2016年11月30日

[97] 体系化学アドバンス・ハンパねーぞ

二学期の ‘アドバンス’
 前々回お知らせしたように、『医大受験』連載分の体系化学アドバンスは一冊にまとまり、
4年に渡った連載を一望することができるようになった。
GHS生全員には配布済みで、先に進みたいものは独習できるようになった。
何かが終わるということは、何かが始まるということ。
その胎動が二学期に次々と現実化した。

つまり、アドバンス(1)には収録されなかった、つまり『医大受験』では連載されなかったテーマでの設定とともに、執筆と問題収集と編集がすすんだということである。

今回は、そのなかでも出色の一つだけ取り上げることにしよう。
そのテーマは「無規定量分析」である。
誤植ではない。よくある「無機定性」ではなく、「無機定量」という設定である。
無機定性分析といえば、20数種類の金属イオンを系統的に分離する方法を主とするが、
多くの入試問題を分析すると、それでは、アドバンスレベルの演習には耐えないことがわかった。
定性はもちろんのこと、それを含む「無機定量」という視点での問題分析が必要なのである。

この作業は,ここ数年の入試問題を「無機定量分析」の視点から、
体系化学p.270に掲載の「塩の沈殿傾向」の表にそって,
150余の入試問題を系統的に配列する仮定で浮かび上がってきたものである。
すなわち、無機定性分析は、定量的扱いと切り離せないものであり、
溶解度、各種反応、および溶解度積と一体化しての出題となり、
いきおい総合力が試される問題が目白押しである。
その意味で、二学期後半から取り組むに相応しいテーマである。

この分析と編集には時間がかかったが、見事に150問余が
「塩の溶解傾向」を縦糸に、体系化学計算を横糸にして、系統的に配列された。
・・・もっとも、これに体系化学的解答をつけるのは、授業での地道な積み重ねが必要なので、
複数年かけてやることになるだろうが、他のどのテーマよりも出題バリエーションが豊富であり、
かつ対策がしにくいという点では、このテーマ設定はきわめて有効である、と思っている。

いずれ遠くない将来、公開することになるだろうが、
これだけでアドバンス(1)のボリュームに匹敵する展開となるであろう。                                                     《続》



posted by Koujin Amano at 08:29| 体系化学

2016年10月30日

[96] 蓋し止むを得ざる仕儀なるか

高校課程「再履修」?!
 今年から息子が高校生となり、一応はガンバって県立の進学校にすすんでくれたこともあり、
中学の時とちがって夕食後に、予習・宿題をみてやる機会がしばしばある。
ただ、そのほんどとは化学や漢文ではなく、数学ではあるが・・・。
因数分解からはじまって、数学Iを終えると、数学Aという私の時代にはなかった教科書も授業進度にあわせて少しずつ見る機会を得て、とりあえずは「再履修」をしている気分である。
 とはいえ、誤解無きよう。家庭教師よろしく、学習机の側で「はりせん」もってつきっきりのコーチをしているわけではない。
 リビングのテーブルで、私が一杯やっている横で、行き詰まったら聞いてくるというだけだ。「自分で考えて解決する」以前の、「知らないとどうしようもない」ものや、「あれこれ調べて時間をかけるより、聞いた方が早い」ものなど、睡眠時間をムダに削ることなく、健やかに高校生活を楽しんでほしいだけである。
……振り返ると、高校時代は、回りに聞く人もなく、調べる手段も限られていて、ムダに遠回りしたことが多々あったこと、それで疲れてしまったり、体調を崩したり、そういうこともあったなと....

新宿の本部で浪人生ばかり相手にしていると、教科書や高校の授業レベルをじっくりと観察する暇はないものだが、GHS長野校の高校生の個別指導もあわせて、今はコツコツと再履修ができているといえる。

そして、ようやくにして・・・
 まだ「体系化学」は渡していない。化学基礎の教科書の前半くらいでは、知識量も少なく、全体像が問題にならないから、とりあえず困っていないないようだ。本人が必要だと思うまでは、こちらからは薦めないつもり。
そんなことより、数学や英語がタイヘン…といったところか。
そんな折も折、化学の宿題ブリントについて質問がきた。

みると、手作りではない、いわゆる「業者プリント」で出来合いのヤツ。高校の先生はいいなぁと思う。GHSではすべて自前で解答も作り直すのに。
さて、四問ばかり計算問題がある。「予習していって、グループごとに解法を話しあって発表する」という。問題は、教科書の第一章にある「化学反応式」の範囲。
燃焼反応、沈殿反応、酸化還元、追い出し反応などの計算問題である。過不足があったりする応用問題である。
化学反応自体はならっていないのに、反応式を与えてあり、その係数をみて比で解く、ということだそうだ。
もちろん、そんな程度の指導では凡人には解けるわけがないので、ようやく化学の質問が来た訳だ。
化学反応について学んでいない段階で、こんな計算問題を解かせるのは有害無益として、GHSでは常日頃言っていることであるが、これは教科書がわるい、つまり指導要領がわるいのであり、それに追随する業者もまた無策で、私の高校時代から30年余経っても何の反省もないまま踏襲してきた悪弊である。とはいえ、それはお上のすることに従順にしたがっているだけのことで、やむを得えざる仕儀ではある。
 それがいよいよ我が身に迫って来た訳である。

そこで、化学反応公式8の本質部分のみを教えておいた。曰く、
 「両辺が、同じ物質のmolになるように立式せよ」
そうして、四問とも統一的な形式で、しかもたった一つの式で同じようにとけることを示しておいた。

はたして、翌日、その解き方で発表したそうな。生徒からの静かなどよめき「なぜ、コイツはこんな授業とはちがう解き方ができるのだ!?」と。そして化学の教師は「ノーコメント」だったそうだ。胸中はいろいろと察することもできようが……まあ、また密かに、次の機会を待つとするか。



posted by Koujin Amano at 00:00| 体系化学

2016年09月03日

[95] 体系化学アドバンス(1) prototype 公開しました

前回、育文社のレガシー継承という話をしたが、
それは、要するに思考訓練シリーズや医大受験の著作権・版権に関する
法律的な継承も付随しているということであり、それをうけて、
先駆けとして『医大受験』に連載した「体系化学アドバンス13回分」の
MOOK版の編集・制作をすすめてきた。

すでに、印刷入稿用データも作成できているが、これは発注から制作、
納入まで時間がかかるもので、電子ブック版の公開が先行することとなった。
早晩、GHSのHPでも告知されリンクされるであろうが、
書籍版を希望された少なからぬ読者受験生諸氏にむけて、当ブログでお知らせする次第である。

ちなみに、‘prototype’というには、いくつか理由がある。
過去の連載稿をpdf化して、くっつけただけであり、
(いちおう、はしがきをつけたり、表紙を新たにデザインしたりはしたが・・・)
また、第一部としての13講分、7つのテーマにて終刊となり、
予告・予定していた後編については形になっていないからである。
そしていずれ、この表紙タイトルの(1)をとって、十全な形で公開するのが目標だからである。

正直いって、連載で用いたB5の二段組みというレイアウトは、好きではない。
横幅がたりないので、化学計算式を書くのに苦労した。
その意味で、『体系化学』のようなレイアウトに書き直したい気持ちがあり、
それゆえの‘試作版’という位置付けなのである。
それをあえて、プロトタイプと呼ぶのは、もちろん、ガンダム世代としてまあ、自然なことではある。
posted by Koujin Amano at 12:07| 体系化学

2016年08月24日

[94] 体系化学アドバンス・合本

育文社のレガシー
 育文社は、思考訓練シリーズを始めて市販し、シリーズ新刊を出し、
『医大受験』誌によって、体系化学の続編の連載の場を与えた。
その受験界への貢献はやがてきっと評価されることになるだろう。
 その育文社は、二代、74年にわたる歴史の幕を閉じ法的な整理も完了とのこと、
そして、そのレガシーの幾つかをGHSが継承した。

 その一つが形になりそうなのでお知らせしたい。
思考訓練化学、漢文、医大受験等々のデジタルデータを譲り受けた。
ただ、当初は出版のプロが使うソフトの保存形式であったために使えずにいた。
それをこの夏、GHS卒生で東北大学工学部に進んだH田くんの尽力により、
すべてpdf形式へと変換することができた。
 さっそく、『体系化学』のpdfデータは授業でのプロジェクターやモニターで
表示するのに重宝しており、そのページを大画面で確認しながらの講義ができるようになった。
300ページ余のデータであるが、Wordの原稿にくらべてスクロールも拡大縮小も断然にラクである。

 そしてその次に取り組んでいるのが、『医大受験』の連載データの取り出しと、合体だ。
体系化学アドバンスの一連の原稿は、創刊号から14号まである。
これまでは必要に応じてコピーしてGHS生に配布していたが、
いずれこれを一冊にまとめたいな・・・という思いが叶うことになった。
pdfデータをつなぎあわせて、一つファイルとした試作品が完成した。
ページ数は100頁を少し超えた。

雑誌の連載をまとめて一冊にしたものを「MOOK」というが、
MOOK形式でGHS内テキストと同じく簡易製本とし、サブテキストとする。
近々に100部(内部生用に三年分ほど)はつくる予定で、今、細部を整えている。
 受験生読者諸氏で、「体系化学アドバンス」連載全体
(といっても化学アドバンス授業の内容の全部ではないが)をみたいという方がいれば、
GHSに連絡されたし。手を挙げた人数によっては、制作部数を上積みするつもりにしている。
希望者には原価+送料でお分けできると思う。
 100頁ほどではあるが、『体系化学』サイズとフォントならば1.5倍にはなるボリュームである。
これに連載第一回の問合わせ者にのみ配布した「解答」をつけて完成品としたいと考えている。
 さらに、一つのpdfファイルにまとめることができれば、電子ムックとして
GHSのHPの「テキスト公開」のコーナーにもアップしてもよいと思っている。
もちろん閲覧は有料にしたりはしない。
・・・・・・GHSも私も、こういうところでちまちまと利益をあげようなどとは
つゆ思っていない証左でもあるし、「体系化学」とその発展形を求める人が学び習得し、
かつ、世の中に広めてもらうのはむしろ歓迎してしかるべき事だからでもある。
GHSの総数30人の定員では、30年やったとしてもたかだか千人にも届かない。

 しかし何よりも、無料でかまわないと思うのは、実は先にも書いたように、
「体系化学アドバンス」自体は連載の有無と関係なく、
毎年、文字通りの「アドバンス」をつづけており、さらにその先へ先へと
進んでいるからである。だから出し惜しみして貯めておく必要などない。
それには、すでに連載したテーマについて深化を遂げている部分もあれば、
連載に至らなかったテーマについて展開した部分もある。

いずれにせよGHSは、発展をやめない。否、発展しなくなったらやめる。
それは、本ブログの冒頭に掲げた精神でもある。  《了》
posted by Koujin Amano at 21:31| 体系化学

2016年07月31日

[93] もう追いかけるのは止めようか

『体系化学』当初からの課題
 「まえがき」に明らかなように、『体系化学』は、
浪人生のための一発逆転の再入門書として著された。
高校での化学の学びが、理系と名乗るくせに、てんでなっていない、
形にもなっていない、橋にも棒にも掛からない、そんな化学難民である
GHS生の無謀な希望を叶えるための授業の積み重ねが書となった。
そして、GHS生も、読者受験生も本書を役立ててくれてきた。
それはそれでよい。だが、それでよいのか?というのが
出版直後から芽生えた疑問と課題である。

ただ、GHSでは昼間部生を主とする授業であるから、
それで十分だし、浪人生相手だからこそ、
教科書全体を解体し、再編成して、
体系的な構成へと転化できたのである。
高校生でも、二年生の後半くらいの進度からは、
学び直しが可能となる。
だが、それでよいのか?

入院患者を治療するのが医師の仕事・・・か
 これに疑問の余地はない・・・・・・そうか?
病院経営的には、「ベッドが空いています。先生方にお願いします。
入院患者を増やしてください……。」どうやって??
そう思うことがある。事故とか怪我とかの外科的な傷病は
ある確率で起こるのは仕方ないが、こちらが努力してどうなるものでもない。
しかし、防ごうとすれば防げる病はある。
長年のヘビースモーカーの行く末は、スポンジのように伸び縮みする肺が
繊維化し硬くなって、酸素ボンベのお世話になる。
長年の大酒と不摂生で肝硬変となり、血液組成が歪んで入院する。
コレステロールの蓄積で、心臓の血管が狭窄して心筋梗塞を起こす。
そうなってしまうと、「専門医」の出番である。
手厚い医療と高額な医薬品と、高度な手術・手技が発揮できる。
当然医療費も跳ね上がり、保険収入はアップするが・・・・。

 私の内科診療は、「生活習慣病」の外来患者を主とする。
要するに、会社や市町村の検診で引っかかったグレーゾーン+αの人達が
「患者」としてやってくる。
 ふつう医者は検査して薬を出してなんぼのもの(経営的には)であるし、
ずっと通院してもらうことがこれまたふつうのこととなっているが、
私の外来は、むしろ「卒業」を目指す。40代、50代から、
そこからまだ長い人生、ずっと薬を飲み続けるのは当人だって避けたいものである。
だから、いっしよに「卒業」を目指す。異常を放置している期間が長ければ
内服薬をアシストとして使うが、できれば生活改善で、減薬・休薬を目指す。
要は、病気にならないための生活を知り実践することが肝要なり。
かりに病気になっても元に戻れる軽いうちに治療することだ。
------- そんなことでは病院が潰れる?なんて心配は無用。他の部面では、
しっかりと収益を上げる仕事にかかわっているので --------

それがどうした・・・と?

浪人生は「病んでいる」ということだ
 浪人生、たとえば「化学難民」とは、化学をまともに学びそこなった人である。
いや、歪んだ化学知識を取り込んでしまったということか。
脳に取り込む「食物」が歪んでいるわけだ。それは高等教育の欠陥である。
(もっとも、部活三昧で、それを幸いにも食さなかった人もいるが・・・)
そういう「病んだ」受験生を治すための、特攻薬が『体系化学』なのではあるが、
病気になるまで放置しておいて、さあ治療しましょうというよりも、
病気にならないように学ばせて、健全な脳細胞を最初からつくればよい。
・・・・・・ふしぎな縁か、昨今は思い願ったことは現実化するようになっており、
GHS長野校では、現役高校生に対して、健全食を提供している。

高校二年生の複数名については、『体系化学』メソッドによって、
やすやすと授業の進度に追いついてしまい、夏休みに入ったので、
もう待つのもめんどくさいので、追い越してしまった。
ここからは、『体系化学』の学びが、学校の授業に先行し、
授業は単なる復習の場となる。
私の時分を振り返り、「幸せの受験生」を育てることが愉しい、
この頃である。
しかも、ある生徒は、化学が追いついて、やることがなくなったので、
物理をやっていて、そのあとに、ちろっと漢文やっていたりする。
         愉快哉!!


posted by Koujin Amano at 10:48| 体系化学

2016年06月30日

[92] 体系化学アドバンス・ヤッべーぞ

網羅すること、漏れなく学ぶためには
 前二回にわたって、「体系化学」を冠する新刊を繙いてみたが、
要するに、そこに共通するのは、前提として、「体系的」な学びができれば
両書とも良書たりうるということであった。
 ただ、そういう状況は昔も今も変わらないんだなあ……
というのが実感である。私の高校時代には「体系的」学びの場がなかった。
 教科書の全範囲を、満遍なく学ぶことは必要条件である。
しかしながら、漏れなく満遍なく学べるためには、
満遍なく説かれた参考書なり問題集が有効なのかというと、答えは否である。
 指導要領で指定された全範囲に触れさえすれば、教師としての
責務は果たせるわけだが、それがまともな教育たり得るのか?
というのがGHSの原点である。そういう知識を入れていける器・構造・骨格を
まずは頭の中に作らねばならない。

 私は、昔も今も、指導要領に沿った教育は、履修範囲としては正しくとも、
履修構成・順序としては有害でしかない、という立ち位置である。
 一教科にしても膨大な知識を頭に入れるには、
体系化するしか道がないのは学問の歴史が証明するところである。
 知識を絞って全部を一通りみせることも、
逆に知識の行間を最新の知見で埋めつくすことも、
私のいう意味での「体系化」ではないということは
受験生・読者諸氏にはわかっていただけていると思う。

アドバンスの‘つづき’
村田代表のブログでも綴られているが、今年度の生徒たちは
例年にも増してやる気に満ちているし、それに行動がともなっている。
連休明けでおこなった実力確認テストで、体系化学アドバンスのクラスの
人員を絞ろうとしたが、さすがに2-3月からスタートしたこともあり、
ほとんどの生徒がアドバンスの授業に参加可能ということになった。
すでに『体系化学』を学んだ者、およびそれに匹敵する者という条件である。
それは要するに、どの順序でやっても大丈夫、
すべて同じように解けることがわかっている、ということである。

……ということなので、今年のアドバンスの授業は、
「後ろ」からやっている。
すなわち、例年は、一応、体系化学に沿ってそのレベルアップをはかるのだが、
その順序を逆にして、二学期の終わりにやるようなことを先にもってきた。
テーマ1は「緩衝溶液」、テーマ2「多段階電離」、
テーマ3「熱化学第三の基準」、テーマ4「燃焼反応」・・・・・
という具合である。一学期は、「分子量が不明の反応公式6」で〆た。
すべて、入試での分水嶺となるテーマであり、そこで差をつけられたら
俄然有利となるポイントについて、徹底的に研究し演習し尽くす。
データベースその他から入手しうる最大量の問題を収集して、
易から難へと配列し直し、体系化学的解法を貫く訓練をする。
問題数は、1テーマで10〜20にも及ぶ。
やる順序は、なんとなく流れで決まる。
要するに私がやりたいことをやりたい順に気ままにやる。
「体系的」なのでそれでよいのである。
すでに『医大受験』の体系化学アドバンスの連載で
取り上げたテーマも含まれているが、それらはさらに先へとすすめ、
残念ながら連載に至らなかったテーマは、連載のつづきとして
原稿データレベルの小冊子テキストの形で完成させつつ進んでいる。
いずれどこかでお目にかけることになろうが、
たとえば、「平均分子」は半端ない!、ヤッベーゾ!! 
といいたくなる域へと進んでしまった。こんなものまで平均か!!!!!と。
『医大受験』vol.5では、1st Stgae のみの扱いであり
以下のように結んだ。

もちろん、「平均分子量」の効用は、ここに 示したレベルに留まりません。

今回は、「平均分子量」のイメージを紹介するための基本演習にすぎません。

むしろ、その 真価はもっとボリュームのある「難問」と言われる問題に

立ち向かうとき顕著となります。

それらについては、いずれ稿を改めて説くことにします。


残念ながらそれは誌上では果たせなくなったが、
体系化学アドバンスの現実は力強く進行中であることを
ここに記しておきたいと思う。
posted by Koujin Amano at 09:23| 体系化学

2016年05月31日

[91] 体系化学・二題 つづき

前回のつづき・二冊目
『化学の新体系』(啓林館・谷川芳雄)は
元灘中学校・高等学校教諭による,灘中高での化学の指導を再現した1冊
とのことである。
実は、本書は、出版前からあるルートから情報は入手していたが、
出てみれば「新体系」とは中々チャレンジングな書名である。
啓林館の教科書編集に長年かかわってきた著者の灘高退職記念出版ともいえよう。
優秀な灘高生は教科書ではきっと飽き足らないから、かれらを退屈させずに、
授業を成り立たせるためには、そこから知識の枝を伸ばしてやらねばならぬ、
そういう内容に満ちている。
ただ、読めるようにはなっていない。教師向けではある。

★ 授業の展開がイメージできる,板書例を中心にした紙面構成

とあるように、板書したうえで何事かを語らねばならないが、
それは語られていない。むしろそれを元にど何を語るかのDVDがほしいところ。
だから、授業用ノートをベースにした退職記念本といったのだが
そこはおなじく高校の化学教師である『化学の新研究』の著者とはちがう点である。
まあ、厚さがちがうから仕方ないが、参考書としてつかうには、
使う側の力量が必要である、ということは両書とも共通である。

では肝心の「体系」はどうなのか?「原理」が掲げられているのか?
といえば、あるにはある
  化学結合に基づいて物質を完全に理解できるように,
  粒子運動のエネルギーに基づいて物質の化学反応の考え方を理解できるように

というコンセプトでの図式が与えられている。その何かはあるようだ。……が、
それが全体にどう一貫しているかについては解説がないし、
今のところ私には読み取れない。これは、授業を聞くしかないのかな……と。

以上、二冊の「体系化学」について所感を述べてきたが、まあ、とにかく、
昔も今も、参考書や問題集から体系的な何かを期待して、受験生読者が
そこから体系的な何かを読み取らなければならないというのは、
止めにしていいのではないか、そう思った次第である。  《この項・了》
posted by Koujin Amano at 18:19| 体系化学

2016年04月30日

[90] 体系化学・二題

体系化学ないし化学体系
 この春、「体系化学」との名を冠した学参が市場に出た。
もっとも、『思考訓練化学』の改訂版ではないし、
互いにまったく縁もゆかりもない存在である。
もちろん、こちらに事前予告などはなかった(^o^;)

両書とも入手したので(どこぞのサイトの書評のように、書店で斜め読みした程度で
テキトーに書き散らすようなことは、さすがにしませんよ・・・)
簡単ながら、感想を(書評なんておこがましい f^_^;)記しておきたいと思う。

1.『体系化学』(教学社・北角 巌著)
いわずと知れた‘赤本’の教学社である。実は教学社は、京都の左京区岩倉にあるのだ。
京大よりはかなり北ではあるが、学生の頃、その辺りは
「原チャリ」で塾講バイトで通った憶えがある。HONDAのJOGはよく走ったなあ・・・。

本題に戻ろう。
著者は関西の予備校講師を経て、今は金沢の高校教師とある。年齢は40代前半。
私の再受験歴を差し引くと、まあ、だいたい同じような時代の受験環境を生きてきたのだろう。
あの、予備校の講師がもっとも輝いていて、リッチで、憧れられ、師として仰がれた時代である。

「体系」ということに関していえば、私としては「体系でもなんでもない」というしかない。
まちがいなく、「体系」の定義がちがうのだから。
私のいう「体系」とは、読者諸氏には改めて説くまでもまでもないが、
 「一つがすべてであり、すべてが一つである」
との「まえがき」の一言に尽きている。
論理化とは具体からの抽象であるから、その論理化の行き着くところは「原理」となる。
その原理が冒頭に掲げられているか否かが、体系的かどうかの唯一の判定指標である。
その点から眺めてみる。
「はしがき」にはこうある。

 化学の入試問題の解答に必要なのは「原理の理解と正しい知識」そして
「知識を活用する力」です。・・・後者は問題集によって養成されます。
この本は、その後者の力を養成する待望の一冊です。

なるほど。ちなみに、前者は「授業や参考書」で得られるそうである。
つまり「原理」(や「知識」)は習得済みであることが前提らしい。
ならば、その原理を提示している参考書が著作としてあるのかと思って
紹介をみれば、『大学入試 萌えわかり化学反応式 重要パターン50』と。
・・・あとは推して知るべし。

掲載順 本書は「化学基礎」「化学」の教科書の内容順に掲載しました。
学校で習った順番で演習できるようになっています。

レベル @基本問題、A発展問題、B応用問題のうち@,Aを掲載
パータン @分野別問題とA融合問題のうつち@に絞り掲載
テーマ 各分野、テーマ毎に問題を選定。各分野のテーマを網羅

世間一般的には、これが「体系」というイメージなのであろう。
 単元別、テーマ別に整理整頓、基本から応用へ
しかも教科書に準拠。なんの問題があるのか!!

実はこれは、超ロングセラーの「体系物理」(教学社)とおなじ構成である。
私も高校時代、指導者のいない地方に住み、物理の学びに悩み、
その名称に惹かれて購入し、最後までやってみた口である。
その問題集が営々と引き継がれ(解答は昔より数学的にレベルアップしてましたね)
今に至るのはすごいことで賞賛に価するが、同時に、
テキスト・参考書としての「体系物理」という著作が存在しないのもまた共通である。

「体系」という名に惹かれて手に取る受験生は、教科書や授業に飽き足らず、
それでは求めるものが得られず、でもその何かかが分からず、その何かを求めるのでろう。
少なくともかつての私はそうだった。・・・・だからこその私自身が自らに出した答えとしての
思考訓練シリーズの『体系化学』であった。

しかしながら、本問題集のためにいっておくと、『思考訓練体系化学』を学んだものにとっては
演習するにはよい問題集である。体系的な学びのあとには順序は関係ないのだから。
ただし、それはどの問題集でも同じだということとともに、
解答解説は『思考訓練体系化学』的に書き改めることとなるが。
まあ、それはそれでよい練習である。
とはいえGHSでは、解答書き換え練習台としては『重問2010』を採用しているので
あえてこちらに換えることはないが、
しかし、「はしがき」の趣旨からすれば、そのように使うのには適切であるには違いない。
                                         《続》
posted by Koujin Amano at 17:00| 体系化学

2016年03月11日

[89] 高校1,2年生と『体系化学』

 近況異変
 実は今年の春は、「異変」に取り巻かれている。
といっても、ポジティブな意味で例年と動きが異なっているということなのだが。
一つには、GHSでの28年度生のための「体系化学」の授業がなんと!
2/12から開始となっているのである。
というのも、今年は例年に輪をかけて早々からの入塾者がいるとの報で、
いつもはオフで過ごしている時に顔を出すと、なかなかやる気に充ちていて・・・
ということから、早期入塾の心意気に応えて、物理と化学の講義を開始したのである
例年なら、四月の1週目にイントロ講座をやり、さてスタートという流れで、
この頃は数学のセメントなどを進めている時期であるから、二ヶ月前倒しである。

 二つの理由
これには、主に二つの理由がある。
一つには、医学部の、特に私立医学部の難易度がさらに上がったことだ。
たとえば、A君は京大理学部に合格したのに、なんでこの私立に落とされるの?
というような摩訶不思議事例を筆頭に、きっと数年前なら合格しているはずの
実力の者が入れないという異常が常態化している。
 そういう者達は、本物の学力を問うてくれる試験を苦労して作り
丁寧に採点してくれる大学を目指すしかあるまい。
実力があろうとなかろうと、ほんの一点二点差の団子レースになるような
試験問題自体が問題なのである。
そんな状況を早々に感じたからこその早期スタートでもあった。

いま一つは、高校1,2年生の個別指導の回数が重なってきて、
私自身の視点がシフトしてきたということにある。
その内の一人の高1生は優秀で、すでに体系化学において高校の進度に追いついてしまい、
半分は漢文でもやろうか・・・・といって『漢字海』を傍に漢文入門をはじめたところ。
いいなあ、「贅沢三昧」というしかないね。部活をしっかりやりながら、これだから。

ただ、高校生は、たとえば有機化学などは三年生になるまで
未履修であり、『体系化学』でもいくつかのネタをカットせざるを得ないものであるが、
いずれにせよ、そういう基礎も頭もできてない三年をすごしてからGHSに入って来る浪人生は、
「遅い、遅いよ!!」と感じてしまう。だから、せめてもの前倒しなのである。

『体系化学』は浪人生用!?
 「まえがき」にあるように、『体系化学』は再入門書である。
GHSで浪人生を相手に、一発逆転の方法を説くものである。
だから、高校生の独習は難しいだろうな〜という思いがあった。
もちろん、読者倶楽部の会員には、高校1、2年からお便りをくれる人があるが、
それは少数派であった。しかし、個別指導の形で細部の進度や、説明の深さ・浅さに
配慮してあげれば可能(考えてみれば当たり前であるが)とわかってきた。
いま、高校一年生用の『体系化学』カリキュラムと高校二年生用の『体系化学』カリキュラムの
作成が着々と進んでいる。おかげで、「化学基礎」とかいう教科書の内容・構成もわかってきた。
何でもそうだが、要するに内容は同じでも順番が大切ということである。
たとえば、公立進学校の高校一年生の場合、基礎公式は5までやったら、
酸塩基から酸化還元に進むが、
これが私立の一貫校だと基礎公式は順番通りでよいという具合である。
GHSでは一つの授業は、年に一回しかやらないし、同じことを何回やると飽きてしまう質だが、
個人指導の場合は、範囲はちがうが、同じ教材を数人に指導する。でも内容は同じようでちがう。
一人一人のカスタマイズをやっていると案外飽きないものだということにも気づいた。

個人指導をしている人にとっては当たり前のことをいっているように聞こえるかもしれないが、
私としては、高校一年のときにやるべきだった思考の訓練、読むべきだった本・・・
道がわからず、ずいぶん無駄な、回り道をしたものだ・・・・そういう思い出を再生しつつ
過去を編集・再生する、そんな楽しみを見出している此の頃である。
posted by Koujin Amano at 18:47| 体系化学

2016年02月18日

[88] テキストの公開と新規テキスト

すでに5つ
 GHSのHPを見た方は気づかれたことだろうが、「テキスト公開」のボタンをつくってもらった。
昨年、東北大学の工学部に勇躍合格を果したH田君が、休みのたびにGHSを訪れてくれて、
惜しみない協力をしてくれたおかげで、今回トントンと仕事が進んだわけである。

 調子に乗って、というべきか「体系化学」も「体系物理」も「漢文基礎句法ドリル」
相当の分量アップできたので、なかなか壮観である。
 もちろん、これでは止まらない。有機化学重要問題演習の解答解説編は、(2),(3)……と
つづいていく。この電子ブックソフトは、更新ができないので、小分け・小出しにするしかない。
それはそれで好都合である。『体系化学』は若干の形式的な修正を加えつつ、
2nd Stgageもダイジェスト版でアップしようと思っている。
『体系物理』も、もう少し中身を足しながら(授業で板書する部分は空欄なので・・・)、
引き続きアップしていこうと思う。力学編もそうだが、体系性からいえば、
是非に熱力学の立体的構成をみてほしいものである。

というのも、先般記した通りに長期的展望としては、『思考訓練シリーズ』はGHSに継承されるが、
それまでのタイムラグが少なからずある。その間の読者の便宜をはかるということが目的であり、
育文社の山田社長からは、公開について快諾をいただいている。

今年は新たに
 GHSでの私の授業はほぼテキスト化されているので、
プリントを配布する量がめっきり減った。ブリントの良さは機動性であり、
テキストとしてきっちり決めてしまうと、広がりや柔軟性を欠くという欠点もある。
したがって、「テキスト」として固まるまでは、毎年、試行錯誤と差し替えの連続である。
その積み重ねでテキストの姿が浮かび上がってきて、カタチとなる。
そうやって『体系化学』もカタチになった。

 今年、新たに(かつ、化学としては最後になる)テキストが合本・製本されることになった。
これは「定性化学」の問題演習テキストである。
実に、1900年代から18年分ものセンター試験の全出題を、四つのpartにわけて、
系統的に配列編集したものである。
 この試み自体は、GHSの授業において、2000年代後半からつづいていたのであるが、
ようやくに有機を除くすべての分野(したがっていわゆる「無機化学」を含んでいる)が、
繰り返しながら深めていくセメント&ドリル形式の学習に資するような配列を
ようやくにして完成したということである。
実際、高一生にも、校二生にもテキストとして使える配列になっている。
 今年度は、partごとの小冊子コピー印刷で済ませてきたが、新年度からこれを合本として、
簡易製本することとした。有機化学、体系物理につづく合本テキスト化である。
ページ数は130頁ほど。もっとも、問題だけが並んでいるので、授業を聞かない限り
その配列の妙は味わえないから、これを電子ブックとして公開するのは意味がない。
この解説を文字に起こすと、500頁を超える勢いなので、読む方も大変であるし、
むしろ、「動画形式」にしてみようかと考えているところである。
posted by Koujin Amano at 21:58| 体系化学