系化学3  ー「水蒸気」は「単振動」ー

体系化学アドバンスの消息
  前回のつづき、「体系化学3」の話である。
体系化学3の授業は4月この方、数回行ったが、
GHSでもこれまであまり十分触れていないエリアに侵入している。
というのも、そこまで説かなくても生徒たちが合格していったということなのだが、
「大は小を兼ねる」ような授業をやる・・・・つまり、体系化学テキストを学び切り、
私がやりたいことをやりたいようにやっても応じてくれる生徒が存在するのは
著者として実に幸せなことである。私をさらに楽しませてくれる。

以下はかつて『医大受験』創刊号で書いておいた
「体系化学アドバンス」の連載予定リストである。

第1講 化学反応公式❻の陥穽と完成
第2講 世に言う「二段階中和」という嘘実
第3講 「チオ硫酸ナトリウムとヨウ素の反応」という‘遠回り’の効用
第4講 混合物とその平均   ー「平均分子量」は役に立つか?ー
第5講 結晶格子の色々様々
第6講 基礎公式と化学法則の修練
第7講 油脂計算を極めるフォーマット
第8講 1st Stageの最終獲物(ゲーム)  ー「蒸気」と何か, 蒸気圧の法則性ー
第9講 熱化学の一歩先   ー3番目の‘基準’とイオンの捉え方ー
第10講 高分子の世界に届く  ー 大きなnとの付き合い方ー

網掛けしていないところが未公開テーマである。
もちろん、予定とは「予定」なのであり、最初こそ順調に書いていたが、
第5講の「結晶格子」のスタンダードレベルをもう一つの私立医学部向け連載で説いたこともあって
第9講を先に書いたところまではよかったが、GHSでの授業の進展や諸々の事情で、
そこから先、予定リストにはなかった「電池の歴史」の連載に移行した。

“ボルタが遺してくれたもの”と題して、現在、教科書では
「欠陥電池の発明者」かのような不当な扱いをされ、
「電流を人類に開放した大恩人」としてのレスペクトが皆無であることへの義憤と、
ダニエルから電池の話がはじまるという教科書執筆者の見識の低さへの慨嘆と、
さらには、身近であるという理由だけで「電池」が『化学基礎』の教科書で扱われ、
高校生の化学学習に混乱をもたらす弊害への憂慮とにより、
テーマをこちらにふったという経緯がある。

なんとなれば、「電池」というのは身近でありながら、
それは化学技術の集大成であり、高度なデバイスであるのだから、
それを化学入門レベルの高校生が理解することは至難なのである。
化学反応も複雑であり、とうてい「化学基礎」の範囲とはいえない。
これは、高校化学を一通り学んだあとに、その集大成の技術の一例として学ぶべきであり、
それは「コロイド」と同様だと思っている。
……その論証としての電池の歴史の展開に、4号分、一年間のページを費やしてしまった。
それほどに、「電池」は、アドバンスレベルの内容だからだ。

そして、そうこうするうちに『医大受験」自体が終刊を迎えることとなり、
それでは!! ということで、まったくふれていない有機化学について、
連載を二回したところで終了となった次第である。
その後に残った未公開テーマのうち、大物中の大物が
  第8講 1st Stageの最終獲物ゲーム   「蒸気」と何か, 蒸気圧の法則性
である。
水蒸気ないし蒸気の問題は、昔々から「難問」のエリアにありつづけているが、
水蒸気の扱いについて、系統的にかつ明確に説いたものは管見では未だ無い。

「水蒸気」は「単振動」だ!?
 近年、いわゆる「入試問題正解」という書物から、
「入試問題データベース」へのシフトがすすんでいる。
毎年出される「入試問題正解」は、ページ数や解答掲載のハードルがあるためだろう、
毎年の入試問題を網羅できていない。主要大学プラスαには編者のセレクトがかかっている。
これに対して入試データベースには、その制限が無い。しかも、数年にわたって
テーマやキーワードで入試問題を収集することが可能である。
「入試問題正解」では、索引等で該当ページを調べ、コピーないしスキャンしOCRでテキスト化し、
さらに、文字化け等の修正をして形を整える・・・という手間が必要だった。
だから、5題も処理したら手一杯だったものだ。

このハードルが大きくクリアーされた入試データベースを用いて、
ここ8年分のほぼすべての入試問題から、「水蒸気」や「蒸気圧」に検索をかけた。
積年の(強いて言えば、私が受験生の時からの積年である)課題であった、
「蒸気」に関する考えうるかぎりの入試問題をあつめるということが実現した。
その数はおよそ200問超。GW前後の余暇は、そのタイトル付けと分類とに費やされた。
なかなか、有意義な連休の使い道であることか!!!

  その結果は以下である。

 体系化学アドバンス(2)
   第︎●●講 水蒸気と蒸気のトリセツ
       Part 1.蒸気とは何か
§1-@ 状態図と三重点 水
§1-A 状態図と三重点 二酸化炭素
§2-@ 蒸気圧曲線 水
§2-A 蒸気圧曲線 水以外
§2-B 蒸気圧曲線   水と●●との蒸気圧比較
§3     水銀柱と蒸気圧
Part 2.蒸気圧についての法則と応用
§4-@ 蒸気圧降下 ラウールの法則
§4-A 蒸気圧降下 分留 ー水蒸気は味方さー
§5     水蒸気蒸留
Part 3.水蒸気はジャマ者さ?!
§6     気体と水蒸気の混合物
§7     固体と水蒸気
§8     水上置換と水蒸気
§9     燃焼反応と水蒸気
§10   ヘンリーの法則と水蒸気圧

如何であろうか。一覧してお分かりと思うが、有機化学をも含んで、
化学すべての分野にまたがる巨大な問題群を形成する。
言い方を変えれば、「蒸気の問題」をすべてやれば全分野でハイレベルの学習ができる、
ということである。それは、物理でいえば「単振動」のようなものである。

単振動は物理のあらゆる分野で(原子物理でさえも)姿を見るものである。
したがって、アドバンスレベルとして単振動にフォーカスして全分野を学習するという学び方は、
ずっと以前から「単振動スペシャル」と題してGHS体系物理で演習してきたものである。

 化学でそれに匹敵するのは「水蒸気・蒸気・蒸気圧」である。
でもまあ、『医大受験』に連載しなくてよかったかな・・・。
少なくとも4年くらいかかりそうなテーマである。
   
授業では、それを体系化学的に説き、かつ解き直し、解答を確定するという
探究的な取り組みが必要である。授業はゼミのような討論の場となる。
こちらが提示した項目について、GHS生たちが腕を振るって解答を書いてきてくれる。
実にありがたい。『体系化学』もその蓄積で形となったんだった。
私一人で歩こうとしたら、とうていやり遂げられないだろう。今年もよい生徒に恵まれた。
もっともっと、楽しませてもらいたいものだ。
posted by Koujin Amano at 09:53| 体系化学

2017年01月18日

[99] 難化上等

2017年 あけましておめでとう。
年末年始まであわただしく過ごしたので、やや遅れて休暇をとり、
家族で沖縄に行き、ヌクヌクとすごし鋭気を養って来た。
なにせ、0℃〜5℃の信州から+20℃の沖縄に飛べば、血管は一気に開き、
神経は緊張を解かれ、代謝がアップして心身の疲れが自然に取れていくのがわかる。

我が家は、すっかり沖縄びいきになってしまったようで、
下の娘は「琉球大」志望を宣言するに至った。……近所にやはりオキナワ好きで
農学部にすすんだお兄さんがいることもあるが…それにまだ小2だし……。

ということで、私の本年の始動は1/10からであったため、あっというまにセンター試験を迎えた。
フタをあけてみると、昨年からの「化学の難化」は引き継がれたようである。
「化学基礎」という科目をつくり文系と棲み分けたことで、文系に配慮することなく、
発展的な内容をもあつかう「化学」が理系のための試験として相応しい姿となっている。

といっても・・・・思い起こせば、私が文系受験生として受けた共通一次試験には、
文系も理系も区別なく、「化学」を受けた。逆に理系も社会科目に逃げ場がなかったが。
だから、文系ながらも、基礎公式1〜8すべてを含む化学計算の対策をするのが当たり前だった。
そのハードルからすれば、昨年、今年の「難化」などまだ手ぬるい感はあるものの、
「ゆとり」の時代の、文系も含めて平均点を確保するためのスカスカのセンター試験からすると、
ずいぶんマシになってきたといえる。
「化学」は科学であり、学問なんだから、易しくあっていいわけがない。難しいからこそ、
メソッドを確立し、実力を磨いたものが勝ち抜いて行ける。それでこそ「勉強」の名にふさわしい。
易しい問題を出していては、やり方云々を探求する必死さは生まれてこない。

早速、高校二年生にむけて、「一年後の君の為に」と銘打って、今年のセンター試験「化学」の
計算問題だけを編集したテストをつくってやらせてみた。
今年の化学の計算問題は、全部で11問。有機化学は3問あり、高校二年には無理なので、
これを除いた8問のチャレンジとした。

結論はいつも同じ。
『体系化学』にしたがえは、すべて同じように一本の式で、同じ思考法で立式できるのだ、
ということを確認したにすぎないが、これから高校三年生となる身にとっては、
これらを快刀乱麻のごとく、すべて「瞬殺」で解いてしまう
自分の一年後の姿に希望をいだいたことであろう。

入試センターが公表するデータでは、たいしてできない生徒もまざっていて差が薄められているが、
私の生徒が通う、県内ではトップクラスの進学校では、センター試験の理科の平均点は、
生物80点を筆頭に,物理、化学の順に10点ずつ下がっている。難化対策必須の科目だ。
化学は共通選択だから科目間差があってもまあいいだろう。「難化」の中身はといえば、
「化学は難しくて解けないというほどではないが、量が多くて解ききれない」
と言う声がほとんどらしい。要するに問題の難易というより、判断力・処理能力の問題だ。

でも、結論は同じ。
問題ごとに計算のやり方を考えているから時間がかかるにすぎない。体系化学的にズバッと斬り払えばよい。
「化学の解き方は一つ」という体系化学のテーゼがこれからさらに輝きを増す予感。
GHSと私にとっては、そんな希望の見える年明けとなった。
posted by Koujin Amano at 16:16| 体系化学

2016年11月30日

[97] 体系化学アドバンス・ハンパねーぞ

二学期の ‘アドバンス’
 前々回お知らせしたように、『医大受験』連載分の体系化学アドバンスは一冊にまとまり、
4年に渡った連載を一望することができるようになった。
GHS生全員には配布済みで、先に進みたいものは独習できるようになった。
何かが終わるということは、何かが始まるということ。
その胎動が二学期に次々と現実化した。

つまり、アドバンス(1)には収録されなかった、つまり『医大受験』では連載されなかったテーマでの設定とともに、執筆と問題収集と編集がすすんだということである。

今回は、そのなかでも出色の一つだけ取り上げることにしよう。
そのテーマは「無規定量分析」である。
誤植ではない。よくある「無機定性」ではなく、「無機定量」という設定である。
無機定性分析といえば、20数種類の金属イオンを系統的に分離する方法を主とするが、
多くの入試問題を分析すると、それでは、アドバンスレベルの演習には耐えないことがわかった。
定性はもちろんのこと、それを含む「無機定量」という視点での問題分析が必要なのである。

この作業は,ここ数年の入試問題を「無機定量分析」の視点から、
体系化学p.270に掲載の「塩の沈殿傾向」の表にそって,
150余の入試問題を系統的に配列する仮定で浮かび上がってきたものである。
すなわち、無機定性分析は、定量的扱いと切り離せないものであり、
溶解度、各種反応、および溶解度積と一体化しての出題となり、
いきおい総合力が試される問題が目白押しである。
その意味で、二学期後半から取り組むに相応しいテーマである。

この分析と編集には時間がかかったが、見事に150問余が
「塩の溶解傾向」を縦糸に、体系化学計算を横糸にして、系統的に配列された。
・・・もっとも、これに体系化学的解答をつけるのは、授業での地道な積み重ねが必要なので、
複数年かけてやることになるだろうが、他のどのテーマよりも出題バリエーションが豊富であり、
かつ対策がしにくいという点では、このテーマ設定はきわめて有効である、と思っている。

いずれ遠くない将来、公開することになるだろうが、
これだけでアドバンス(1)のボリュームに匹敵する展開となるであろう。                                                     《続》



posted by Koujin Amano at 08:29| 体系化学

2016年10月30日

[96] 蓋し止むを得ざる仕儀なるか

高校課程「再履修」?!
 今年から息子が高校生となり、一応はガンバって県立の進学校にすすんでくれたこともあり、
中学の時とちがって夕食後に、予習・宿題をみてやる機会がしばしばある。
ただ、そのほんどとは化学や漢文ではなく、数学ではあるが・・・。
因数分解からはじまって、数学Iを終えると、数学Aという私の時代にはなかった教科書も授業進度にあわせて少しずつ見る機会を得て、とりあえずは「再履修」をしている気分である。
 とはいえ、誤解無きよう。家庭教師よろしく、学習机の側で「はりせん」もってつきっきりのコーチをしているわけではない。
 リビングのテーブルで、私が一杯やっている横で、行き詰まったら聞いてくるというだけだ。「自分で考えて解決する」以前の、「知らないとどうしようもない」ものや、「あれこれ調べて時間をかけるより、聞いた方が早い」ものなど、睡眠時間をムダに削ることなく、健やかに高校生活を楽しんでほしいだけである。
……振り返ると、高校時代は、回りに聞く人もなく、調べる手段も限られていて、ムダに遠回りしたことが多々あったこと、それで疲れてしまったり、体調を崩したり、そういうこともあったなと....

新宿の本部で浪人生ばかり相手にしていると、教科書や高校の授業レベルをじっくりと観察する暇はないものだが、GHS長野校の高校生の個別指導もあわせて、今はコツコツと再履修ができているといえる。

そして、ようやくにして・・・
 まだ「体系化学」は渡していない。化学基礎の教科書の前半くらいでは、知識量も少なく、全体像が問題にならないから、とりあえず困っていないないようだ。本人が必要だと思うまでは、こちらからは薦めないつもり。
そんなことより、数学や英語がタイヘン…といったところか。
そんな折も折、化学の宿題ブリントについて質問がきた。

みると、手作りではない、いわゆる「業者プリント」で出来合いのヤツ。高校の先生はいいなぁと思う。GHSではすべて自前で解答も作り直すのに。
さて、四問ばかり計算問題がある。「予習していって、グループごとに解法を話しあって発表する」という。問題は、教科書の第一章にある「化学反応式」の範囲。
燃焼反応、沈殿反応、酸化還元、追い出し反応などの計算問題である。過不足があったりする応用問題である。
化学反応自体はならっていないのに、反応式を与えてあり、その係数をみて比で解く、ということだそうだ。
もちろん、そんな程度の指導では凡人には解けるわけがないので、ようやく化学の質問が来た訳だ。
化学反応について学んでいない段階で、こんな計算問題を解かせるのは有害無益として、GHSでは常日頃言っていることであるが、これは教科書がわるい、つまり指導要領がわるいのであり、それに追随する業者もまた無策で、私の高校時代から30年余経っても何の反省もないまま踏襲してきた悪弊である。とはいえ、それはお上のすることに従順にしたがっているだけのことで、やむを得えざる仕儀ではある。
 それがいよいよ我が身に迫って来た訳である。

そこで、化学反応公式8の本質部分のみを教えておいた。曰く、
 「両辺が、同じ物質のmolになるように立式せよ」
そうして、四問とも統一的な形式で、しかもたった一つの式で同じようにとけることを示しておいた。

はたして、翌日、その解き方で発表したそうな。生徒からの静かなどよめき「なぜ、コイツはこんな授業とはちがう解き方ができるのだ!?」と。そして化学の教師は「ノーコメント」だったそうだ。胸中はいろいろと察することもできようが……まあ、また密かに、次の機会を待つとするか。



posted by Koujin Amano at 00:00| 体系化学

2016年09月03日

[95] 体系化学アドバンス(1) prototype 公開しました

前回、育文社のレガシー継承という話をしたが、
それは、要するに思考訓練シリーズや医大受験の著作権・版権に関する
法律的な継承も付随しているということであり、それをうけて、
先駆けとして『医大受験』に連載した「体系化学アドバンス13回分」の
MOOK版の編集・制作をすすめてきた。

すでに、印刷入稿用データも作成できているが、これは発注から制作、
納入まで時間がかかるもので、電子ブック版の公開が先行することとなった。
早晩、GHSのHPでも告知されリンクされるであろうが、
書籍版を希望された少なからぬ読者受験生諸氏にむけて、当ブログでお知らせする次第である。

ちなみに、‘prototype’というには、いくつか理由がある。
過去の連載稿をpdf化して、くっつけただけであり、
(いちおう、はしがきをつけたり、表紙を新たにデザインしたりはしたが・・・)
また、第一部としての13講分、7つのテーマにて終刊となり、
予告・予定していた後編については形になっていないからである。
そしていずれ、この表紙タイトルの(1)をとって、十全な形で公開するのが目標だからである。

正直いって、連載で用いたB5の二段組みというレイアウトは、好きではない。
横幅がたりないので、化学計算式を書くのに苦労した。
その意味で、『体系化学』のようなレイアウトに書き直したい気持ちがあり、
それゆえの‘試作版’という位置付けなのである。
それをあえて、プロトタイプと呼ぶのは、もちろん、ガンダム世代としてまあ、自然なことではある。
posted by Koujin Amano at 12:07| 体系化学

2016年08月24日

[94] 体系化学アドバンス・合本

育文社のレガシー
 育文社は、思考訓練シリーズを始めて市販し、シリーズ新刊を出し、
『医大受験』誌によって、体系化学の続編の連載の場を与えた。
その受験界への貢献はやがてきっと評価されることになるだろう。
 その育文社は、二代、74年にわたる歴史の幕を閉じ法的な整理も完了とのこと、
そして、そのレガシーの幾つかをGHSが継承した。

 その一つが形になりそうなのでお知らせしたい。
思考訓練化学、漢文、医大受験等々のデジタルデータを譲り受けた。
ただ、当初は出版のプロが使うソフトの保存形式であったために使えずにいた。
それをこの夏、GHS卒生で東北大学工学部に進んだH田くんの尽力により、
すべてpdf形式へと変換することができた。
 さっそく、『体系化学』のpdfデータは授業でのプロジェクターやモニターで
表示するのに重宝しており、そのページを大画面で確認しながらの講義ができるようになった。
300ページ余のデータであるが、Wordの原稿にくらべてスクロールも拡大縮小も断然にラクである。

 そしてその次に取り組んでいるのが、『医大受験』の連載データの取り出しと、合体だ。
体系化学アドバンスの一連の原稿は、創刊号から14号まである。
これまでは必要に応じてコピーしてGHS生に配布していたが、
いずれこれを一冊にまとめたいな・・・という思いが叶うことになった。
pdfデータをつなぎあわせて、一つファイルとした試作品が完成した。
ページ数は100頁を少し超えた。

雑誌の連載をまとめて一冊にしたものを「MOOK」というが、
MOOK形式でGHS内テキストと同じく簡易製本とし、サブテキストとする。
近々に100部(内部生用に三年分ほど)はつくる予定で、今、細部を整えている。
 受験生読者諸氏で、「体系化学アドバンス」連載全体
(といっても化学アドバンス授業の内容の全部ではないが)をみたいという方がいれば、
GHSに連絡されたし。手を挙げた人数によっては、制作部数を上積みするつもりにしている。
希望者には原価+送料でお分けできると思う。
 100頁ほどではあるが、『体系化学』サイズとフォントならば1.5倍にはなるボリュームである。
これに連載第一回の問合わせ者にのみ配布した「解答」をつけて完成品としたいと考えている。
 さらに、一つのpdfファイルにまとめることができれば、電子ムックとして
GHSのHPの「テキスト公開」のコーナーにもアップしてもよいと思っている。
もちろん閲覧は有料にしたりはしない。
・・・・・・GHSも私も、こういうところでちまちまと利益をあげようなどとは
つゆ思っていない証左でもあるし、「体系化学」とその発展形を求める人が学び習得し、
かつ、世の中に広めてもらうのはむしろ歓迎してしかるべき事だからでもある。
GHSの総数30人の定員では、30年やったとしてもたかだか千人にも届かない。

 しかし何よりも、無料でかまわないと思うのは、実は先にも書いたように、
「体系化学アドバンス」自体は連載の有無と関係なく、
毎年、文字通りの「アドバンス」をつづけており、さらにその先へ先へと
進んでいるからである。だから出し惜しみして貯めておく必要などない。
それには、すでに連載したテーマについて深化を遂げている部分もあれば、
連載に至らなかったテーマについて展開した部分もある。

いずれにせよGHSは、発展をやめない。否、発展しなくなったらやめる。
それは、本ブログの冒頭に掲げた精神でもある。  《了》
posted by Koujin Amano at 21:31| 体系化学

2016年07月31日

[93] もう追いかけるのは止めようか

『体系化学』当初からの課題
 「まえがき」に明らかなように、『体系化学』は、
浪人生のための一発逆転の再入門書として著された。
高校での化学の学びが、理系と名乗るくせに、てんでなっていない、
形にもなっていない、橋にも棒にも掛からない、そんな化学難民である
GHS生の無謀な希望を叶えるための授業の積み重ねが書となった。
そして、GHS生も、読者受験生も本書を役立ててくれてきた。
それはそれでよい。だが、それでよいのか?というのが
出版直後から芽生えた疑問と課題である。

ただ、GHSでは昼間部生を主とする授業であるから、
それで十分だし、浪人生相手だからこそ、
教科書全体を解体し、再編成して、
体系的な構成へと転化できたのである。
高校生でも、二年生の後半くらいの進度からは、
学び直しが可能となる。
だが、それでよいのか?

入院患者を治療するのが医師の仕事・・・か
 これに疑問の余地はない・・・・・・そうか?
病院経営的には、「ベッドが空いています。先生方にお願いします。
入院患者を増やしてください……。」どうやって??
そう思うことがある。事故とか怪我とかの外科的な傷病は
ある確率で起こるのは仕方ないが、こちらが努力してどうなるものでもない。
しかし、防ごうとすれば防げる病はある。
長年のヘビースモーカーの行く末は、スポンジのように伸び縮みする肺が
繊維化し硬くなって、酸素ボンベのお世話になる。
長年の大酒と不摂生で肝硬変となり、血液組成が歪んで入院する。
コレステロールの蓄積で、心臓の血管が狭窄して心筋梗塞を起こす。
そうなってしまうと、「専門医」の出番である。
手厚い医療と高額な医薬品と、高度な手術・手技が発揮できる。
当然医療費も跳ね上がり、保険収入はアップするが・・・・。

 私の内科診療は、「生活習慣病」の外来患者を主とする。
要するに、会社や市町村の検診で引っかかったグレーゾーン+αの人達が
「患者」としてやってくる。
 ふつう医者は検査して薬を出してなんぼのもの(経営的には)であるし、
ずっと通院してもらうことがこれまたふつうのこととなっているが、
私の外来は、むしろ「卒業」を目指す。40代、50代から、
そこからまだ長い人生、ずっと薬を飲み続けるのは当人だって避けたいものである。
だから、いっしよに「卒業」を目指す。異常を放置している期間が長ければ
内服薬をアシストとして使うが、できれば生活改善で、減薬・休薬を目指す。
要は、病気にならないための生活を知り実践することが肝要なり。
かりに病気になっても元に戻れる軽いうちに治療することだ。
------- そんなことでは病院が潰れる?なんて心配は無用。他の部面では、
しっかりと収益を上げる仕事にかかわっているので --------

それがどうした・・・と?

浪人生は「病んでいる」ということだ
 浪人生、たとえば「化学難民」とは、化学をまともに学びそこなった人である。
いや、歪んだ化学知識を取り込んでしまったということか。
脳に取り込む「食物」が歪んでいるわけだ。それは高等教育の欠陥である。
(もっとも、部活三昧で、それを幸いにも食さなかった人もいるが・・・)
そういう「病んだ」受験生を治すための、特攻薬が『体系化学』なのではあるが、
病気になるまで放置しておいて、さあ治療しましょうというよりも、
病気にならないように学ばせて、健全な脳細胞を最初からつくればよい。
・・・・・・ふしぎな縁か、昨今は思い願ったことは現実化するようになっており、
GHS長野校では、現役高校生に対して、健全食を提供している。

高校二年生の複数名については、『体系化学』メソッドによって、
やすやすと授業の進度に追いついてしまい、夏休みに入ったので、
もう待つのもめんどくさいので、追い越してしまった。
ここからは、『体系化学』の学びが、学校の授業に先行し、
授業は単なる復習の場となる。
私の時分を振り返り、「幸せの受験生」を育てることが愉しい、
この頃である。
しかも、ある生徒は、化学が追いついて、やることがなくなったので、
物理をやっていて、そのあとに、ちろっと漢文やっていたりする。
         愉快哉!!


posted by Koujin Amano at 10:48| 体系化学

2016年06月30日

[92] 体系化学アドバンス・ヤッべーぞ

網羅すること、漏れなく学ぶためには
 前二回にわたって、「体系化学」を冠する新刊を繙いてみたが、
要するに、そこに共通するのは、前提として、「体系的」な学びができれば
両書とも良書たりうるということであった。
 ただ、そういう状況は昔も今も変わらないんだなあ……
というのが実感である。私の高校時代には「体系的」学びの場がなかった。
 教科書の全範囲を、満遍なく学ぶことは必要条件である。
しかしながら、漏れなく満遍なく学べるためには、
満遍なく説かれた参考書なり問題集が有効なのかというと、答えは否である。
 指導要領で指定された全範囲に触れさえすれば、教師としての
責務は果たせるわけだが、それがまともな教育たり得るのか?
というのがGHSの原点である。そういう知識を入れていける器・構造・骨格を
まずは頭の中に作らねばならない。

 私は、昔も今も、指導要領に沿った教育は、履修範囲としては正しくとも、
履修構成・順序としては有害でしかない、という立ち位置である。
 一教科にしても膨大な知識を頭に入れるには、
体系化するしか道がないのは学問の歴史が証明するところである。
 知識を絞って全部を一通りみせることも、
逆に知識の行間を最新の知見で埋めつくすことも、
私のいう意味での「体系化」ではないということは
受験生・読者諸氏にはわかっていただけていると思う。

アドバンスの‘つづき’
村田代表のブログでも綴られているが、今年度の生徒たちは
例年にも増してやる気に満ちているし、それに行動がともなっている。
連休明けでおこなった実力確認テストで、体系化学アドバンスのクラスの
人員を絞ろうとしたが、さすがに2-3月からスタートしたこともあり、
ほとんどの生徒がアドバンスの授業に参加可能ということになった。
すでに『体系化学』を学んだ者、およびそれに匹敵する者という条件である。
それは要するに、どの順序でやっても大丈夫、
すべて同じように解けることがわかっている、ということである。

……ということなので、今年のアドバンスの授業は、
「後ろ」からやっている。
すなわち、例年は、一応、体系化学に沿ってそのレベルアップをはかるのだが、
その順序を逆にして、二学期の終わりにやるようなことを先にもってきた。
テーマ1は「緩衝溶液」、テーマ2「多段階電離」、
テーマ3「熱化学第三の基準」、テーマ4「燃焼反応」・・・・・
という具合である。一学期は、「分子量が不明の反応公式6」で〆た。
すべて、入試での分水嶺となるテーマであり、そこで差をつけられたら
俄然有利となるポイントについて、徹底的に研究し演習し尽くす。
データベースその他から入手しうる最大量の問題を収集して、
易から難へと配列し直し、体系化学的解法を貫く訓練をする。
問題数は、1テーマで10〜20にも及ぶ。
やる順序は、なんとなく流れで決まる。
要するに私がやりたいことをやりたい順に気ままにやる。
「体系的」なのでそれでよいのである。
すでに『医大受験』の体系化学アドバンスの連載で
取り上げたテーマも含まれているが、それらはさらに先へとすすめ、
残念ながら連載に至らなかったテーマは、連載のつづきとして
原稿データレベルの小冊子テキストの形で完成させつつ進んでいる。
いずれどこかでお目にかけることになろうが、
たとえば、「平均分子」は半端ない!、ヤッベーゾ!! 
といいたくなる域へと進んでしまった。こんなものまで平均か!!!!!と。
『医大受験』vol.5では、1st Stgae のみの扱いであり
以下のように結んだ。

もちろん、「平均分子量」の効用は、ここに 示したレベルに留まりません。

今回は、「平均分子量」のイメージを紹介するための基本演習にすぎません。

むしろ、その 真価はもっとボリュームのある「難問」と言われる問題に

立ち向かうとき顕著となります。

それらについては、いずれ稿を改めて説くことにします。


残念ながらそれは誌上では果たせなくなったが、
体系化学アドバンスの現実は力強く進行中であることを
ここに記しておきたいと思う。
posted by Koujin Amano at 09:23| 体系化学

2016年05月31日

[91] 体系化学・二題 つづき

前回のつづき・二冊目
『化学の新体系』(啓林館・谷川芳雄)は
元灘中学校・高等学校教諭による,灘中高での化学の指導を再現した1冊
とのことである。
実は、本書は、出版前からあるルートから情報は入手していたが、
出てみれば「新体系」とは中々チャレンジングな書名である。
啓林館の教科書編集に長年かかわってきた著者の灘高退職記念出版ともいえよう。
優秀な灘高生は教科書ではきっと飽き足らないから、かれらを退屈させずに、
授業を成り立たせるためには、そこから知識の枝を伸ばしてやらねばならぬ、
そういう内容に満ちている。
ただ、読めるようにはなっていない。教師向けではある。

★ 授業の展開がイメージできる,板書例を中心にした紙面構成

とあるように、板書したうえで何事かを語らねばならないが、
それは語られていない。むしろそれを元にど何を語るかのDVDがほしいところ。
だから、授業用ノートをベースにした退職記念本といったのだが
そこはおなじく高校の化学教師である『化学の新研究』の著者とはちがう点である。
まあ、厚さがちがうから仕方ないが、参考書としてつかうには、
使う側の力量が必要である、ということは両書とも共通である。

では肝心の「体系」はどうなのか?「原理」が掲げられているのか?
といえば、あるにはある
  化学結合に基づいて物質を完全に理解できるように,
  粒子運動のエネルギーに基づいて物質の化学反応の考え方を理解できるように

というコンセプトでの図式が与えられている。その何かはあるようだ。……が、
それが全体にどう一貫しているかについては解説がないし、
今のところ私には読み取れない。これは、授業を聞くしかないのかな……と。

以上、二冊の「体系化学」について所感を述べてきたが、まあ、とにかく、
昔も今も、参考書や問題集から体系的な何かを期待して、受験生読者が
そこから体系的な何かを読み取らなければならないというのは、
止めにしていいのではないか、そう思った次第である。  《この項・了》
posted by Koujin Amano at 18:19| 体系化学

2016年04月30日

[90] 体系化学・二題

体系化学ないし化学体系
 この春、「体系化学」との名を冠した学参が市場に出た。
もっとも、『思考訓練化学』の改訂版ではないし、
互いにまったく縁もゆかりもない存在である。
もちろん、こちらに事前予告などはなかった(^o^;)

両書とも入手したので(どこぞのサイトの書評のように、書店で斜め読みした程度で
テキトーに書き散らすようなことは、さすがにしませんよ・・・)
簡単ながら、感想を(書評なんておこがましい f^_^;)記しておきたいと思う。

1.『体系化学』(教学社・北角 巌著)
いわずと知れた‘赤本’の教学社である。実は教学社は、京都の左京区岩倉にあるのだ。
京大よりはかなり北ではあるが、学生の頃、その辺りは
「原チャリ」で塾講バイトで通った憶えがある。HONDAのJOGはよく走ったなあ・・・。

本題に戻ろう。
著者は関西の予備校講師を経て、今は金沢の高校教師とある。年齢は40代前半。
私の再受験歴を差し引くと、まあ、だいたい同じような時代の受験環境を生きてきたのだろう。
あの、予備校の講師がもっとも輝いていて、リッチで、憧れられ、師として仰がれた時代である。

「体系」ということに関していえば、私としては「体系でもなんでもない」というしかない。
まちがいなく、「体系」の定義がちがうのだから。
私のいう「体系」とは、読者諸氏には改めて説くまでもまでもないが、
 「一つがすべてであり、すべてが一つである」
との「まえがき」の一言に尽きている。
論理化とは具体からの抽象であるから、その論理化の行き着くところは「原理」となる。
その原理が冒頭に掲げられているか否かが、体系的かどうかの唯一の判定指標である。
その点から眺めてみる。
「はしがき」にはこうある。

 化学の入試問題の解答に必要なのは「原理の理解と正しい知識」そして
「知識を活用する力」です。・・・後者は問題集によって養成されます。
この本は、その後者の力を養成する待望の一冊です。

なるほど。ちなみに、前者は「授業や参考書」で得られるそうである。
つまり「原理」(や「知識」)は習得済みであることが前提らしい。
ならば、その原理を提示している参考書が著作としてあるのかと思って
紹介をみれば、『大学入試 萌えわかり化学反応式 重要パターン50』と。
・・・あとは推して知るべし。

掲載順 本書は「化学基礎」「化学」の教科書の内容順に掲載しました。
学校で習った順番で演習できるようになっています。

レベル @基本問題、A発展問題、B応用問題のうち@,Aを掲載
パータン @分野別問題とA融合問題のうつち@に絞り掲載
テーマ 各分野、テーマ毎に問題を選定。各分野のテーマを網羅

世間一般的には、これが「体系」というイメージなのであろう。
 単元別、テーマ別に整理整頓、基本から応用へ
しかも教科書に準拠。なんの問題があるのか!!

実はこれは、超ロングセラーの「体系物理」(教学社)とおなじ構成である。
私も高校時代、指導者のいない地方に住み、物理の学びに悩み、
その名称に惹かれて購入し、最後までやってみた口である。
その問題集が営々と引き継がれ(解答は昔より数学的にレベルアップしてましたね)
今に至るのはすごいことで賞賛に価するが、同時に、
テキスト・参考書としての「体系物理」という著作が存在しないのもまた共通である。

「体系」という名に惹かれて手に取る受験生は、教科書や授業に飽き足らず、
それでは求めるものが得られず、でもその何かかが分からず、その何かを求めるのでろう。
少なくともかつての私はそうだった。・・・・だからこその私自身が自らに出した答えとしての
思考訓練シリーズの『体系化学』であった。

しかしながら、本問題集のためにいっておくと、『思考訓練体系化学』を学んだものにとっては
演習するにはよい問題集である。体系的な学びのあとには順序は関係ないのだから。
ただし、それはどの問題集でも同じだということとともに、
解答解説は『思考訓練体系化学』的に書き改めることとなるが。
まあ、それはそれでよい練習である。
とはいえGHSでは、解答書き換え練習台としては『重問2010』を採用しているので
あえてこちらに換えることはないが、
しかし、「はしがき」の趣旨からすれば、そのように使うのには適切であるには違いない。
                                         《続》
posted by Koujin Amano at 17:00| 体系化学

2016年03月11日

[89] 高校1,2年生と『体系化学』

 近況異変
 実は今年の春は、「異変」に取り巻かれている。
といっても、ポジティブな意味で例年と動きが異なっているということなのだが。
一つには、GHSでの28年度生のための「体系化学」の授業がなんと!
2/12から開始となっているのである。
というのも、今年は例年に輪をかけて早々からの入塾者がいるとの報で、
いつもはオフで過ごしている時に顔を出すと、なかなかやる気に充ちていて・・・
ということから、早期入塾の心意気に応えて、物理と化学の講義を開始したのである
例年なら、四月の1週目にイントロ講座をやり、さてスタートという流れで、
この頃は数学のセメントなどを進めている時期であるから、二ヶ月前倒しである。

 二つの理由
これには、主に二つの理由がある。
一つには、医学部の、特に私立医学部の難易度がさらに上がったことだ。
たとえば、A君は京大理学部に合格したのに、なんでこの私立に落とされるの?
というような摩訶不思議事例を筆頭に、きっと数年前なら合格しているはずの
実力の者が入れないという異常が常態化している。
 そういう者達は、本物の学力を問うてくれる試験を苦労して作り
丁寧に採点してくれる大学を目指すしかあるまい。
実力があろうとなかろうと、ほんの一点二点差の団子レースになるような
試験問題自体が問題なのである。
そんな状況を早々に感じたからこその早期スタートでもあった。

いま一つは、高校1,2年生の個別指導の回数が重なってきて、
私自身の視点がシフトしてきたということにある。
その内の一人の高1生は優秀で、すでに体系化学において高校の進度に追いついてしまい、
半分は漢文でもやろうか・・・・といって『漢字海』を傍に漢文入門をはじめたところ。
いいなあ、「贅沢三昧」というしかないね。部活をしっかりやりながら、これだから。

ただ、高校生は、たとえば有機化学などは三年生になるまで
未履修であり、『体系化学』でもいくつかのネタをカットせざるを得ないものであるが、
いずれにせよ、そういう基礎も頭もできてない三年をすごしてからGHSに入って来る浪人生は、
「遅い、遅いよ!!」と感じてしまう。だから、せめてもの前倒しなのである。

『体系化学』は浪人生用!?
 「まえがき」にあるように、『体系化学』は再入門書である。
GHSで浪人生を相手に、一発逆転の方法を説くものである。
だから、高校生の独習は難しいだろうな〜という思いがあった。
もちろん、読者倶楽部の会員には、高校1、2年からお便りをくれる人があるが、
それは少数派であった。しかし、個別指導の形で細部の進度や、説明の深さ・浅さに
配慮してあげれば可能(考えてみれば当たり前であるが)とわかってきた。
いま、高校一年生用の『体系化学』カリキュラムと高校二年生用の『体系化学』カリキュラムの
作成が着々と進んでいる。おかげで、「化学基礎」とかいう教科書の内容・構成もわかってきた。
何でもそうだが、要するに内容は同じでも順番が大切ということである。
たとえば、公立進学校の高校一年生の場合、基礎公式は5までやったら、
酸塩基から酸化還元に進むが、
これが私立の一貫校だと基礎公式は順番通りでよいという具合である。
GHSでは一つの授業は、年に一回しかやらないし、同じことを何回やると飽きてしまう質だが、
個人指導の場合は、範囲はちがうが、同じ教材を数人に指導する。でも内容は同じようでちがう。
一人一人のカスタマイズをやっていると案外飽きないものだということにも気づいた。

個人指導をしている人にとっては当たり前のことをいっているように聞こえるかもしれないが、
私としては、高校一年のときにやるべきだった思考の訓練、読むべきだった本・・・
道がわからず、ずいぶん無駄な、回り道をしたものだ・・・・そういう思い出を再生しつつ
過去を編集・再生する、そんな楽しみを見出している此の頃である。
posted by Koujin Amano at 18:47| 体系化学

2016年02月18日

[88] テキストの公開と新規テキスト

すでに5つ
 GHSのHPを見た方は気づかれたことだろうが、「テキスト公開」のボタンをつくってもらった。
昨年、東北大学の工学部に勇躍合格を果したH田君が、休みのたびにGHSを訪れてくれて、
惜しみない協力をしてくれたおかげで、今回トントンと仕事が進んだわけである。

 調子に乗って、というべきか「体系化学」も「体系物理」も「漢文基礎句法ドリル」
相当の分量アップできたので、なかなか壮観である。
 もちろん、これでは止まらない。有機化学重要問題演習の解答解説編は、(2),(3)……と
つづいていく。この電子ブックソフトは、更新ができないので、小分け・小出しにするしかない。
それはそれで好都合である。『体系化学』は若干の形式的な修正を加えつつ、
2nd Stgageもダイジェスト版でアップしようと思っている。
『体系物理』も、もう少し中身を足しながら(授業で板書する部分は空欄なので・・・)、
引き続きアップしていこうと思う。力学編もそうだが、体系性からいえば、
是非に熱力学の立体的構成をみてほしいものである。

というのも、先般記した通りに長期的展望としては、『思考訓練シリーズ』はGHSに継承されるが、
それまでのタイムラグが少なからずある。その間の読者の便宜をはかるということが目的であり、
育文社の山田社長からは、公開について快諾をいただいている。

今年は新たに
 GHSでの私の授業はほぼテキスト化されているので、
プリントを配布する量がめっきり減った。ブリントの良さは機動性であり、
テキストとしてきっちり決めてしまうと、広がりや柔軟性を欠くという欠点もある。
したがって、「テキスト」として固まるまでは、毎年、試行錯誤と差し替えの連続である。
その積み重ねでテキストの姿が浮かび上がってきて、カタチとなる。
そうやって『体系化学』もカタチになった。

 今年、新たに(かつ、化学としては最後になる)テキストが合本・製本されることになった。
これは「定性化学」の問題演習テキストである。
実に、1900年代から18年分ものセンター試験の全出題を、四つのpartにわけて、
系統的に配列編集したものである。
 この試み自体は、GHSの授業において、2000年代後半からつづいていたのであるが、
ようやくに有機を除くすべての分野(したがっていわゆる「無機化学」を含んでいる)が、
繰り返しながら深めていくセメント&ドリル形式の学習に資するような配列を
ようやくにして完成したということである。
実際、高一生にも、校二生にもテキストとして使える配列になっている。
 今年度は、partごとの小冊子コピー印刷で済ませてきたが、新年度からこれを合本として、
簡易製本することとした。有機化学、体系物理につづく合本テキスト化である。
ページ数は130頁ほど。もっとも、問題だけが並んでいるので、授業を聞かない限り
その配列の妙は味わえないから、これを電子ブックとして公開するのは意味がない。
この解説を文字に起こすと、500頁を超える勢いなので、読む方も大変であるし、
むしろ、「動画形式」にしてみようかと考えているところである。
posted by Koujin Amano at 21:58| 体系化学

2016年02月05日

[87] 電子ブック作成・出来 テキストの一般公開を開始

 電子ブックを作成して、簡単に公開できる便利なサイトに登録したので、
さっそく、GHS体系化学 有機化学編テキストを130ページ分つくってみた。
容量の関係などあり高分子の前で分割したが、今後は数十〜100ページ程度の単位で
公開できると思う。
というのも、wordでつくっておいて、pdfに変換すれば、アップロードしてから
あとは自動的に生成してくれる。かなりの早業である。
テキスト自体は、そもそもwordでできているのであるから、その気になれば、
アップするものはいくらでもある。
こんなに簡単な作業なら、ちょっと修正加筆してまたアップすることも容易なわけで、
それが紙媒体と異なり、進化・深化を組み込みやすい点が素晴らしい。

 有機化学テキストについては、このブログで昨年、実物を(会員価格<原価)販売したが、
すでに残部少なく、今年の生徒の分があやうくなってきたことから、
これ以上実物を提供できないのでまずはデジタル化した次第である。

 あくまでも授業テキストなので、いくつかはあえてブランクにしてあるところがあるし、
授業でプロジェクトターを用いてビジュアルあるいは動画で解説する部分もある。
これらの点については、おいおい補っていくつもりであるが、
動画やリンクは埋め込めないので、別の表現手段になるかもしれない。

 この中に、入試例題が載っているが、これは「有機化学演習」と「化学重要問題集」
二冊ずつからの抽出である。
「有機化学演習」は私が受験時代に使った旧版と、現在市販されているものからの
いいとこ取りであり、重要問題集の方も、5年ほどの間隔のあいた二冊からの
(毎年二割くらい差し替えるらしいので)セレクトである。
名付けるならば「有機重要問題演習」( ^ω^ )である。
類題演習とあわせて、40問ほどになった。
有機化学のコアを授業で伝授するのに必要十分なセレクトであり、
枝葉的問題は後回しにして、テキストと並行して進めるように配列しなおされている。


「有機化学演習」は問題はしっかりセレクトされているが、
ご存知のようにテキスト的部分が薄い。あれはポイント集以外ではない。
かといって解答・解説はテキストの役までは果たしていない。
私が受験生の時は、すでに大西化学を習得していたので、他流試合には丁度良い問題集で
一ヶ月程度でやってしまったが、ここから有機化学を学ぶという仕立てにはなっていない。
「重要問題集」に至っては、問題の解き方の統一性がなされておらず(分担執筆だろうから)、
かといって本家のチャート式と連動しているかといえば、そんなことは昔も今もなされていない。
事業部が縦割りなのか? チャートの「チ」ほどもリンクされていない。

もっとも、問題自体は大学入試問題なので、どこから抽出しようと、両者の著作に了解をとる
必要などない。本体は、解説・解答の充実にあることはいうまでもない。

これは、授業で板書する内容なので、本来はデータ化していないもので、
そんな意図も、暇もないのが私の現実であるが、そこはやはり読者倶楽部の絆のなせる業、
このブログでもたびたび紹介した現役高校教師である「とっとさん」が
年々歳々GHSの授業を聴講しつつ、実力を蓄え、原稿に起こしていただけることになった。
というより聴講しつつ現場で実践するという繰り返しの中で、
「とっとさん」自身の文章として書けるようになった、というべき内容になっている。
私よりも断然真面目で緻密な方であるので、私の解説授業よりも実に丁寧で、
手取り足取りの行き届いたものになっている。以下を参照されたい。


 このよう教育メソッドの探求に熱心な先生に教わる生徒は実に幸せである……
とGHSの授業で浪人生に話すのは酷ではあるが、あえてそのようにいうのは、
「人生は人との巡り合わせ」による運不運があるという現実を伝えるためもある。

現時点では、入試例題4までの4問ではあるが、解説はA4版で6-7ベージに及ぶ。
これを紙の本にすると、40問でゆうに300ページにもなってしまう。
そういうことを気にせずにすすめられるのが電子ブック媒体の利点である。
posted by Koujin Amano at 18:23| 体系化学

2016年01月18日

[86] 『体系化学』の行く先

2008年の候に生まれし由
 「まえがき」に書き記しておいたように、GHSでの浪人生向けの授業の
結晶化として、『体系化学』を市販公開したのが2008年。
そう、あくまでも、高校で化学を学び損なった、いやいや学んだとは
とてもとても言い難い浪人生を前にしての「大いなる希望」が形となった。
雑然としていて、濃淡ありありで、得点になりそうもない知識の残骸を、
「一から学び直す」というだけでなく、体系的に学び直すことを通して、
大逆転を果たすし、頭の働きそのものを良くするGHSメソッドの一環として
そしてそういう本物の学びを求める受験生との紐帯となるようにとの願いの下、
市販物として仕上げたのである。

そこから二つのオリンピックイヤーを経て、改定版の話を折に触れて述べてきたが、
それは主に形式的・見栄え的・使い勝手的なものと思っていた時期がある。
なんとなれば、体系的な論理構成そのものは、今に至るも何一つイジる必要はなく、
「化学アドバンス」においてはますます威力を発揮しているのだからである。

新たなる、しかし当初から温めてきたもの
 出版当時のGHSの環境と私の実力と暇とからは、
「浪人生のための再履修テキスト」という位置付けがベストであったし、
それ以外の射程を考慮しないことでこそ「形」にできたのだと思う。
 しかし、まさにそれが産み出された瞬間から、頭の中で巡っていたのは、
それでいいのか?という問いであった。
 つまり、高校で三年間、ムダ(といっては失礼だが事実なので)な化学の授業を
受けて、入試に立ち向かう実力がついていない、というのが前提となる。
そこにとどまっていいのか、ということである。
 市販したおかげで、高校生の読者からの感想も届いたし、
高校の現役の教師からも意見をいただくようになった。
幸いながら、高校生が使っても役に立つことは十分実証されはしたが、
それでいいのか?という問いは未だ解消してはいない。
しかしながら、GHSは高校生コースはあるものの、主体は
浪人生であり、その授業にまざってもらうしかない、という状況が
ここしばらく続いていた。

・・・・・・そこで、というわけではないのだが、その転機は成り行き的というか、
必然のながれというか、訪れて来てくれたようである。
『体系化学』は、化学のできない浪人生を目の前にしたからこそ成ったのである。
ならば、高校生の学びに資する『体系化学ジュニア(仮称)』( ^_^)/は、
高校生を相手に実践することを通してしか構築することはできまい。
その当然の理屈を実践する契機を手にしたのである。

実践の場からしか生まれないのだから
 もったいぶった言い方になったが、要するに、高一生と高二生の指導をすることに
なったわけである。地方の県立の進学校の真ん中くらいの成績。国立医学部志望。
潜在的な能力はあるが、そのままでは浪人する確率はかなり高い・・・、というところ。
GHSのHPの合格体験記にでてきそうな、しかし、まだ現役生である。

集団授業ではない。各々1名ずつ、完全個別指導である。
学校の進度、内容、レベルを確認しながら、体系化学を高校生に学ばせるには
どういう順序でどのように進めれば良いかの潤沢なるデータを
与えてくれるわけであるから、知人の紹介ではあるが喜んで引き受けた次第である。

いずれ詳細は語る時がくるであろうが、週一回二時間で、10回ほど経過。
高一生は「化学基礎」とやらをやるわけであるが、
すでに学校の進度に追いついてしまい、これからは学校の進度に合わせて、
『体系化学』演習とGHSの定性化学テキストを指導するので、
定期考査の前には、改めて勉強しなくてよいくらいになる。
すると他の科目に時間がかけられて・・・
高二生は、基礎公式がほぼ終わり、三月いっぱいで、『体系化学』を一周する
計画である。つまり、三年生になったときには、『体系化学』の二周目、
化学アドバンスの世界の扉を開くわけである。
自分でいうのも何だが、「いいなあ〜俺もそんな高校生活送りたかったよ
というのが本音。心の中で羨望し和み愉しんでいるかつての自分がいる。
「あとがき」に記した苦い思い出が、甦りつつも昇華しているからだ。
                                《続》
posted by Koujin Amano at 12:47 | TrackBack(0) | 体系化学

2016年01月06日

[85] 育文社を送るの辞2

 継承
 ここまで読んで来られた方は、ふとorどうしても気になることがあるかもしれない。
「『医大受験』は終刊でよいとしても、思考訓練シリーズは一体どうなるのか?
「通添オリオン」の貴重な遺産はどうなるのか?」と。
具体的・詳細な話はまだここではできないが、すでに決定した方向性だけは、
読者諸氏にお伝えしておかねばならないかと思う。
「安心してください!! Σ(´∀`;)基本的には、それらはGHSが継承することになりました。」

故・多田先生の御家族の意思もあり、思考訓練シリーズの管理はGHSが引き継ぐーー
それが、シリーズ続刊を唯一出したGHSとしての当然の使命であり、それが自然な流れであるとは、
御家族ならずとも誰もが妥当と感じられるであろう。
その真の価値と継承の大事性を理解できる者でなければ、いつのまにか商業主義に毒されて、
この文化性を歴史から消え去るのを止む無しと思いかねないであろう。
 育文社が、その選ばれし者であったと同様に、GHSもまた
その文化性を継承・保存する位置に立ったということである。
それとあわせて、「通添オリオン」の資料も大切に厳重に保管させていただく。
できれば粛々とデジタル化をすすめて劣化を防ぎ、永遠の命を与えておくべきと考えているところ。
 そして、育文社が『思考訓練英語』を市販化し、かつ、新シリーズ続刊という発展を果たした
のであるから、GHSとしても継承・発展を志すのは当然の義務であろう。
 《 偉大なる知の魂は、居場所を変えつつも
        その度ごとに成長を絡めながら、継承されていくものである》

『体系化学』の今後
 出版社が閉じるわけであるから、『思考訓練』シリーズは現在出回っているものを限りに、
市場から姿を消すことになる。育文社刊の思考訓練シリーズは在庫なくなり次第絶版である。
在庫についてはGHSが引き継いで販売チャンネルを設ける可能性があるが、
その後については未定である。
 ただ、確実に言えることは、GHSに継承されたことは間違いなく、どういう形であるにせよ、
近い将来「復活」する、ということである。
しばらくは雌伏の期間となり、残念ながら来年度は『体系化学』の読者倶楽部会員の
新規登録はなされないことになろう。
 とはいえ、このブログでも再三述べているように2016年に向けて、改訂版の準備は
すすめてきており、DTPの勉強もして、新たなスタイルでの改訂版の原稿を
1st Stageくらいまでは書いているのである。
一度は絶版になるなら、かえって制約がなくなるので、改訂版は「予告編」として早々に
GHSのHP上で公開して100ページ位は無料立ち読みできるようにしてみようと思う。
 さらに、有機化学テキストや体系物理テキストそのものはHPを訪れる受験生のために
公開してよいだろうと思っている。こちらは授業とあわせての仕様なので、
それで授業を受けたいかどうかのマッチングの判断をしてもらえばよい。
公開してもそれだけでは他者には使いこなせないだろうから。
 色々とお待たせしている読者受験生にはいつも申し訳ないと思っているが、
このように加速する時代状況の波のうねりの中での、
絶え間ない前進を図るためにやるべきことは山のようにあり、
今いる生徒に向けての授業もあわせて思うように進まないことへの
いかんともしがたいはがゆさはある。とりあえずは、当面1月中のGHSのHP、
テキスト公開のコーナーに注目しておいていただきたいと願うものである。
posted by Koujin Amano at 10:03| 体系化学

2015年12月15日

[84] 育文社を送るの辞 1

 74年の歴史
 ご存知の方をいることだろうが、長年、GHSの ‘パートナー’ としておつきあいのあった
広告・出版の育文社が、この12月をもって、2代にわたる74年もの歴史の幕を静かに閉じた。
 それなりに事情を知る者として言えるのは、様々な要因があるものの、
山田社長が齢を重ねてきて、漸くにして、次なる人生のステージへと歩を進める決断をした、
ということである。
 もちろん、一般に出版業界を取り巻く環境は厳しく、倒産の憂き目にあう同業社は
後を絶たない状況にあるから、大きく業態を転換してデジタル社会に対応して生き抜いていくか、
それとも潔く会社を畳むか・・・・・・との葛藤の中で後者の道をとった、ということである。
 私が、人生の大先輩たる山田社長の歩みを評価する立場にあるとは思えないが、
一肩ならぬお世話になった身として、その功績をわたしなりに記しておきたいと思う。

「思考訓練」シリーズを世に出したことの意味
 ご存知のように、不朽の名著「思考訓練の場としての英文解釈」は、元々市販品ではなく、
今から30年以上まえにあった「通添オリオン」の会員限定の書籍であった。
今は「Z会」と後発の「進研ゼミ」くらいしか通信添削はないようであるが、
昭和50年代、オリオンとともに「大学への数学」(東京出版)には『Z会』
『一橋の通添』『英協の通添』などの広告が所狭しと踊っていたのを覚えている。
 その広告代理店として関わってきたのが育文社であり、
その縁からかオリオンが会社を閉じる際に版権を譲り受け、
『思考訓練英語1,2』『同 現代国語』を世に出したのである。
これは受験界の不朽の功績といってよい。
会社とともにこの世から消える運命から救い出し、30年以上たった今でも、
毎年何千もの受験生を感化し、救っているわけであるから。
合格体験記でその存在を知った私が、会員限定ということを知らずに
ほうぼう探し回ったという話を、この思考訓練化学のHPに記しておいたが、
わたし自身もそのままお目にかからずに終わるところであった。
 また、その「通添オリオン」の膨大な資料を育文社が継承し
保存してきたことも重要である。その一部は『医大受験』誌上で公開されてきたので、
当時の受験生として懐かしく読まれた方も相当数いると思われる。

育文社とGHS
 GHSの開校は1993年、当時から『大学への数学』を主に広告を出してきたことから
育文社との営業的関わりがはじまったのである。
 当時は山田社長も50代、バイタリティー溢れる働きぶりで、
長年にわたって様々に斬新な企画を提案されてきたが、美大出身という腕を活かしての、
オリジナルなイラストやデザインを添えた提案は、ハッとさせられる企画内容とともに、
目をも楽しませてくれたものである。
ここからは手前味噌になってしまうが、育文社から出版された『思考訓練の場としての英文解釈』を
紐帯として、2006年あたりから『思考訓練』シリーズ新刊・化学の出版に向けての
企画が進められていく。そのあたりの経緯は、本HPの出版の経緯に記した通りである。
かくして、2008年に『体系化学』の出版となるわけであるが、そこから数えても
すでに8年を経過した。第二版の増刷を繰り返し、望外に多くの方の手に届き、
多くの読者倶楽部への会員登録をしていただき、会員サイトの中で交流できたことは
著者として喜びに耐えない。
会員の中から、様々なかたちでGHSにご協力・ご助力いただける人材を得たこと、
これはかえがえのない財産である。
 さらに、2011年末には季刊『医大受験』が創刊される。
お気づきの方もおられるだろうが、150-200ページのうち、1/3のボリュームは、
私と村田代表と数学の依田先生が書いてきたわけである。
医薬エッセイ5-8頁+化学二つで12頁+漢文12頁+・・・
「ウチは、GHS出版部だ、と公言しています!!」という笑顔の山田社長のトークが耳に残っている。
その『医大受験』は昨秋16号をもって育文社とともに終刊となり、
4年間にわたる連載を終えることになった。

 三ヶ月に一度とはいえ、これだけのページ数を書き続ける
(ついには体系物理や有機化学まで書き始めたが・・・・)ことは
かなりの重労働(?)であったが、とても楽しかった。
『体系化学』のような単行本では、全体の原稿が完成するまで世に出せないが、
連載の形なら、三ヶ月に一度まとまったページを書いていけば、いつかは完成する、
という機会が得られたからである。
 おかげで「体系化学アドバンス」をほぼ書き上げることができた。
特に、4回にわたって(つまり一年かかった)「電池の歴史」が完成したのは
連載のなせる業である!! 時間をかけて歴史的資料もふまえての原稿であるから、
GHSの授業でやるより随分詳しく精緻になり、
その過程で新たな知見・発見があったことである。
 さらに、『医大受験』の連載が先行した形となったが、新シリーズ第二弾として
『漢文解析』を2014年に発刊することとなった。
『体系化学』発刊の直後からはじめたことは、有機化学テキスト、体系物理テキスト作成、
化学アドバンスの授業などであるが、往々にして私は中々まっすぐ進まない人間であるので、
(・・・私自身もなぜ?と思っている面もあるが)『漢文』が先に原稿としてできあがってしまった。
あえて、言い訳的な理由をあげれば、「そのなかで漢文が一番好きだから」ということになろうか。
 そうやって、GHSでの膨大な思考・実践の中身が、文字として置かれることとなったおかげで、
有機化学のテキストも、体系物理のテキストもついに冊子としてまとまった。
ここ二年は、そのテキストを用いての授業となったので、
化学のテキスト二冊、物理、漢文での配布プリントが激減した。
 その中で、確認テストとか、補充の問題・資料のプリントなどを保存するが、
私の書庫をみると最近はファイルが年々少なくなっていることが見て取れる。
それも、これも、あれも、育文社との協働が産み出した成果なのであり、
しみじみと、つくづくと、感謝の念に堪えない。
山田社長には心底よりお礼を申し上げたい。《続》
posted by Koujin Amano at 08:20 | TrackBack(0) | 体系化学

2015年10月22日

[83] Tool & ツール

『体系化学』への道……Tool 思い出話
 2008年に『思考訓練の場としての体系化学』を出したとき
その実現に貢献した最大のツールは、MS Office2004であった。
先日たまたま昔のファイルを開いたついでに、1990年代までさかのぼってみた。
office のWordで作成された最も古いものは2003年度のものである。
これは、office 2001のWordバージョンで書かれたものである。

それ以前のテキスト・プリント類は1998年から2003まで、主にMac専用のワープロソフト、
クラリスワークスで作成していた。Mac がPerforma といっていた時代。
私が、GHSにかかわったのは1993年の開校してしばらくの1995年くらいからだった。
医学部五年生であったか。

それまでは、ワープロ専用機が隆盛で、私はCASIOのDarwinを使っていた。
これで大学のレポートや授業のプリントや手紙を書いたりするには便利だったが、
分数等の数式の入力さえできない、という欠陥があった。
つまり、化学基礎公式さえ入力ができないのである。
図を書くのも簡単ではなかった。予め入っているイラストなどはあるが、
年賀状とか簡単なチラシを想定していて、化学テキストの記述には耐えなかった。

そのとき登場したのがword 2001である。数式オプジェクというオプションによって
数式を自在に入力できるようになった。もっとも、その時点でTex(テフ)という
数式入力専用ソフトがMac用で存在したが、化学の四則演算を入力するには「牛刀」にすぎた。
Word 2001の登場が、『体系化学』を文字として残そうと思う背中を押してくれた。 

『体系化学』からの道……Tool & ツール 
 この一月半ほど、更新が空いてしまって申し訳なかったが、大いなる過渡期、
移行期であり、新たなるツールになじもうと格闘していたためである。
 その第一は、2学期から三週目の授業から、プロジェクターを使うようになった。
漢文も化学も、物理も、パソコンの画面をそのまま投影できるので、
テキストや問題をみせながら、板書することができる。

文科省の「デジタル黒板」とやらの事業のおかげで、ここ3-4年でプロジェクターは
すごい進化を遂げていることに気付いた。
よく薬の講演会や学会発表などで、スライドをもちいてのブレゼンテーションに触れる機会が
多いことも背景だが、最新のプロジェクターには、「単焦点モデル」があり、たった1メートルの
距離で黒板よりも大きな投影が可能である、というだけではなく、
光源が強力になったおかげで、いちいち室内を暗くしなくても投影できる、ときた。

しかも、デジタル黒板機能として、その投影した画面に書き込みまでできる。
もっとも、パソコン画面に直接書き込めばよいので、その機能はまだつかっていないが。

スライド作成といえばOfficeのPowerPoint も今や善き友(ツール)となっている。
Wordで作成した文章のエッセンスをPowerPointとしてスライドにしている。
これで、板書にかけていた時間は不要部分はカットできる。

たとえば、化学計算原理は、どの化学計算の場合も、トップに掲げたいが、板書ではムダな手間。
しかし、画像なら毎回提示することができる。つまり、体系化学的思考の流れは常に提示でき、
それが具体化していくプロセスを学ばせることができる。
 漢文だって、文や訓点を書くのはかなりり手間であるが、それは投影すればよい。
その時間の分、内容や文法や背景についての説明に使うことができる。
もちろん、フルカラーであるから、化学物質の色の変化などは言葉だけではない視覚像として与えられる。
必要とあらば化学実験の動画を再生することもできる。

ホントウは、『体系化学』は、こういうフルカラーで動きのある世界なんだということが、
ようやくに表現できるツールを得たと実感している。
その意味で、Word2001が登場して私のやりたいことを叶えてくれた時以来の、そしてそれ以上の
インパクトツールを手にしたことになる。

先般予告したデジタルブックはフルカラーで、ページ制限もなく、動画もネットへのリンクもある、
そういうものになる。ただ、それは新しいものではなく、2000年前後から、GHSでやってきたことを
別の形式で、それにもっとも近い形で表現することでもあるが、と同時に、黒板と紙媒体の授業では
飽和し、限界に達した内容が、本来あるべき姿で展開することにもなる。

まだ詳しくは語れないが、その中身は、近く、あるサイトで一般公開できることになるだろう。
そういうパートナーを得たことも、ツールを超えた出合いとなることだろう。

  

posted by Koujin Amano at 14:55| 体系化学

2015年08月31日

[82] 夏サマリー

夏のサマリー
この夏も色々と各方面で忙しくしていたなあと振り返る。外は信州、秋の虫の音に包まれている。
・本業の方で仙台と横浜で学会に出席。週末が2回分消費。
  仙台はなかなか快適ではあったが、横浜の潮の香まじりの暑さは信州人には耐えがたいものであった。
・長年つかいこんだMac book airがついに起動不能となり、
  一週間、あれこれ手を尽くして「治療再生」のため格闘したが、断念。
  一学期間の貴重なデータを復元してもらうために、専門業者に依頼する自体となった。
  さいわい、良心的な業者であったのと、消費増税前に新型Macをかって温存していたので、
  以前通りの環境をようやくとりもどしたが、その間は、スマホをとりあげられた高校生のごとく?
  創作活動がその分停滞。データは100%復元できて安堵。
・毎週のように週末の夏期講習にてGHSへ。西新宿は暑いなあ。ホテルのエアコンも今や不慣れでキツい。
  信州は、湿度も高くなく、昼間の気温はかわらずとも、夜には気温が下がり快適となる
 (なので、我が家では、年に1-2週間、昼間から夕方しかエアコンは使用しない)
  この時期の東京が一番消耗する。「ウルトラマンは地球上ではエネルギーの消耗がはげしく
  3分しか戦えない・・・」というナレーションが毎週のようにアタマのなかで響いていた。
  まあ、それでも10数年は東京に住んでいたのだけれども。

・この最中『医大受験』vol16の最終稿と校正を仕上げた。
      最終号は、読者感謝号で、非売品であり、店頭にはならばない、という。
      もっとも、定期購読者には、プレゼントするらしい。
      入手方法については、詳細は育文社に問い合わせるとよいだろう。

そんなこんなで、ここ二・三年、8月後半はバテバテな感じになる。
もし疲労困憊・体調不良で休講するようなヘタレになったら、もはや「引退」だと思っているのだが・・・。
イントロはこのくらいにして、本題。

テキストと解説のデジタルブック化のこと
 最初に営業にやってきた業者は × 。
たかだかソフトを売りっぱなしのくせに、五年契約・数百万+毎月の管理費とか好き放題言うので、
問題外の外の外。一発目を外して、ちょっと出遅れた。
やはり、私のパソコンデータを救出してくれた、良心的な、腕のある個人商店がGHSには似合っているのだ。
その後、卒生の手も借りて、有望な業者を二つに絞り決定した。
やはり、村田塾長の「面談」を経て、正式な契約が済めば、スタートとなる段となった。
『医大受験』がでるのとどちらが早いか、というところか。二学期からスタートしたい。
それにあたって、現段階で計画されていることを列挙しておこう。

★HPの統合・・・思考訓練化学、思考訓練漢文解析のHPは、GHSのHPの「学習コーナー」に
統合する
「思考訓練」の化学と漢文は、在庫がなくなり次第、絶版となる可能性があるので、
「思考訓練」のタイトルとは独立のデジタルブックとして、実質的には改訂版を読めるようにする。
紙媒体の売れ行きを待っていては、改訂版はいつになるかわからないし、紙媒体の様々な制約を
一刻も早く脱したいからでいる。
★なるべく、無料閲覧可能なページを多くつくる。つまり、立ち読みが存分にできるようにすること。
すくなくとも、漢文解析の基礎編としての『漢文句法ドリル』は、『医大受験』vol16の初回掲載
を受けて展開していく。また、宮城先生の現代文のコーナーのつづきも閲覧無料とする予定。
★体系化学、体系物理、有機化学の基礎的部分(テキストの1/3)程度はHP上で立ち読み可能とする。
実際、『体系化学』は、本屋でしっかり立ち読みして購入したという読者が多いことに鑑み、
酸化還元の電池電気分解くらいまでのテキスト部分はフリーで読めるようにしようと思う。
★体系物理と有機化学は、GHSのテキスト購入者・会員登録者に対して、特に開始一年目は、
解答解説は無料で提供する。
大手とちがい、一気にアップすることなどできないため、作りながら掲載ということになり、
コンテンツがそろうのに時間がかかるかもしれないからである。演習問題は40問ほどあるが、
解説を授業レベルでデータ化すると、7-8ページにもなる。紙媒体では、これだけで300ページ
となるが、それでは本としてだすのは費用がかかりすぎる。単価も高くなる。
★動画学習サイトではない
よくあるのが、講師が生徒もいないのに、カメラの前で授業して、それを配信するというもの。
それで、●スクールも、■会の配信サイトでは年間1科目でコミコミ10万円くらいかかる。
昔みたいに、夏期講習とかで地方から東京の大手予備校の授業を受けにくるともっとかかるから、
そのあたりの価格設定でもあるのだろう。
そういう動画というのは、ずっと使い回すから、遊びも枝葉もなくライブ感がない。
旬のネタとかを盛り込んではいけないことになっているから、
やってる方もつまんないと思うんだけど。
最初は、授業そのものを動画でとっておこうかと思ったが、やめた。
それはもっとも楽な選択肢。動画というのはここぞ、というところでよいのではないか。
たとえば、アニメにすると30分で大して話がススまないが、漫画なら何冊か読めたりする。
それがヒントである。

とりあえず、今回はこんなところで。《続》
posted by Koujin Amano at 17:31| 体系化学