2016年03月11日

[89] 高校1,2年生と『体系化学』

 近況異変
 実は今年の春は、「異変」に取り巻かれている。
といっても、ポジティブな意味で例年と動きが異なっているということなのだが。
一つには、GHSでの28年度生のための「体系化学」の授業がなんと!
2/12から開始となっているのである。
というのも、今年は例年に輪をかけて早々からの入塾者がいるとの報で、
いつもはオフで過ごしている時に顔を出すと、なかなかやる気に充ちていて・・・
ということから、早期入塾の心意気に応えて、物理と化学の講義を開始したのである
例年なら、四月の1週目にイントロ講座をやり、さてスタートという流れで、
この頃は数学のセメントなどを進めている時期であるから、二ヶ月前倒しである。

 二つの理由
これには、主に二つの理由がある。
一つには、医学部の、特に私立医学部の難易度がさらに上がったことだ。
たとえば、A君は京大理学部に合格したのに、なんでこの私立に落とされるの?
というような摩訶不思議事例を筆頭に、きっと数年前なら合格しているはずの
実力の者が入れないという異常が常態化している。
 そういう者達は、本物の学力を問うてくれる試験を苦労して作り
丁寧に採点してくれる大学を目指すしかあるまい。
実力があろうとなかろうと、ほんの一点二点差の団子レースになるような
試験問題自体が問題なのである。
そんな状況を早々に感じたからこその早期スタートでもあった。

いま一つは、高校1,2年生の個別指導の回数が重なってきて、
私自身の視点がシフトしてきたということにある。
その内の一人の高1生は優秀で、すでに体系化学において高校の進度に追いついてしまい、
半分は漢文でもやろうか・・・・といって『漢字海』を傍に漢文入門をはじめたところ。
いいなあ、「贅沢三昧」というしかないね。部活をしっかりやりながら、これだから。

ただ、高校生は、たとえば有機化学などは三年生になるまで
未履修であり、『体系化学』でもいくつかのネタをカットせざるを得ないものであるが、
いずれにせよ、そういう基礎も頭もできてない三年をすごしてからGHSに入って来る浪人生は、
「遅い、遅いよ!!」と感じてしまう。だから、せめてもの前倒しなのである。

『体系化学』は浪人生用!?
 「まえがき」にあるように、『体系化学』は再入門書である。
GHSで浪人生を相手に、一発逆転の方法を説くものである。
だから、高校生の独習は難しいだろうな〜という思いがあった。
もちろん、読者倶楽部の会員には、高校1、2年からお便りをくれる人があるが、
それは少数派であった。しかし、個別指導の形で細部の進度や、説明の深さ・浅さに
配慮してあげれば可能(考えてみれば当たり前であるが)とわかってきた。
いま、高校一年生用の『体系化学』カリキュラムと高校二年生用の『体系化学』カリキュラムの
作成が着々と進んでいる。おかげで、「化学基礎」とかいう教科書の内容・構成もわかってきた。
何でもそうだが、要するに内容は同じでも順番が大切ということである。
たとえば、公立進学校の高校一年生の場合、基礎公式は5までやったら、
酸塩基から酸化還元に進むが、
これが私立の一貫校だと基礎公式は順番通りでよいという具合である。
GHSでは一つの授業は、年に一回しかやらないし、同じことを何回やると飽きてしまう質だが、
個人指導の場合は、範囲はちがうが、同じ教材を数人に指導する。でも内容は同じようでちがう。
一人一人のカスタマイズをやっていると案外飽きないものだということにも気づいた。

個人指導をしている人にとっては当たり前のことをいっているように聞こえるかもしれないが、
私としては、高校一年のときにやるべきだった思考の訓練、読むべきだった本・・・
道がわからず、ずいぶん無駄な、回り道をしたものだ・・・・そういう思い出を再生しつつ
過去を編集・再生する、そんな楽しみを見出している此の頃である。
posted by Koujin Amano at 18:47| 体系化学

2016年02月18日

[88] テキストの公開と新規テキスト

すでに5つ
 GHSのHPを見た方は気づかれたことだろうが、「テキスト公開」のボタンをつくってもらった。
昨年、東北大学の工学部に勇躍合格を果したH田君が、休みのたびにGHSを訪れてくれて、
惜しみない協力をしてくれたおかげで、今回トントンと仕事が進んだわけである。

 調子に乗って、というべきか「体系化学」も「体系物理」も「漢文基礎句法ドリル」
相当の分量アップできたので、なかなか壮観である。
 もちろん、これでは止まらない。有機化学重要問題演習の解答解説編は、(2),(3)……と
つづいていく。この電子ブックソフトは、更新ができないので、小分け・小出しにするしかない。
それはそれで好都合である。『体系化学』は若干の形式的な修正を加えつつ、
2nd Stgageもダイジェスト版でアップしようと思っている。
『体系物理』も、もう少し中身を足しながら(授業で板書する部分は空欄なので・・・)、
引き続きアップしていこうと思う。力学編もそうだが、体系性からいえば、
是非に熱力学の立体的構成をみてほしいものである。

というのも、先般記した通りに長期的展望としては、『思考訓練シリーズ』はGHSに継承されるが、
それまでのタイムラグが少なからずある。その間の読者の便宜をはかるということが目的であり、
育文社の山田社長からは、公開について快諾をいただいている。

今年は新たに
 GHSでの私の授業はほぼテキスト化されているので、
プリントを配布する量がめっきり減った。ブリントの良さは機動性であり、
テキストとしてきっちり決めてしまうと、広がりや柔軟性を欠くという欠点もある。
したがって、「テキスト」として固まるまでは、毎年、試行錯誤と差し替えの連続である。
その積み重ねでテキストの姿が浮かび上がってきて、カタチとなる。
そうやって『体系化学』もカタチになった。

 今年、新たに(かつ、化学としては最後になる)テキストが合本・製本されることになった。
これは「定性化学」の問題演習テキストである。
実に、1900年代から18年分ものセンター試験の全出題を、四つのpartにわけて、
系統的に配列編集したものである。
 この試み自体は、GHSの授業において、2000年代後半からつづいていたのであるが、
ようやくに有機を除くすべての分野(したがっていわゆる「無機化学」を含んでいる)が、
繰り返しながら深めていくセメント&ドリル形式の学習に資するような配列を
ようやくにして完成したということである。
実際、高一生にも、校二生にもテキストとして使える配列になっている。
 今年度は、partごとの小冊子コピー印刷で済ませてきたが、新年度からこれを合本として、
簡易製本することとした。有機化学、体系物理につづく合本テキスト化である。
ページ数は130頁ほど。もっとも、問題だけが並んでいるので、授業を聞かない限り
その配列の妙は味わえないから、これを電子ブックとして公開するのは意味がない。
この解説を文字に起こすと、500頁を超える勢いなので、読む方も大変であるし、
むしろ、「動画形式」にしてみようかと考えているところである。
posted by Koujin Amano at 21:58| 体系化学

2016年02月05日

[87] 電子ブック作成・出来 テキストの一般公開を開始

 電子ブックを作成して、簡単に公開できる便利なサイトに登録したので、
さっそく、GHS体系化学 有機化学編テキストを130ページ分つくってみた。
容量の関係などあり高分子の前で分割したが、今後は数十〜100ページ程度の単位で
公開できると思う。
というのも、wordでつくっておいて、pdfに変換すれば、アップロードしてから
あとは自動的に生成してくれる。かなりの早業である。
テキスト自体は、そもそもwordでできているのであるから、その気になれば、
アップするものはいくらでもある。
こんなに簡単な作業なら、ちょっと修正加筆してまたアップすることも容易なわけで、
それが紙媒体と異なり、進化・深化を組み込みやすい点が素晴らしい。

 有機化学テキストについては、このブログで昨年、実物を(会員価格<原価)販売したが、
すでに残部少なく、今年の生徒の分があやうくなってきたことから、
これ以上実物を提供できないのでまずはデジタル化した次第である。

 あくまでも授業テキストなので、いくつかはあえてブランクにしてあるところがあるし、
授業でプロジェクトターを用いてビジュアルあるいは動画で解説する部分もある。
これらの点については、おいおい補っていくつもりであるが、
動画やリンクは埋め込めないので、別の表現手段になるかもしれない。

 この中に、入試例題が載っているが、これは「有機化学演習」と「化学重要問題集」
二冊ずつからの抽出である。
「有機化学演習」は私が受験時代に使った旧版と、現在市販されているものからの
いいとこ取りであり、重要問題集の方も、5年ほどの間隔のあいた二冊からの
(毎年二割くらい差し替えるらしいので)セレクトである。
名付けるならば「有機重要問題演習」( ^ω^ )である。
類題演習とあわせて、40問ほどになった。
有機化学のコアを授業で伝授するのに必要十分なセレクトであり、
枝葉的問題は後回しにして、テキストと並行して進めるように配列しなおされている。


「有機化学演習」は問題はしっかりセレクトされているが、
ご存知のようにテキスト的部分が薄い。あれはポイント集以外ではない。
かといって解答・解説はテキストの役までは果たしていない。
私が受験生の時は、すでに大西化学を習得していたので、他流試合には丁度良い問題集で
一ヶ月程度でやってしまったが、ここから有機化学を学ぶという仕立てにはなっていない。
「重要問題集」に至っては、問題の解き方の統一性がなされておらず(分担執筆だろうから)、
かといって本家のチャート式と連動しているかといえば、そんなことは昔も今もなされていない。
事業部が縦割りなのか? チャートの「チ」ほどもリンクされていない。

もっとも、問題自体は大学入試問題なので、どこから抽出しようと、両者の著作に了解をとる
必要などない。本体は、解説・解答の充実にあることはいうまでもない。

これは、授業で板書する内容なので、本来はデータ化していないもので、
そんな意図も、暇もないのが私の現実であるが、そこはやはり読者倶楽部の絆のなせる業、
このブログでもたびたび紹介した現役高校教師である「とっとさん」が
年々歳々GHSの授業を聴講しつつ、実力を蓄え、原稿に起こしていただけることになった。
というより聴講しつつ現場で実践するという繰り返しの中で、
「とっとさん」自身の文章として書けるようになった、というべき内容になっている。
私よりも断然真面目で緻密な方であるので、私の解説授業よりも実に丁寧で、
手取り足取りの行き届いたものになっている。以下を参照されたい。


 このよう教育メソッドの探求に熱心な先生に教わる生徒は実に幸せである……
とGHSの授業で浪人生に話すのは酷ではあるが、あえてそのようにいうのは、
「人生は人との巡り合わせ」による運不運があるという現実を伝えるためもある。

現時点では、入試例題4までの4問ではあるが、解説はA4版で6-7ベージに及ぶ。
これを紙の本にすると、40問でゆうに300ページにもなってしまう。
そういうことを気にせずにすすめられるのが電子ブック媒体の利点である。
posted by Koujin Amano at 18:23| 体系化学

2016年01月18日

[86] 『体系化学』の行く先

2008年の候に生まれし由
 「まえがき」に書き記しておいたように、GHSでの浪人生向けの授業の
結晶化として、『体系化学』を市販公開したのが2008年。
そう、あくまでも、高校で化学を学び損なった、いやいや学んだとは
とてもとても言い難い浪人生を前にしての「大いなる希望」が形となった。
雑然としていて、濃淡ありありで、得点になりそうもない知識の残骸を、
「一から学び直す」というだけでなく、体系的に学び直すことを通して、
大逆転を果たすし、頭の働きそのものを良くするGHSメソッドの一環として
そしてそういう本物の学びを求める受験生との紐帯となるようにとの願いの下、
市販物として仕上げたのである。

そこから二つのオリンピックイヤーを経て、改定版の話を折に触れて述べてきたが、
それは主に形式的・見栄え的・使い勝手的なものと思っていた時期がある。
なんとなれば、体系的な論理構成そのものは、今に至るも何一つイジる必要はなく、
「化学アドバンス」においてはますます威力を発揮しているのだからである。

新たなる、しかし当初から温めてきたもの
 出版当時のGHSの環境と私の実力と暇とからは、
「浪人生のための再履修テキスト」という位置付けがベストであったし、
それ以外の射程を考慮しないことでこそ「形」にできたのだと思う。
 しかし、まさにそれが産み出された瞬間から、頭の中で巡っていたのは、
それでいいのか?という問いであった。
 つまり、高校で三年間、ムダ(といっては失礼だが事実なので)な化学の授業を
受けて、入試に立ち向かう実力がついていない、というのが前提となる。
そこにとどまっていいのか、ということである。
 市販したおかげで、高校生の読者からの感想も届いたし、
高校の現役の教師からも意見をいただくようになった。
幸いながら、高校生が使っても役に立つことは十分実証されはしたが、
それでいいのか?という問いは未だ解消してはいない。
しかしながら、GHSは高校生コースはあるものの、主体は
浪人生であり、その授業にまざってもらうしかない、という状況が
ここしばらく続いていた。

・・・・・・そこで、というわけではないのだが、その転機は成り行き的というか、
必然のながれというか、訪れて来てくれたようである。
『体系化学』は、化学のできない浪人生を目の前にしたからこそ成ったのである。
ならば、高校生の学びに資する『体系化学ジュニア(仮称)』( ^_^)/は、
高校生を相手に実践することを通してしか構築することはできまい。
その当然の理屈を実践する契機を手にしたのである。

実践の場からしか生まれないのだから
 もったいぶった言い方になったが、要するに、高一生と高二生の指導をすることに
なったわけである。地方の県立の進学校の真ん中くらいの成績。国立医学部志望。
潜在的な能力はあるが、そのままでは浪人する確率はかなり高い・・・、というところ。
GHSのHPの合格体験記にでてきそうな、しかし、まだ現役生である。

集団授業ではない。各々1名ずつ、完全個別指導である。
学校の進度、内容、レベルを確認しながら、体系化学を高校生に学ばせるには
どういう順序でどのように進めれば良いかの潤沢なるデータを
与えてくれるわけであるから、知人の紹介ではあるが喜んで引き受けた次第である。

いずれ詳細は語る時がくるであろうが、週一回二時間で、10回ほど経過。
高一生は「化学基礎」とやらをやるわけであるが、
すでに学校の進度に追いついてしまい、これからは学校の進度に合わせて、
『体系化学』演習とGHSの定性化学テキストを指導するので、
定期考査の前には、改めて勉強しなくてよいくらいになる。
すると他の科目に時間がかけられて・・・
高二生は、基礎公式がほぼ終わり、三月いっぱいで、『体系化学』を一周する
計画である。つまり、三年生になったときには、『体系化学』の二周目、
化学アドバンスの世界の扉を開くわけである。
自分でいうのも何だが、「いいなあ〜俺もそんな高校生活送りたかったよ
というのが本音。心の中で羨望し和み愉しんでいるかつての自分がいる。
「あとがき」に記した苦い思い出が、甦りつつも昇華しているからだ。
                                《続》
posted by Koujin Amano at 12:47 | TrackBack(0) | 体系化学

2016年01月06日

[85] 育文社を送るの辞2

 継承
 ここまで読んで来られた方は、ふとorどうしても気になることがあるかもしれない。
「『医大受験』は終刊でよいとしても、思考訓練シリーズは一体どうなるのか?
「通添オリオン」の貴重な遺産はどうなるのか?」と。
具体的・詳細な話はまだここではできないが、すでに決定した方向性だけは、
読者諸氏にお伝えしておかねばならないかと思う。
「安心してください!! Σ(´∀`;)基本的には、それらはGHSが継承することになりました。」

故・多田先生の御家族の意思もあり、思考訓練シリーズの管理はGHSが引き継ぐーー
それが、シリーズ続刊を唯一出したGHSとしての当然の使命であり、それが自然な流れであるとは、
御家族ならずとも誰もが妥当と感じられるであろう。
その真の価値と継承の大事性を理解できる者でなければ、いつのまにか商業主義に毒されて、
この文化性を歴史から消え去るのを止む無しと思いかねないであろう。
 育文社が、その選ばれし者であったと同様に、GHSもまた
その文化性を継承・保存する位置に立ったということである。
それとあわせて、「通添オリオン」の資料も大切に厳重に保管させていただく。
できれば粛々とデジタル化をすすめて劣化を防ぎ、永遠の命を与えておくべきと考えているところ。
 そして、育文社が『思考訓練英語』を市販化し、かつ、新シリーズ続刊という発展を果たした
のであるから、GHSとしても継承・発展を志すのは当然の義務であろう。
 《 偉大なる知の魂は、居場所を変えつつも
        その度ごとに成長を絡めながら、継承されていくものである》

『体系化学』の今後
 出版社が閉じるわけであるから、『思考訓練』シリーズは現在出回っているものを限りに、
市場から姿を消すことになる。育文社刊の思考訓練シリーズは在庫なくなり次第絶版である。
在庫についてはGHSが引き継いで販売チャンネルを設ける可能性があるが、
その後については未定である。
 ただ、確実に言えることは、GHSに継承されたことは間違いなく、どういう形であるにせよ、
近い将来「復活」する、ということである。
しばらくは雌伏の期間となり、残念ながら来年度は『体系化学』の読者倶楽部会員の
新規登録はなされないことになろう。
 とはいえ、このブログでも再三述べているように2016年に向けて、改訂版の準備は
すすめてきており、DTPの勉強もして、新たなスタイルでの改訂版の原稿を
1st Stageくらいまでは書いているのである。
一度は絶版になるなら、かえって制約がなくなるので、改訂版は「予告編」として早々に
GHSのHP上で公開して100ページ位は無料立ち読みできるようにしてみようと思う。
 さらに、有機化学テキストや体系物理テキストそのものはHPを訪れる受験生のために
公開してよいだろうと思っている。こちらは授業とあわせての仕様なので、
それで授業を受けたいかどうかのマッチングの判断をしてもらえばよい。
公開してもそれだけでは他者には使いこなせないだろうから。
 色々とお待たせしている読者受験生にはいつも申し訳ないと思っているが、
このように加速する時代状況の波のうねりの中での、
絶え間ない前進を図るためにやるべきことは山のようにあり、
今いる生徒に向けての授業もあわせて思うように進まないことへの
いかんともしがたいはがゆさはある。とりあえずは、当面1月中のGHSのHP、
テキスト公開のコーナーに注目しておいていただきたいと願うものである。
posted by Koujin Amano at 10:03| 体系化学

2015年12月15日

[84] 育文社を送るの辞 1

 74年の歴史
 ご存知の方をいることだろうが、長年、GHSの ‘パートナー’ としておつきあいのあった
広告・出版の育文社が、この12月をもって、2代にわたる74年もの歴史の幕を静かに閉じた。
 それなりに事情を知る者として言えるのは、様々な要因があるものの、
山田社長が齢を重ねてきて、漸くにして、次なる人生のステージへと歩を進める決断をした、
ということである。
 もちろん、一般に出版業界を取り巻く環境は厳しく、倒産の憂き目にあう同業社は
後を絶たない状況にあるから、大きく業態を転換してデジタル社会に対応して生き抜いていくか、
それとも潔く会社を畳むか・・・・・・との葛藤の中で後者の道をとった、ということである。
 私が、人生の大先輩たる山田社長の歩みを評価する立場にあるとは思えないが、
一肩ならぬお世話になった身として、その功績をわたしなりに記しておきたいと思う。

「思考訓練」シリーズを世に出したことの意味
 ご存知のように、不朽の名著「思考訓練の場としての英文解釈」は、元々市販品ではなく、
今から30年以上まえにあった「通添オリオン」の会員限定の書籍であった。
今は「Z会」と後発の「進研ゼミ」くらいしか通信添削はないようであるが、
昭和50年代、オリオンとともに「大学への数学」(東京出版)には『Z会』
『一橋の通添』『英協の通添』などの広告が所狭しと踊っていたのを覚えている。
 その広告代理店として関わってきたのが育文社であり、
その縁からかオリオンが会社を閉じる際に版権を譲り受け、
『思考訓練英語1,2』『同 現代国語』を世に出したのである。
これは受験界の不朽の功績といってよい。
会社とともにこの世から消える運命から救い出し、30年以上たった今でも、
毎年何千もの受験生を感化し、救っているわけであるから。
合格体験記でその存在を知った私が、会員限定ということを知らずに
ほうぼう探し回ったという話を、この思考訓練化学のHPに記しておいたが、
わたし自身もそのままお目にかからずに終わるところであった。
 また、その「通添オリオン」の膨大な資料を育文社が継承し
保存してきたことも重要である。その一部は『医大受験』誌上で公開されてきたので、
当時の受験生として懐かしく読まれた方も相当数いると思われる。

育文社とGHS
 GHSの開校は1993年、当時から『大学への数学』を主に広告を出してきたことから
育文社との営業的関わりがはじまったのである。
 当時は山田社長も50代、バイタリティー溢れる働きぶりで、
長年にわたって様々に斬新な企画を提案されてきたが、美大出身という腕を活かしての、
オリジナルなイラストやデザインを添えた提案は、ハッとさせられる企画内容とともに、
目をも楽しませてくれたものである。
ここからは手前味噌になってしまうが、育文社から出版された『思考訓練の場としての英文解釈』を
紐帯として、2006年あたりから『思考訓練』シリーズ新刊・化学の出版に向けての
企画が進められていく。そのあたりの経緯は、本HPの出版の経緯に記した通りである。
かくして、2008年に『体系化学』の出版となるわけであるが、そこから数えても
すでに8年を経過した。第二版の増刷を繰り返し、望外に多くの方の手に届き、
多くの読者倶楽部への会員登録をしていただき、会員サイトの中で交流できたことは
著者として喜びに耐えない。
会員の中から、様々なかたちでGHSにご協力・ご助力いただける人材を得たこと、
これはかえがえのない財産である。
 さらに、2011年末には季刊『医大受験』が創刊される。
お気づきの方もおられるだろうが、150-200ページのうち、1/3のボリュームは、
私と村田代表と数学の依田先生が書いてきたわけである。
医薬エッセイ5-8頁+化学二つで12頁+漢文12頁+・・・
「ウチは、GHS出版部だ、と公言しています!!」という笑顔の山田社長のトークが耳に残っている。
その『医大受験』は昨秋16号をもって育文社とともに終刊となり、
4年間にわたる連載を終えることになった。

 三ヶ月に一度とはいえ、これだけのページ数を書き続ける
(ついには体系物理や有機化学まで書き始めたが・・・・)ことは
かなりの重労働(?)であったが、とても楽しかった。
『体系化学』のような単行本では、全体の原稿が完成するまで世に出せないが、
連載の形なら、三ヶ月に一度まとまったページを書いていけば、いつかは完成する、
という機会が得られたからである。
 おかげで「体系化学アドバンス」をほぼ書き上げることができた。
特に、4回にわたって(つまり一年かかった)「電池の歴史」が完成したのは
連載のなせる業である!! 時間をかけて歴史的資料もふまえての原稿であるから、
GHSの授業でやるより随分詳しく精緻になり、
その過程で新たな知見・発見があったことである。
 さらに、『医大受験』の連載が先行した形となったが、新シリーズ第二弾として
『漢文解析』を2014年に発刊することとなった。
『体系化学』発刊の直後からはじめたことは、有機化学テキスト、体系物理テキスト作成、
化学アドバンスの授業などであるが、往々にして私は中々まっすぐ進まない人間であるので、
(・・・私自身もなぜ?と思っている面もあるが)『漢文』が先に原稿としてできあがってしまった。
あえて、言い訳的な理由をあげれば、「そのなかで漢文が一番好きだから」ということになろうか。
 そうやって、GHSでの膨大な思考・実践の中身が、文字として置かれることとなったおかげで、
有機化学のテキストも、体系物理のテキストもついに冊子としてまとまった。
ここ二年は、そのテキストを用いての授業となったので、
化学のテキスト二冊、物理、漢文での配布プリントが激減した。
 その中で、確認テストとか、補充の問題・資料のプリントなどを保存するが、
私の書庫をみると最近はファイルが年々少なくなっていることが見て取れる。
それも、これも、あれも、育文社との協働が産み出した成果なのであり、
しみじみと、つくづくと、感謝の念に堪えない。
山田社長には心底よりお礼を申し上げたい。《続》
posted by Koujin Amano at 08:20 | TrackBack(0) | 体系化学

2015年10月22日

[83] Tool & ツール

『体系化学』への道……Tool 思い出話
 2008年に『思考訓練の場としての体系化学』を出したとき
その実現に貢献した最大のツールは、MS Office2004であった。
先日たまたま昔のファイルを開いたついでに、1990年代までさかのぼってみた。
office のWordで作成された最も古いものは2003年度のものである。
これは、office 2001のWordバージョンで書かれたものである。

それ以前のテキスト・プリント類は1998年から2003まで、主にMac専用のワープロソフト、
クラリスワークスで作成していた。Mac がPerforma といっていた時代。
私が、GHSにかかわったのは1993年の開校してしばらくの1995年くらいからだった。
医学部五年生であったか。

それまでは、ワープロ専用機が隆盛で、私はCASIOのDarwinを使っていた。
これで大学のレポートや授業のプリントや手紙を書いたりするには便利だったが、
分数等の数式の入力さえできない、という欠陥があった。
つまり、化学基礎公式さえ入力ができないのである。
図を書くのも簡単ではなかった。予め入っているイラストなどはあるが、
年賀状とか簡単なチラシを想定していて、化学テキストの記述には耐えなかった。

そのとき登場したのがword 2001である。数式オプジェクというオプションによって
数式を自在に入力できるようになった。もっとも、その時点でTex(テフ)という
数式入力専用ソフトがMac用で存在したが、化学の四則演算を入力するには「牛刀」にすぎた。
Word 2001の登場が、『体系化学』を文字として残そうと思う背中を押してくれた。 

『体系化学』からの道……Tool & ツール 
 この一月半ほど、更新が空いてしまって申し訳なかったが、大いなる過渡期、
移行期であり、新たなるツールになじもうと格闘していたためである。
 その第一は、2学期から三週目の授業から、プロジェクターを使うようになった。
漢文も化学も、物理も、パソコンの画面をそのまま投影できるので、
テキストや問題をみせながら、板書することができる。

文科省の「デジタル黒板」とやらの事業のおかげで、ここ3-4年でプロジェクターは
すごい進化を遂げていることに気付いた。
よく薬の講演会や学会発表などで、スライドをもちいてのブレゼンテーションに触れる機会が
多いことも背景だが、最新のプロジェクターには、「単焦点モデル」があり、たった1メートルの
距離で黒板よりも大きな投影が可能である、というだけではなく、
光源が強力になったおかげで、いちいち室内を暗くしなくても投影できる、ときた。

しかも、デジタル黒板機能として、その投影した画面に書き込みまでできる。
もっとも、パソコン画面に直接書き込めばよいので、その機能はまだつかっていないが。

スライド作成といえばOfficeのPowerPoint も今や善き友(ツール)となっている。
Wordで作成した文章のエッセンスをPowerPointとしてスライドにしている。
これで、板書にかけていた時間は不要部分はカットできる。

たとえば、化学計算原理は、どの化学計算の場合も、トップに掲げたいが、板書ではムダな手間。
しかし、画像なら毎回提示することができる。つまり、体系化学的思考の流れは常に提示でき、
それが具体化していくプロセスを学ばせることができる。
 漢文だって、文や訓点を書くのはかなりり手間であるが、それは投影すればよい。
その時間の分、内容や文法や背景についての説明に使うことができる。
もちろん、フルカラーであるから、化学物質の色の変化などは言葉だけではない視覚像として与えられる。
必要とあらば化学実験の動画を再生することもできる。

ホントウは、『体系化学』は、こういうフルカラーで動きのある世界なんだということが、
ようやくに表現できるツールを得たと実感している。
その意味で、Word2001が登場して私のやりたいことを叶えてくれた時以来の、そしてそれ以上の
インパクトツールを手にしたことになる。

先般予告したデジタルブックはフルカラーで、ページ制限もなく、動画もネットへのリンクもある、
そういうものになる。ただ、それは新しいものではなく、2000年前後から、GHSでやってきたことを
別の形式で、それにもっとも近い形で表現することでもあるが、と同時に、黒板と紙媒体の授業では
飽和し、限界に達した内容が、本来あるべき姿で展開することにもなる。

まだ詳しくは語れないが、その中身は、近く、あるサイトで一般公開できることになるだろう。
そういうパートナーを得たことも、ツールを超えた出合いとなることだろう。

  

posted by Koujin Amano at 14:55| 体系化学

2015年08月31日

[82] 夏サマリー

夏のサマリー
この夏も色々と各方面で忙しくしていたなあと振り返る。外は信州、秋の虫の音に包まれている。
・本業の方で仙台と横浜で学会に出席。週末が2回分消費。
  仙台はなかなか快適ではあったが、横浜の潮の香まじりの暑さは信州人には耐えがたいものであった。
・長年つかいこんだMac book airがついに起動不能となり、
  一週間、あれこれ手を尽くして「治療再生」のため格闘したが、断念。
  一学期間の貴重なデータを復元してもらうために、専門業者に依頼する自体となった。
  さいわい、良心的な業者であったのと、消費増税前に新型Macをかって温存していたので、
  以前通りの環境をようやくとりもどしたが、その間は、スマホをとりあげられた高校生のごとく?
  創作活動がその分停滞。データは100%復元できて安堵。
・毎週のように週末の夏期講習にてGHSへ。西新宿は暑いなあ。ホテルのエアコンも今や不慣れでキツい。
  信州は、湿度も高くなく、昼間の気温はかわらずとも、夜には気温が下がり快適となる
 (なので、我が家では、年に1-2週間、昼間から夕方しかエアコンは使用しない)
  この時期の東京が一番消耗する。「ウルトラマンは地球上ではエネルギーの消耗がはげしく
  3分しか戦えない・・・」というナレーションが毎週のようにアタマのなかで響いていた。
  まあ、それでも10数年は東京に住んでいたのだけれども。

・この最中『医大受験』vol16の最終稿と校正を仕上げた。
      最終号は、読者感謝号で、非売品であり、店頭にはならばない、という。
      もっとも、定期購読者には、プレゼントするらしい。
      入手方法については、詳細は育文社に問い合わせるとよいだろう。

そんなこんなで、ここ二・三年、8月後半はバテバテな感じになる。
もし疲労困憊・体調不良で休講するようなヘタレになったら、もはや「引退」だと思っているのだが・・・。
イントロはこのくらいにして、本題。

テキストと解説のデジタルブック化のこと
 最初に営業にやってきた業者は × 。
たかだかソフトを売りっぱなしのくせに、五年契約・数百万+毎月の管理費とか好き放題言うので、
問題外の外の外。一発目を外して、ちょっと出遅れた。
やはり、私のパソコンデータを救出してくれた、良心的な、腕のある個人商店がGHSには似合っているのだ。
その後、卒生の手も借りて、有望な業者を二つに絞り決定した。
やはり、村田塾長の「面談」を経て、正式な契約が済めば、スタートとなる段となった。
『医大受験』がでるのとどちらが早いか、というところか。二学期からスタートしたい。
それにあたって、現段階で計画されていることを列挙しておこう。

★HPの統合・・・思考訓練化学、思考訓練漢文解析のHPは、GHSのHPの「学習コーナー」に
統合する
「思考訓練」の化学と漢文は、在庫がなくなり次第、絶版となる可能性があるので、
「思考訓練」のタイトルとは独立のデジタルブックとして、実質的には改訂版を読めるようにする。
紙媒体の売れ行きを待っていては、改訂版はいつになるかわからないし、紙媒体の様々な制約を
一刻も早く脱したいからでいる。
★なるべく、無料閲覧可能なページを多くつくる。つまり、立ち読みが存分にできるようにすること。
すくなくとも、漢文解析の基礎編としての『漢文句法ドリル』は、『医大受験』vol16の初回掲載
を受けて展開していく。また、宮城先生の現代文のコーナーのつづきも閲覧無料とする予定。
★体系化学、体系物理、有機化学の基礎的部分(テキストの1/3)程度はHP上で立ち読み可能とする。
実際、『体系化学』は、本屋でしっかり立ち読みして購入したという読者が多いことに鑑み、
酸化還元の電池電気分解くらいまでのテキスト部分はフリーで読めるようにしようと思う。
★体系物理と有機化学は、GHSのテキスト購入者・会員登録者に対して、特に開始一年目は、
解答解説は無料で提供する。
大手とちがい、一気にアップすることなどできないため、作りながら掲載ということになり、
コンテンツがそろうのに時間がかかるかもしれないからである。演習問題は40問ほどあるが、
解説を授業レベルでデータ化すると、7-8ページにもなる。紙媒体では、これだけで300ページ
となるが、それでは本としてだすのは費用がかかりすぎる。単価も高くなる。
★動画学習サイトではない
よくあるのが、講師が生徒もいないのに、カメラの前で授業して、それを配信するというもの。
それで、●スクールも、■会の配信サイトでは年間1科目でコミコミ10万円くらいかかる。
昔みたいに、夏期講習とかで地方から東京の大手予備校の授業を受けにくるともっとかかるから、
そのあたりの価格設定でもあるのだろう。
そういう動画というのは、ずっと使い回すから、遊びも枝葉もなくライブ感がない。
旬のネタとかを盛り込んではいけないことになっているから、
やってる方もつまんないと思うんだけど。
最初は、授業そのものを動画でとっておこうかと思ったが、やめた。
それはもっとも楽な選択肢。動画というのはここぞ、というところでよいのではないか。
たとえば、アニメにすると30分で大して話がススまないが、漫画なら何冊か読めたりする。
それがヒントである。

とりあえず、今回はこんなところで。《続》
posted by Koujin Amano at 17:31| 体系化学

2015年06月29日

[81] 読者の言に想いあり 12

思考訓練化学・読者倶楽部の今年
「読者倶楽部」というのは、不特定少数の交流サロンを目指したものでした。
会費などで小銭を稼ごうなどという気持ちは毛頭ないのですから、
会員数の多さを目指さしていません。なかじっか会員が多くなると、
レベルが下がり、問題がおきるのが組織論の常識ですから、そういうのにつき合うヒマはありませせん。
分かる人だけ、共鳴できる人だけ、『体系化学』の世界が好きな人だけ、
面識はなくても共鳴できる人ならばよい、そんな「不特定少数」でつくる会員サイトです。

ただし、受験参考書がベースですから、基本的には毎年、会員は入れかわります。
そういう意味では、登録数の割にはアクティブな会員はそんなに多くないのです。
でも私は、それで善しと思っています。
そもそも私自身、親友は1人いれば充分、理解者は少数で満足、と思ってきた人間なので、
こんなに全国に共鳴してもらえる若き人材が毎年いるということ自体、素晴らしい事だと思います。
今年もまた、このブログでも紹介したような頼もしい若者達が、読者倶楽部で共鳴し交流しています。
会員用掲示板はにぎやかです。
掲示板は、初期の読者による議論が出尽くした感があり、かつ、その人達が「卒業」したので、
しばらく閲覧のみで書き込みのない時期がつづきましたが、
GHSが新たなる段階を模索しているのに同調するかのように、
読者倶楽部会員もまた、Next Generation になってきたのでしょう。


良い先生ですね
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■本書を購入した最も大きなきっかけはなんですか? :先生から紹介されて 
■著者に感想をどうぞ: 
体系化学を5周してから理論化学では敵無しになった感覚があります。
有機無機分野では性質の理解が甘いため精進が必要ですが
体系化学の素晴らしさを感じています。
                                                              (やぎ・神奈川県)
 
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まずもってその紹介した先生がエラいですよね。
本質的には、これまでの化学教育を根本から覆す内容ですから、
旧来の化学になじなだ人ほど、抵抗感があるものです。

おなじみ「とっと」さんも、現役の神奈川の高校の化学の教師ですが、
高校はちがうようですから、つまり、「とっと」さん以外にも、
『体系化学』を理解して、生徒にすすめる器量をもった
現役の化学教師が神奈川県にいるということになりますね!!!!

ちなみに「とっと」さんは、毎週のように私の授業を聴講されて、すでに五年目に突入。
(金曜日の夜に、仕事が終わってから駆けつけて……中々できることではありません。
村田代表もその向学心、向上心、探究心にすっかり感心されています……)
有機化学も体系化学セメント&ドリルも複数年出席されて、自らの指導に取り込んでおられますから、
こういう熱心な(指導能力を磨きつづける)先生にめぐりあえた高校生はそれだけで幸せですよ。
(うらやましいですね……私が高校生の時なんか・・・)

そういえば確か、初期の読者で東大に進んだ「鳴滝ローブィジー」君も、
北海道の高校の先生がススメてくれたといってましたね。

「やぎ」さんも、そういう先生に出会えたのですね,きっと。
とはいえ、そういう先生のススメを素直に受け取って、
HPの学び方に沿って、『体系化学』を愚直にも5周した!!!というのはエラい。
GHS生でも、そこまでできた人は、例外無く頭がよくなり、他の科目も相乗効果で
アッブして、望外の合格を果たすものです。
5周もやると、私が本当に伝えたかった、化学を越えた論理が響いてくるのです。

立派、リッパ !!!!
・・・と同時に、『有機化学』が未だ公開できる形になっていなくてスミマせん。

有機化学は紙媒体ではムリ
有機化学のテキストは、講義の部分は体系化学並みに読めるように書いてありますが、
解答・解説は単なるテキスト形式では表現できない、というところが壁です。
それでよろしければ、会員なら製本原価にて購入可能ですので、
GHSのHPの資料請求のフォーム、ないし、メールで、住所・氏名など必要事項を書いてもらえればOKです。
アドレスは、study@ghs-yobikou.co.jp

演習問題に対するアクティブな解答・解説は、今「とっと」さんが、
授業ノートを元にデータに起こすという難事に取り組まれています。
先日、入試例題1の試作品が見事にできたので、順次デジタルブックにて
公開していくことにします。

読者の皆さんは、出版を!!ということを気軽に言いますが、
『体系化学』では、紙という制約の中で、どう表現すればよいか、大変悩んだものです。
その苦労を再度やるヒマとエネルギーはない、というだけでなく、
有機化学の特殊性から、私の授業は紙面だけでは表現できません。
授業のライブ感を伝えるためにも、デジタルブックとして、フルカラーかつ、
バワーポイント駆使、写真あり、動画ありの超ビジュアルなものにしようと思っています。
その前提では、GHS有機化学エッセンシャルズ・テキストは必要十分な内容なのです。
化学計算としては『体系化学』で尽きていますが、定性的な反応理論としては、
体系化学の応用編となっています。

夏期期間にはスタートするつもりで準備していますので、ご期待ください。
posted by Koujin Amano at 22:15| 読者倶楽部

2015年05月26日

[80] 原点回帰ということ

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★会員連絡・事務局へ★  登録名:三代目タンタンさんへ
 連絡が遅くなりましてすみません。会員登録メールはとどいていますか?
 メールを整理していたところ、登録時にあなたの携帯アドレスにお送りした
 メールがエラーでもどってきていることがわかりました。
 もし、ID,パスワードをまだ入手していない場合は、お手数ながら、
  http://www.formzu.net/fgen.ex?ID=P88672340
 よりご連絡ください。
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『医大受験』vol.15 5/20発売 
 今回の連載で、15回目となる私医化学は、化学平衡の章を5回にわたって書いた。
それは、『体系化学』のリメイク+αでもある。
 物事を説く順序や説き方は一通りではない。しかし、著作となれば、一つに決める必要がある。
そういう点からいえば、「実は、このようにも説けた」という書き方となっていて、
いわば実験的な連載形式となっている。・・・
もっともGHSの授業は、ライブだから毎年バリエーションをつけながら楽しんでいると同時に、
生徒のタイプやレベルに応じてまた別の説き方を試しているから、
その「まとめ」を連載原稿としてデータ化したともいえる。
そうやって、少しずつリメイク・リファインしながらカタマっていったのが『体系化学』である。
 記述の仕方を1から見直したことになり、その意味で「原点回帰」なのである。

今年のGHS生 
 今年のGHS生もまた、「原点回帰」である。GHSは「無選抜・申込順・やる気次第」での
入塾方式であるから、毎年生徒のタイプやレベルがかわる。
それに合わせて、基本カリキュラムをカスタマイズして年間カリキュラムを作って行く。
そこで、今年の顔ぶれを見回してみると、実に「懐かしい」感じがするのである。
『体系化学』のまえがきに書いたような再入門、大逆転が必要なタイプが揃った感がある。
だから、テキストを中心に、基本をしっかり固めて、枝葉を伸ばしすぎず、欲張らず、
確実な実力をつけさせるべし、と思い定めている。

今年の化学の授業
 今年の時間割は、四本立てになっている。その一つは有機化学だが、
それ以外の三つは三層構造になっている。
「定量化学」と「定性化学」の時間を一つずつ設定した。例年は、体系化学テキストをメインに、
夏期に定性化学の集中講座をやっていたが、今年は最初から定量と定性をならべた。
それは、受験生の「定性化学の知識」があまりにも乏しく、信用できず、「再入門」どころか、
入門そのものが必要だ、と思われたからである。知識の乏しさが定量化学の理解そのものを妨げる。
むしろ、生徒も高校一年生へと「原点回帰」したつもりで授業を聞いた方が、「急がば回れ!」である。

と同時に、そこそこできる生徒もいるし、二年目という生徒もいることから、
実戦的な演習をしようと思った次第である。
 たとえば、かつて東北大医学部に進んだ大熊君は、合格手記の中で、『体系化学』を学んでから、
入試までは、『化学重要問題集』の解答を書き直しつつ、4-5回繰り返して身につけたと書いていた。
『化学重問』は、260題ほどの入試問題がセレクトしてあるが、これがパッとみて答えられるならば、
化学では十分に合格点がとれる、ということを実証してくれた。
 ふつうに医学部をめざすというのであれば、これをしっかり固めるので十分なのである。

そこで、もう一つの授業形態は、『化学重問』全範囲からのテスト演習である。
一回に、全分野から12-13問で60分で解いてみる。それを採点して解説する、
個人の弱点発見と補強には最適である。
すでに7回を終えているので、1/3の問題には触れたことになる。
もちろん、テストをつくるのは大変である。しかも、そのまま切り貼りしてはつまらないし、
答えを覚えていただけではつまらないから、すこし改変したりするわけで手間はかかっている。

しかし、それは時間内に確実に合格点をとる、という目標設定であるから、『体系化学』り
最後の一押しとして必要なことである。
・・・・まあ、こういうことは、本人真任せでも構わない面もあるのだが、
今年の生徒には、そこまでつき合うことが必要にようだし、
その出来(不出来)ぶりをみて、こちらも学ぶことがある
・・・・・そうやって『体系化学』ができたのだから、
新たな形式での原点回帰であると思う。

『化学重要問題集』(数研出版)書評
 その単元・分野を代表する良問を選び出し、かつ、毎年少しずつ入れ替えている。
それもあって、今年のテキストとしては2010版をネタにしている。
というのは、一通り終えたら2015版を類題演習してやればよいからである。
『体系化学』では、定量化学で筋を通してあるため、
定性的知識は、各所にちりばめた形になっており、
さらに、標準テキストであるから、枝葉のような、また重箱の隅のような知識はカットしてある。
そこをまとめ、かつ補うという意味で、目下、最良の問題集として採用している次第である。
ただし、二点ばかり注意が必要である。
 一つは、教科書に準拠していること。
そのため、ホントウは難しい問題が第一章にでてきて、
初心者を困惑させ挫折させる可能性がある。
たとえば、「化学反応式の係数を未定係数法できめる問題」。
これなどは、反応のロジックを学んでやればなんということもないのに、
第一章でやるから「数学的」にしか解けないわけで、
これから化学を学ぼうとするものにとって有害でさえある。
 もう一つは、「燃焼反応」の問題。これも置き場所にこまって第一章にいれているが、
『体系化学』では、化学反応公式7に位置づけているように、
酸化還元反応を学んだのちの応用として取り組むべき問題である。
 そういう「難問」を第一章で解かせることの愚への反省が何十年たってもなされていないため、
この問題集から化学を学ぼうとするとふつうの受験生は挫折ないし失敗する。
やったとしても歩留まりがよくない。
しかし、『体系化学』の学びのあとにやれば、順序はどうでもよくなるから、
最適の問題集に変身するのである。
ただし、化学計算問題に関しては、統一のとれていない解答を、
『体系化学』的に書き換えるという作業が必須である。

posted by Koujin Amano at 15:19| カリキュラム